登録者100万人目指す男子大学生3人の生活
ボンドステーキ
枕教室の日常
「来たよ〜クロ君、僕と契約して魔法少女になろ〜」
「クロ〜、ジュースプリーズ」
軽いノリ、鳴らないインターホン、勝手に入ってくるクセ強めな親友。
今日は月曜、金曜日に上げる動画の撮影の予定。
そして俺は、軽い二日酔いに苦しんでいた。
俺達は”枕教室”というチャンネル登録者数4万人程度の3人のグループで配信者をしている。
俺は
「今、頭痛いから好きにしてくれ⋯飲みもんは冷蔵庫に冷やしてある」
「サンキュー、二日酔い?」
「クロ君はなにか飲む?」
「そ、飲み会で飲みすぎた。モルありがと、水でいいわ」
「了解〜。ついでに配信準備しとくね。それとこのお寿司なに?」
「後で皆んなで食うから置いといて〜」
「マジですか!了解でーす」
カシュッ「機械強くてすげ〜流石モルだわ、さすモル」
「二日酔いで頭痛いやつの目の前で酒飲みだしやがったこいつ。」
今、ちょうど酒を飲みだした此奴は、『ふゆぎ』本名、
高校から今も同じ大学に通う大事な親友。
「配信前に酒飲むと調子いいから」
「今回はいいけど体壊すから、気をつけろよ〜」
「へーい」
「クロ君、機材の準備終わりましたよ〜」
「はや〜、やっぱモルだわ」
「おっけー、ある程度流れはあるけど生配信ではないから、こっちの編集で面白くできるし、あんま緊張せずに自然体でやってくれ。特にモル」
「そうだぞ〜自然体だ」
「まかせんしゃい」
「フユはもう少し普段から真面目にしろ〜」
で、こっちの機材つよつよのモルモット系男子は、『モル』本名を
大学で機材関係が得意だったためフユと共に頼み込み不憫担当として頑張っている。
正直強引に誘ったから心配してたが本人に聞いても、「こんくらいが普通じゃないんですか?」なんて言っていた。セルフ洗脳済みで怖い。大事な親友その2。
基本真面目で、誰に対しても優しいため騙されやすいが、うち一番の変人である。
怖いのが苦手で、反応が良く、可愛い系の見た目で女子人気が高い。
フユもクール系のイケメンで枕教室のメンツは大学の女子人気が高い。
俺?聞くなよ。悲しくなる。この涙は二日酔いのせいだ。
「大体話し纏まったし、録画回すぞー」
「「りょ〜」かいでーす」
「こんちはー皆様お疲れ様です。枕教室のくろぐりです」
「モルです」
「クロが二日酔いに苦しんでる横で酒飲むのが趣味のふゆぎで〜す」
いつも通りの挨拶。俺→モル→オチのフユ。挨拶はクスッと笑ってもらえる程度のネタとゆるさがある方が、個人的に丁度いいバランス。
「酷くなーい?酔い潰すよ?」
「望むところだぜ✧」
「ほーう?最近3人で飲んだとき一番最初に寝落ちしたふゆぎさんが勝てるとでも?」
「あの時は、俺以外度数軽めだったし、今の結果は分からないのでは〜?」
酒関係なら流石にフユには負けないけどな。
演技とはいえ、ここは譲れない。
「そ・も・そ・も〜、3人で飲んでたとき俺はもうそこそこ飲んでたし?フラットな条件なら負けませんが?」
「いやいや、あのあとモルと何時間飲んでたとお思いで?片付け大変だったんですが?」
「⋯引き分けか?」
「いいや、延長戦だろ!」
「望むところよ!」
「二人がこういう時はたとえ配信中でも止まらないので、枕教室の真面目枠ことモルが進行します。クロ君〜喧嘩の途中申し訳ないけど、今回の企画聞かされてないんで教えてもらってもいいですか?」
「「ホラー」」
「帰らせていただきます!!!」
「残念だったなモル!もう撮影は始まってるから動画配信者として逃げることはできないのだ!!」
残念だったなモル。
お前がホラー企画を避けるのは知っているがお前は単純すぎるのだ。軽くフユと口裏合わせて直前まで悟らせなければ配信者の呪いにより逃げることは不可能!
さて、俺も冷蔵庫からビールを取り出すとしよう。
「モルよ。二日酔いに苦しむクロを見て酒を飲む趣味はないことは無いが「おい」今回の目的は、ホラーゲームで絶叫するお前を見て笑いながら酒を飲むことだ!!!」
「クズ!!!!!」
カシュッ「まぁまぁ、今回のは結構怖いけど、短めだからすぐに終わるって」
「クロ君もお酒開けましたよねぇ!音でわかりますからね!?」
明日は二日酔いが凄いことになりそうだが若さがどうにかしてくれるだろ。
頑張れ明日の自分、頼んだ明日の自分。
「今回するゲームは、”黒の区”で和製ホラーがメインのゲームだね」
「モル〜がんば〜お寿司取ってくるわ〜」
「さっき冷蔵庫にあった寿司ってそのためですか!?」
「「もちろん」」
「ということで今回の企画は、モルが最近話題のホラゲー”黒の区”をする後ろで晩酌してみた!」
「クソ企画です!!これで視聴者のウケ良かったら怒りますからね?」
「うちの層的にウケるだろな〜」
「同意〜」
「怒りますからね!!!!!!!」
結論を言うとグダグダだった。
思ったよりモルがビビリで案外進みが遅い、一つの場所に10分くらいかかってる。
こっちとしては、モルの寿司がなくなるだけだから別にいいのだが。
問題点があるとすれば、黙々とコンビニで勝ってきたお菓子を食べながら見ているフユが暇そうなのが少しだけ懸念なんだが。
「むりー、いや絶対この先なんかありますよね?僕のこと嘲笑う何かが待ち構えてる雰囲気じゃん」
「嘲笑うはなんか違うだろw」
目の前の半開きの扉を前に、さっきから一向に進む気がしない。
ここが終わったらクリアだから急かすか。
「後ろで寿司食ってるだけの二人は、怖くなくても私は怖いんですよ」
「早く行って来い。長引けば長引くほど編集はめんどくさくなる」
「行きますって〜、あら?何もない」
扉の先は薄暗い雰囲気から変わって真っ白のなにもない部屋だった。
「後ろ」
「へ?って何もないじゃないですかって ギャア゛ア゛アアアァァ」
フユの言葉に反射的に後ろを向いたが入ってきた扉すらなく永遠に続く白い世界があった。
正面を向き直ると真っ黒の細い長い体の化物がこちらを向いている。
瞬間、視界の色が反転。白くなった化物が不気味に笑い追いかけてくる。
「フユは攻略サイトで、全部知ってるぞー」
「嘘つき!来てる!来てるから!てか何故に調べてるんですか?!覚えたら楽しくないじゃん。」
「モルが攻略行き詰まったらフユにサポート入って貰う予定だったから」
「真っ当だけど。真っ当な理由だけど!その代わり、偽の情報を流して相手を驚かせる邪悪が生まれてますって!」
「必要経費だしゃーない」
「もふグオフグヨ」
「食べてから喋れやああああああああああああーーーーーーー!!!!!!!!」
「ング。もうすぐおわり〜」
「本当?本当だよね?信じるよ?」
「目の前明るくなってきた」
”CONGRATULATIONS!”
「おっ終わったー!」
「おつかれ〜」
「おつ〜」
「僕の寿司!サーモンうめぇ。涙出そう」
「サーモン好きだよな」
「回転寿司でサーモンばっか頼むので✧」
「知っとるんじゃボケ〜」
「そうだろうなボケ〜」
「「「ウェーイ」」」
「この後どうする?」
「爆弾を押し付け合う鬼ごっこ的なゲームが有る」
「いつまに⋯」
「さっきコンビニ言ったとき見つけた」
「僕もやりたいです。丁度いいストレス解消法ですね」
「喧嘩売ってますぜ〜クロの兄貴〜」
「この程度の雑魚一人で十分ですよ」
「いやこの中だとクロ君ゲーム一番下手じゃないですか」
「やってみなきゃ分かんねーだろ!」
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あとがき
「後10秒!フユはどこ行った?」
「クロ君⋯」
「どうした?やっとゲーム鬼強なフユに勝てるんだぞ」
「その⋯後ろ」
「来ちゃった♡」
「来ちゃったじゃねええええええ!」
爆発オチってサイテー。
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