ポルシェより尊いもの──犬が教えてくれた命の重さ

 なんて胸を打つ、切実で美しいエッセイなのでしょう。

 日常のささやかな幸せ、喜び、そして言葉にできないほどの愛情が、しみじみと伝わってきました。犬との暮らしは、ただ「飼う」ことではなく、自分の未来から愛と時間を「借り」、最後にはゆっくり返していく特別な旅なのだと、あらためて気づかされます。

 金額に換算できない、命の尊さと、ひとつひとつの思い出の重み。ポルシェに例えたユーモアの裏に、どれほどの涙と祈りがあったのか。大切な存在を看取った経験が、こんなにも静かであたたかい言葉になることに、ただただ感動しています。

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