【超危険】【怪異】『イワナベミズコ』って知ってる?【独占情報:都市伝説】 ―― オカルト・サブカル系YouTubeチャンネル「おカルタんTV」2024年10月27日配信


《オープニングSE》

(シンセな不協和音のBGM)


※薄暗い部屋の中、テーブルの後ろに立つ金長髪、口元にピアスを入れた若い男性。その後方にはホワイトボードとスポンサーの広告が掲示されている。


※ホワイトボードには、『イワナベミズコ』『赤鬼』『触覚人間』等の文字が並んでいる。


※以下、動画内容及び配信者の男性(名前:カルタ)のセリフの文字起こし(大まかに全体の流れを伝達するため、部分部分は端折った形で文章化している)。




「おカルタんTVをご覧のみんな、こんばんは!」

「今日も遊びに来てくれてありがとう~」

「カルタです」

「というわけで早速いってみよ。今回紹介する都市伝説は、これ」

「『イワナベミズコ』」


ホワイトボードに書かれた『イワナベミズコ』の文字がアップになりSEが鳴る。


「みんな、これ知ってるかな? 聞いたことある?」

「まぁ、ないよね」

「実はね、この『イワナベミズコ』……今、巷じゃ大変な事になってるんだよ」

「本題に入る前に、まずはこのニュースを見て欲しい」


映像が切り替わり、テレビ放送されたニュース映像がモザイク処理をされた上で流される。


内容は、2024年10月24日に報道番組「ニュース・クロス」内で取り上げられた、ある交通事故のニュース。


「………ね」

「このニュース、実際に観たって人も多いと思うけど」

「これ見る度に俺、すげぇ辛いというか、悲しい気持ちになる」

「っていうのも、この事故で亡くなった河瀬さんって人は、俺の知人なんだ」

「河瀬さんはライターで、オカルト系界隈では長年仕事してるベテランの人でさ」

「うちの動画も幾つか、作成に協力してもらった事もあった」

「本当……ここで言うのもなんだけど、ご冥福をお祈りします」


カルタ、カメラに向かって頭を下げる。


数秒の黙祷。


「……で」

「この河瀬さんが亡くなる直前まで追い掛けてたオカルト関係のネタがあって」

「それが、今回紹介する『イワナベミズコ』っていう、これ」


再び、ホワイトボードに書かれた『イワナベミズコ』の文字がアップになる。


「なんで知ってるかっていうと、事の発端は河瀬さんが亡くなったって知らせが入ったすぐ後」

「うちのスタッフの“くっつー”の元に、河瀬さんからメールが届いてる事に気付いた」

「ね、くっつー」


カメラの後ろから、スタッフ(くっつー)の「はい」という声が薄く聞こえる。


「メールの内容は、河瀬さんからのSOS……いや、死期を悟った河瀬さんからの遺書に近かった」

「『イワナベミズコ』っていうとんでもない厄ネタに触れちまったこと、その情報を集めて追求していく内に取り返しの付かない事態になっちまったってこと」

「自分はもう助からない、だからどうか、俺達に『イワナベミズコ』の謎を解明してくれって」

「今まで自分の集めた資料まで託すって、自宅マンションの鍵を隠した場所や、家のどこに保管したとかまで」

「正直、最初は半信半疑だったけど、河瀬さんとは同志として色々と仕事をしてきた仲だから、メールの指示に従ってみた」

「…………驚いた」

「本当に自宅に入る事ができたし、言った通りの資料も存在した」

「だから」

「俺達は決めた」


カルタ、カメラにグッと赤らんだ目を向ける。


「河瀬さんの意志は俺達が受け継ぐ」

「『イワナベミズコ』の謎は、俺達が解明してみせる」

「こうして動画を公開するのは、みんなからも情報を集めたいからだ」

「『イワナベミズコ』」

「今から、その解説をする」

「動画を見終わった後、何か知っていることがあったら、コメント欄でもDMでもいいから教えて欲しい」


ブリッジが挟まる。


「さて、本題に入るけど、そもそも『イワナベミズコ』って何? ってところからだ」

「簡単に言うと、こいつはバケモノだ」

「都市伝説風に言うなら、怪異って奴」

「河瀬さんの調べによると、日本各地から怪談や心霊情報、オカルトネタを集めていたところ、複数の体験談や目撃談の中に『イワナベミズコ』、もしくはそれに類似するような文字列の登場するものが幾つかあったらしい」

「そこで、それらの話には共通項があるのでは……というか、全て『イワナベミズコ』っていう一つの点から根のように派生した事件だったんじゃないか、と考えた」

「例えば……河瀬さんの元に集まった体験談の中に、こんなのがある」


映像が切り替わり、自動音声による怪談の読み上げが字幕付きで流される。


『私の住む町の、ある廃屋に、奇妙な人影が侵入しているのが発見されました』

『見た人によると、人間の姿をしていましたが“目の部分が触覚のように前に伸びて、うにょうにょと動いていた”そうです』

『その人間はしばらくするといなくなりましたが、廃屋の中に『胃環名べみ豆コ』と赤黒い血で書かれた人形が見付かったそうです』


『先日、チャリで通学中、横断歩道の前で止まっていたところ、いきなり後ろから『イワナベミズコ』と声を掛けられた』

『振り返ると、顔の真っ赤なハゲたおじさんが貼り付いたような笑顔を浮かべて立っていた』

『酔っ払いだったのかもしれないけど、その顔が不気味で、信号が変わると同時にすぐに逃げた』


映像が戻り、再びカメラがカルタとホワイトボードを映す。


「その他にも数多くの体験談が集まってるんだけど、大まかに言うと、この『イワナベミズコ』の目撃談の中に登場する怪異は二つ」

「一、“赤鬼”」

「こいつは、体の一部、もしくは大部分が真っ赤な皮膚をしたバケモノ。中には全裸で全身が真っ赤な奴が登場する話もあった」


AIで再現された、全身赤色で笑顔の男の実写風画像がイメージ図として表示される。


「こいつらは『イワナベミズコ』って声を掛けてくる。それ以外特に何もしてこないように思えるが、気を付けろ」

「“赤鬼”に声を掛けられた奴の中には、精神に異常を来たし、その後、行方不明になったり」

「中には、自殺した人間もいたという」

「まるで、『イワナベミズコ』って呪文に蝕まれるみたいに……な」


先程のAI画像、“赤鬼”の顔のアップが表示される。


「次に、怪異その二、“触覚人間”」


AIで再現された、顔の目の位置が触覚のように伸びている笑顔の男の実写風画像がイメージ図として表示される。


「こいつらは、直接人間相手に何かをしているって話はない」

「主に建物や、薄暗い路地裏や、もしくは神社とかで発見される事が多かった」

「そして、必ず『イワナベミズコ』と読めるメチャクチャな文字を現場に残していく」

「さっきの目撃談の中にも登場したけど、『胃環名べみ豆コ』みたいに書かれたゴミを落としていったり」

「もしくは、直接その場所に書いたり……こいつらは何をしたいのかサッパリわからない」

「ただ、さっきの“赤鬼”が『イワナベミズコ』と声にしただけで、最悪人を死に追い遣ったりする事からもヤバい影響を起こそうとしているのは明白だ」


先程のAI画像、“触覚人間”の顔のアップが表示される。


「日本各地で目撃される、謎の怪異」

「そいつらに共通する、『イワナベミズコ』という文言」

「そして、その謎を追っていた河瀬さんの死……」

「次回動画では、『イワナベミズコ』に関する他の目撃談」

「更に、河瀬さんが死の直前に俺達へ送ったメールの内容を公開する」

「彼の無念を晴らすため、俺達はこの『イワナベミズコ』の謎を追っていく」

「みんなも、何か知ってる事があったら、どんな些細な事でもいいから教えて欲しい」


テロップで、おカルタんTV宛てのメールアドレス、公式SNSアカウントへの案内が表示される。


「というわけで、カルタでした」

「これからも応援」

「高評価、チャンネル登録もよろしく☆」


ポップなBGMと共に同チャンネルの過去動画へ飛ぶリンクサムネイルが表示される。


(以上動画は配信直後、ネット上で話題となり、数日で50万再生突破。100万再生も視野に入る勢いを見せている)

(某検索エンジン、SNSトレンドワードでは『おカルタんTV』『イワナベミズコ』がトップにランクインする事態となった)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る