第34話 インスピレーション


 飲みも終盤に差し掛かると、

「あはは、あん時な!」

「あはははは、そうそう」

 と昔話に花が咲く。

 尽きない話をしながら、もういい時間なのでお会計をしてタクシーを呼んで外に出る。

「おっし!じゃーな!」

「おう、またな!」

 とツネとマー坊を見送り、タクシーが来るのを待つ、タクシーが来ると、

「中野まで」

 と言ってタクシーは走り出す。


 マンションに帰ってくるとおぼつかない足で部屋に入り、上を脱いでそのままエアコンをつけてベッドに横になると、涼しい風に当たりながら寝てしまった。


 翌日は朝早くに目が覚めてしまい、布団の中で微睡む。夢を見ていた様だが目が覚めると忘れてしまった。いい夢だったのか目が覚めてスッキリしていた。


 いつも通りコーヒーを飲みながらニュースを見る。普通のニュースでホッとするが、探索者による犯罪が増えてるらしい。

 探索者なんだからダンジョンに行けばいいのにと思う、せっかく覚醒したのに勿体無いな。


 菓子パンを食べ、取り敢えず合成部屋に行って昨日のマー坊用の防具を『合成』する。

 と、その前にステータスを確認して見る。


ーーー

 里見瑠夏サトミルカ  33歳

 レベル81 ジョブ 合成師 

 スキル 合成Lv4 鑑定 加工 調合 チェック 選択 簡易作成 紫電一閃

 ユニーク 追加効果 

ーーーーーー

 武器……ステータス(力、素速さ、防御、知力、幸運)+3、+5、+10、+15、属性(火、水、風、土、雷、氷、聖、)

 防具……ステータス(力、素速さ、防御、知力、幸運)+3、+5、+10、+15、耐性(火、水、風、土、雷、氷、聖、)、俊足、瞬歩、硬化、腕力、剛力、フィット、防汚、軽量化、

 道具……収納(小、中、大)、属性(火、水、風、土、雷、氷、聖、)、結界(小、中)、帰還、爆破、麻痺、索敵、鑑定、

ーーー

 やはりこの前のダンジョンでレベルが上がってたな!合成レベルが4に上がり、追加効果も聖属性と軽量化が増えている。


 これでメイル(胴)、アーム(腕)、コイル(腰)、グリーヴ(脚)と分かれているのでちょっとめんどくさいが、マー坊の為に作れるな!


 『ミスリルメイル』……(フィット、硬化、軽量化、防御+60)


 『ミスリルアーム』……(フィット、硬化、軽量化、剛力、防御+45)


 『ミスリルコイル』……(フィット、硬化、軽量化、防御+60)


 『ミスリルグリーヴ』……(フィット、俊足、軽量化、防汚、防御+45)


 ミスリルは軽い素材だけど、やはりミスリルだけだと重くなるので軽量化を付ける。剛力や俊足など部位ごとに効果を付けれるのもいいな。

 カグヤもこれの女性用があったのでそれにしよう。

 氷戦姫だから似合うだろうな。


 それからは青銅製の武器を『合成』してミスリルの属性武器にする。

 これは後でツネに買い取ってもらう用に取っておく。


 これでとりあえずは『合成』し終わってスッキリしたかな?


 そうだな、皮も加工しておくか。

 せっせと革に加工してマジックボックスに入れて行く。

 それにしてもだいぶ溜まったので売った方がいいかもな。

 どうせ簡易作成じゃ作れる物もたかが知れてるし、んー……まぁ、まだ取っとくか。


 にしても、レベル100の壁かぁ。

 越えられればいいが、カグヤなら何か知ってるかもな?


 と、リビングに戻りメールを確認する。

「あー、そうだった。あの2人に悪い事したな」

 ミオとヒナに断って、すぐにパーティー組んだからな、一言謝っておかないとな。


 メールを返信するとすぐにスマホが鳴る。

 ミオからだな。

「もしもし、悪いな」

『どう言う事ですか?私達が弱いから』

 おう、最初から本題に入るか。

「違うから、んー、凄くしつこかったのもあって、お試しでダンジョンに入ったんだよ」

『そうなんですか?でもパーティー組んだって』

「そうだな、素材は俺がもらってギルドに一回計算してもらい、その半分を俺が払うことになったんだよ。あとはやっぱり強さもあるかな」

 今の2人にはちょっと酷いかな?

『そうですか。……私達も今のままじゃ2人についていけないと思うんで頑張ってレベル上げます!その時は』

「だな、その時はよろしく頼むよ」

『はい、パーティー結成おめでとうございます』

「まぁ、あんまりダンジョンに行かない2人だから簡単に進まないと思うけど、待ってるよ」

『はい!』

 スマホを置くとどっと疲れる。

 

 ミオとヒナは性格も真面目だしパーティーに入れるのは賛成なんだが、まだ一回しかカグヤとダンジョンに行ってないし、合わなければパーティー解散もあるからな。

 安易にOKは出せない。


 テレビをつけ昼時なので『収納』から牛丼を出して食べる。

「あふっ、うん、美味いな」

 と食べ進めながらテレビを見るとカグヤが出ていた。

 やはり話題はパーティーメンバーの事になる。もういいだろ?何回同じ事聞いてんだ?

「そうですね、インスピレーションってやつかも知れませんね」

「お相手のジョブは?」

「それは聞いちゃダメですよ?」

「し、失礼しました。では」

「はいストーップ、これ以上は言えませんね」

「……わ、わかりました」

 んー、まぁちゃんと俺のことをフォローしてるのはありがたいな。

 と言うかインスピレーションって……。


 はぁ、これからが大変そうだな。

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