神子島様へ
密(ひそか)
神子島様へ
ある地方のホテルに泊まった時のお話である。ホテルの部屋に入ると、「神子島様」宛の手書きのカードが置いてあった。
「おかえりなさい。朝食は出来立てのパンをお召し下さい」という内容だった。
この地方のホテルの朝食では、この地方で有名なパンを朝食に出しているところがある。しかし、ここのホテルのパンは、本家と比べると、いささか水分が欠けていた。食べるとボソボソする。お世辞にも美味しいとはいえない。
「神子島様」と誰かに何があったのかは知らないが、この日のホテルの浴槽には髪の毛が束になって落ちていた。このホテルには何度かお世話になっていたが、掃除はいつもされていた。
……。コレ、ただの「神子島様」への嫌がらせだろ…。
ちなみに、私は「神子島様」ではないので、私に嫌がらせをしても、嫌がらせは解消しないし、私は何のことで嫌がらせを受けているのかも、まったく分かっていない。
この日は、時々、部屋の中に汚い風が吹く。粉みたいなものが部屋中に降り積もる。私の身体にも降りかかり、息が苦しくなる。
「神子島様」の安否が心配になってきた。
神子島様へ 密(ひそか) @hisoka_m
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