第3話 疑心暗鬼
床に座りぶつぶつと嘆き続けるゴウダ。かなり精神的にまいっているようだ。
ホネカワも鎮痛な表情を浮かべている。
と、そこへ。
「わかったことがあります」とハカセが顔を出す。
「えらい早いな。」
とゴウダ。
「ははは。私にかかればこの程度は造作も無いさ。私の研究分野は生体学だからね。それにこれは私の研究意欲をより刺激するテーマだ。それにもともとのデー」
「ハカセ!!」とホネカワ。
「ははは、はい。」
「ゴウダは疲れているんだ。結論だけ話してくれないかな?」
「はい! わかりました。」
ハカセによれば、あのエイリアンの細胞は、無機物有機物問わず、どんなものにも変化できるらしい。
しかも肉体だけでなく衣服までカメレオンのように変異可能だとか。
おそらくエイリアンは乗組員に変態してコントロール室に入り、人員を皆殺しにしたのだろう。
「見分ける方法はないのか?」
「…おそらくあの生物は、完璧な変身能力を持っています。むしろコピー…『模倣』に近い。スキャン装置無しに見分けるのは難しいでしょうな…。」
と、黙って話を聞いていたゴウダが、
「じゃ、弱点は、ないのかよ!」と唾を飛ばして割り込む。
「ふむ。調べてみるから時間をくれ。」
ハカセはそう言って、再び個室に入っていった。
「完璧な『模倣』能力か…。」
そう呟きながら、ゴウダは手元の拳銃をブラブラさせる。
ホネカワは、ゴウダが持つ拳銃にチラリと目をやりながら、
「しかも見分ける方法はない、だってね。」
と追加の言葉を加える。
「誰に化けてくるか解らないという事か…。あ!」
「どうした、ゴウダ。」
「まさか、ハカセも既にエイリアンかもしれないのか?」
「違うだろ。僕らを殺すなら、チャンスはいくらでもあった筈だ。それに、わざわざ僕達に模倣能力をバラす必要もないし…。可能性は低い。」
「…そうだよな。」
「ああ。ハカセはエイリアンじゃないよ。」
「…だったら。」
「?」
ゴウダが、拳銃を、ホネカワに向ける。
「ホネカワ。まさかお前…、エイリアンじゃないよな?」
「そんなわけないだろう! 何を言い出すんだ!」
二人の間に緊張が奔る。
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