黄昏探偵事務所

秋華風 永遠

序章 居場所

第1話 居場所

注意

この物語はChatGPTに一部協力してもらい作成したものになります。

文章も一部ChatGPTから引用しております。

また、この物語の一部は虐待描写・差別発言等過激な表現が含まれ、トラウマを生じる場合があります。

物語の舞台・事件はフィクションです。


 

時期は季節の変わり目。

 長く感じた夏が終わり、金木犀の香りが漂う。

 道端に赤く染まる彼岸花が度々咲いている。

 澄んだ空気に、少し肌寒く感じる。

 緑色に染まっていた木々が紅葉に変わり、秋を感じさせる。

 空は夕焼けに染まり、ツクツクボウシが鳴いている。

 

人々が行き交う街の日常。

道路では車が走り、歩道では母親と子供が楽しそうに歩く。

歩道橋で、行き交う車を眺める老人と、喋りながら通る学生達。

ゲームセンターで遊んでいる少年たちの姿。

スーパーで買い物をする主婦。


電車から、人々が大量に降りる。

改札を抜けていく人々。その中で、1人の青年がその人混みから抜け、歩き出す。

駅を抜けた先は、青空が広がり人々が行き交う大都会。


──人は誰しも、負の感情を持っている。

─怒り、苦しみ、嫉妬、暴力、恨み、妬み。

夫々が意味を持ち、自然に感情を左右させる。

その中で、生きる意味を無くし、居場所がないものもある。

手を差し伸べる者がいたら、その手を振り払うか、受け入れるかは───あなた次第。




第一節 居場所

 第1章 0話 居場所のない2人

記録──00 出会いと始まり

路地裏の薄暗がり。青年はいつものように人の気配を避け、膝を抱えて佇んでいた。目の前に差す街灯に、指先で小さな血液の槍をつまみ、クルクルと回す。余裕──というより、自己防衛の癖。

片手で深くフードを被る。虹色に輝く瞳は、何処か悲壮感を漂わせていた。

黒服の隙間から、長い髪が見える。毛先から半分、髪色が紫に変色した。困惑と、戸惑いと、不安。

髪の色は、彼の感情を表していた。

チリンチリンと、左手に付けていたブレスレットの鈴が小さく鳴り出した。

気配が近づく。青年はすぐにその気配を嗅ぎ分け、血液の槍を突きつける。

「…誰だ」

相手は一歩も引かずに答えた。落ち着いた声。少しだけ笑みを含んでいる。

「やっぱ、あんただな。その術が使えるのは⋯」

青年は軋むように声を絞る。牙の隠れた低音。

「…何者だ?」

青年が血液の槍を振り上げると、彼は何気ない仕草でその槍をかき消した。血液は霧と化して砂埃に溶ける。青年の指先だけが、赤い雫を垂らしている。

「俺は時雨シン。分家の手下だが、あんたの敵じゃないし、あんたを殺すつもりもない」

青年の瞳が細まる。警戒は解けない。

「…じゃあ、何しに来た?」

シンは路地の壁にもたれ、肩をすくめた。疲れと諦観の混じった表情だ。

「…俺と手を組まないか?俺もあいつらには、うんざりしてたところだ」

青年は黙ってシンを見返す。間合いを測るように、そして確かめるように。

 「…俺もいつか、こんなクソみたいな環境から抜け出してやろうと思ってた」

 シンは座り込み、煙草を吸い始める。

 「…本家のやつらを…潰そうと思えば潰せる」

 ひしひしと、声から憎しみを感じ取る。

 「あの家では…誰1人信じれるやつは居ねぇ。俺の居場所も…ないに等しい」

 ふぅ、と息を吐く。

 「俺をただの道具と思ってる…ただ情報を記録するだけの、ロボットだと思ってる」

 白い煙が、口から吐き出される。

 イライラを沈めるように。

 「…俺の生きる意味が…途中から分からなくなった。俺は、何のためにこの本家を…分家を記録しているのか…」

 シンの葛藤が、煙から吐き出される。

 ポツポツと降り始めた雨が、煙草の火を消していく。

 青年が、口を開く。

「…お前の言うことを…信じていいのか?」

シンは真っ直ぐに、しかし軽く目を細めて言った。

「…全知全能なら、それくらいわかるだろ?」

青年は一瞬だけ口元を曲げ、試すように言う。

「…お前を試す」

シンは、ひどく簡潔に笑った。

「なら決まりだな。安心しなよ、あんたを売ったりしないから。向こうがなんかやってきたら、あんたに報告する。契約だ」

「…俺と契約したら…裏切れなくなるぞ」

「…元々そのつもりだ」

短い沈黙の後、青年は血液の槍を霧散させ、ゆっくりと立ち上がった。路地裏の薄明の中で二人の影が寄り添う。これは、居場所の始まりだった。


記録──お互いの居場所

夕方、2人はある地を訪れた。

今は廃れていて、人通りもない。

駅周りもお店はなく、シャッター街になっている。

手入れされていない畑と、ボロボロの民家、子供がいない、草が覆われた小さな公園。

その街並みから少し離れ、路地裏を抜ける。

開けた所に、1つ寂れたビル、隣には社宅が残っていた。

「ここ、使っていいのか?」

青年がシンに問いかける。

「あぁ、ここならあんたも活動しやすいだろう。…現時点で所有者は俺になってる」

「え?」

青年はシンを見た。驚き、青年の髪の毛先の色が黄色に変わる。

その一瞬を見たシンも驚きを見せた。

「…まぁ、なんだ。分家にいた時大企業が倒産して、その建物の管理者が俺になった」

一瞬魅せたが、すぐに踵を返した。

「そうなのか…」

「誰も手付かずで、社長さえも無理だって夜逃げしたもんでな」

シンは鍵を取り、ビルの中に入る。

青年も後を続き、カチャリとドアを閉めた。

中は廃墟のようで、荒れ狂っていた。

「…ほんとに夜逃げしたみたいだな」

青年は歩きながら、部屋の中を見る。

埃まみれになり、資料が山積みに、ガラスは割れて椅子と机も散乱している。

「ここを拠点に使うなら、まずは掃除しないとな」

ふと、瞼を閉じる。後先のことを考えて目を開くと、先程まであった山積みになって散らかっていた物が、なくなっていた。

「…え?」

パッと青年を見る。

虚空を見つめている…かと思えば、ふわりと手を回す。窓ガラスは修復され、床にあった物はなくなり、みるみる新しくなっていく。

「…な、なんだこれ?!」

シンは驚き戸惑いながら、変わっていく部屋でただ立ち尽くす。

ものの数分で、青年は部屋を綺麗にさせた。

「…こんなもんか」

くるっと周り、2階の階段に上がる。

「⋯ま、まて!なんだ一体!」

「…何って片付けただけだが…」

青年はキョトンとした顔でシンを見る。

当たり前のような顔で。

「いやそうだが!そうじゃない!!」

これが全知全能…全ての能力を持ち、全ての知能を持つ…

シンは、内心彼が全知全能であるということを信じていなかったのである。

都市伝説として見ていたのだ。

全知全能を目の当たりにし、置いていかれるシン。

シンはただ、何も無くなり真っ白になったこの空間でへたりと崩れるように座り込んだ。

一通り片付けが終わり、1、2階ともすっかり綺麗になった。

青年は2階の出窓に腰を掛けながら、本を読む。

「1階は空けとくか」

シンは椅子に座りながら、青年を見る。

「使わないのか?」

「…なんとなく」

青年は、コーヒーを飲みながら本を捲る。

「あの社宅もいいのか?」

真隣にある、小さなアパート。

そちらは手付かずでボロボロの状態であった。

「…あぁ、あっちも一応俺所有になってる。自由に使え」

「なら、あんたの部屋作るか」

「え?」

「せっかくあるなら使った方がいいだろ?お互い生活見られのは嫌だろ」

「…まぁ、確かに」

シンは同意した。

と、同時にまたあの能力を使うのか?と思った。

一瞬でこの部屋を完成させた、異能力。

目の前で見たものが、まだ信じられずにいた。

 

記録──目的と関係

 この場所で過ごしてから数日が経った。

 青年は、不在になることが多い。

 何処かに出かけているようだった。

 その日の夜、ふと思い立って聞いてみた。

 「…普段どこに行ってるんだ?」

 すると、彼は重い口を開いた。

 「…信仰が途絶え、残された神達の回収と、怪異の退治だ」

 「神と…怪異…?」

 「あぁ。信仰が途絶えた神は、時間が経つとやがて怪異に変わる。その怪異は、神の負の感情が大きく育ち、人間に化けたり器に入ったり。多少厄介なものだ」

 彼は説明をしながら、コーヒーを片手に本を読む。

 「…神を回収出来るのは本家の人間と、特殊な能力を持った人間のみ…」

 出窓に腰を掛け窓を開けた。コーヒーを啜りながら、ページを捲る。

 「信仰が途絶え、残された神はまだ自我を多少持っている。その神を回収するとこで事なきを得る。その神を回収してもだいたいの人間はその力に耐えられず、トラウマを抱え精神が崩れるか、死ぬ。だが、俺はその耐性がある」

 ふと、出窓から夕日が入る。その光を追い、夕日を眺める。

 「…その神の持っていた能力は、選ばれた人間しか使えない。…最も、今まで一般の特殊な人間が…本家でさえも、自分が回収した神の力を自分が使える事は出来なかった。」

 青年は、右手に深い傷がある家紋の焼印跡を撫でる。

 風が室内に入り、パラパラと本のページを捲った。

 「…俺に、その力があると、知った本家は…」

 声が、震え出した。

 そこで青年は何も話さなくなった。

 シンは、何かを察した。

 情報を記録するシンは、分家である程度彼の情報を知っていたからだ。

「…何か、手伝えることがあれば俺に言え。できることがあれば協力する」

「…ありがとう」

 室内がオレンジ色に染まる。

 青年はお礼を言ったあとも、黙って窓から夕日を眺めていた。

 

 記録──閑話 呼び名

 「はい、兄ちゃん、資料できたぜ」

 シンは、記録した資料をユウに渡した。

 「その呼び方やめろ」

 「じゃあなんて呼べばいいんだ」

 「それ以外」

 「じゃあ俺が付けようか名前」

 それを聞いた青年は、ぴくりと肩を震わせた。

 「いらん。どうせ変な名前つけるだろ」

 そして即座に否定した。

 「信用されてないなぁ悲しいよ兄ちゃん」

 わざと悲しいような仕草をするシンに、呆れながらツッコミを入れる。

 「…少し黙ろうか」

 青年は、即座にその呼び方を否定した。

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