国家が幸福を保証する未来。
人間の人生は、AIが設計し、選ばされた「理想」の中で完結していく。
死んだ両親の記憶も曖昧な高校生・光(ひかる)は、
人々が自ら仮想の楽園へ進んでいく社会の中で、
ただひとつ――「本当の幸せは、自分で見つけるものではないか」と疑問を抱いていた。
親友・宙(そら)との何気ないやり取りの中に滲む、
誰にも言えない寂しさと、生きる理由への渇望。
そしてある日、ポスターを破る謎めいた少女・灯(あかり)との出会いが、
彼の運命を静かに、大きく変えていく。
幸せとは、誰かに与えられるものなのか。
国家に選ばれ、管理され、終わりを迎える生ではない「もう一つの道」は存在するのか。
これは、逃げる物語じゃない。
「選び直す」ための物語だ。