スキル《モブ》~異世界でも陰キャがいいんだが?

小説家になりたい中学生

召喚されたクラス

第1話 召喚

どうしてこんなことになったんだ…!

 俺は白石真人。E級暗殺者で…元学生だ。

 そんな俺が…どうしてこんなやつと…。




            *



 事の始まりは3ヶ月前だった。

 俺はいつも通りに学校に行っていた。

 中学にもなっても友達は少ないしほぼみんな部活に行っていた。

 だから俺は学校から帰る時はだいたい1人だ。

 昔から仲良くしてた幼馴染の蓮翔クラスの人気者だし俺は全然目立たないから声をかけられることもない。

 つまり、完全な陰キャというやつだ。

 まぁ俺は別に目立つのが嫌だ。

 目立ったら二軍や一軍問わず集まってくる。

 それが嫌だ。特に陽キャ。

 勝手な意見だか陽キャと話すのは俺からすると全裸で奇声を上げながらクマの巣に突っこむのと同じぐらいの危険度だ。

 理科とかの実験でギャルと会った時にたまに話しかけられるがそのおかげでわかった。

 おかげでその日はギャルからカツアゲされかけたなぁ、懐かしい。

 まぁ、何はともあれ今日も何も起こらないといいな。


 教室の外から足音が聞こえて担任の先生が入ってきた。

「皆さん、おはようございます!」

 担任の先生の旭川先生だ。

 可愛い先生でおっこちょちょいだからたまに妹のように見えるとか…。

「あ、あさちゃんち~す」

「は~い最上さん!今日も元気?」

「元気過ぎて困っちゃうぐらいだよ~」


 今みたいに一軍ギャルの最上さんとよく話してるけど距離感が友達だ。

 今日も平和だなぁ…。

 と、そんなことを思っていたら急にガタガタと机が揺れ始めた。

地震か!?

 明らかに震度4はある。いや、6ぐらいだろう。

 でも、おかしい。スマホから緊急アラートが鳴ってない。

 どういうことだ…?

 そんな事を思っていたら急に床が光り始めた。

 あまり見えなかったが紫色に光るそれは円形の形をしてた。

 そして、俺は光に包まれて意識を失った。




           *




 目覚めると、見慣れないところだった。

 どこかの王宮だろうか?

 しかし、ここは日本だ。それにさっきまで学校にいたし…。

 周りを見るとクラスの子がいたが、突然の事で何が起きたのか分からないようだった。

 それもそのはずだ。

 さっきも説明したがさっきまで学校にいたのに急に王宮みたいなところに飛ばされたんだからな。



「おぉ君たちがそうなのか!」

 男の声がした。

 振り返って扉の方に目をやるといた。

 服装から見ても王様だろう。

赤いマントに豪華な服装。ぽっちゃりとしたお腹。やばいぐらいある白ひげ。

王様そのものだな。

 そして、不安がってるみんなを見て、王様と思わしき男は口を開いた。

「例の世界を救う者というのは」


 ___は?

 このおっさん何言ってんだ?

「あ…あの…ここはどこですか?」

 旭川先生がそう言う。

「ここはムグレド王国じゃ」

 そう言って、王様と思わしきその男は詳しく経緯を説明し始めた。

 長いため要約すると「魔物と人間が敵対してて、ここは兵力が弱いために防衛戦で手一杯の所、ある魔法使いに言われて異世界からの召喚をした」ということだ。

 つまり、要するに戦争に行けと言われたのだ。

 そしてここムグレド王国の王様がレイバーン王という名前らしい。

 そして、話を聞くと魔物と戦うためのスキルが貰えた言う。

  転送時に貰ったようだ。確認するために、鑑定士の人が右腕に魔法をかけて何時でも見れるようになるらしい。

 だが、いきなり魔物と戦えと言われて戦えるか?早く返してくれ。

 そんなことを誰かが言ったらレイバーンは、3年したら元の世界に戻れるようになる。3年というのは魔王が世界を滅ぼすまでの日数だ。

 そう言っていた。

 どうやら、数年前に魔王とやらから宣戦布告をされたようだ。

 そしてつい最近、明確に3年後に滅ぼすという伝言が届いたようだ。

 それは各国でも同じで全面的に争いの準備をしてるという。

 どの道、魔王を倒さないと出られないな。

 説明に無理があるかそういうことらしい。

中途半端な魔王と人間め。最初から争いまくってとっとと終わらせとけ。

 まだ不安に思ってる人も多かったようだか無理にでも引き受けたのだろう。

 そして、服装からいかにも鑑定士と思われる女がやってきた。

「私は鑑定士のマサコです。今から私が、貴方たちのスキルを見ます。希望する者から前へ」

 その言葉を聞くと、みんな遠慮がちになりながらも踏み出して行った。

鑑定士の人に右手を乗せてもらうだけでいいらしい。

あとは、右腕にいつでも確認できるようの印を埋め込むようだ。

「おっしゃぁ!火炎系のスキルだ!」

「俺は透明だ」

「私は…テイム!?」


 みんな欲しかったスキルを引き当ててるようだ。

 そんな時、鑑定士の人が声を大きくしていう。

「おぉ…あなたのスキルは《乱舞》!稀にしか見ない上級スキルですよ!」

 おぉ蓮翔。さすが我が幼馴染だな。

  前の世界でも人気者だったのにこっちでも人気になるのか?

  まぁ名前は強そうじゃないけど鑑定士の人が騒ぐぐらいだからすごいんだろうな。

  さて、次は最上さんだ。

「あなたのスキルは……!? ひゃぁぁぁ!?」

 なんだ!?

「これは…ありえないわ……こんなスキル…」

 当の本人も困惑してるようだ。

「あなたのスキルは…《聖女の詠》! 魔法使いの頂点に立つ魔導王の中でも限られた人だけが使える魔法が覚えやすくなる!?こんなの…見たことがない…!」

 わぁ《乱舞》よりもすごいのでてら。

説明聞いただけでどんなにすごいのかわかった。

  元の世界でも人気だったのに更に人気になるだろうな。

 さて、次は俺だな。

 魔法使いの手の平に手を乗せた。

 そしたら、手から全身にかけて力がみなぎるような気がした。

 さぁ…俺のスキルはなんだ?


「…え……えっと、あなたのスキルは…《モブ》というようです」


 ___はい?聞き間違いか?

「能力は…言わば分身ですね。まぁ一般的なスキルですので」


そう言って、次の人を呼んだ。ここまで聞く耳を立ててたが、蓮翔や最上さんみたいな上級のスキルでは限り、同じような説明をしてた。

 いや、分身って…それ本人が強くないと意味無くね?

 





           

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