第23話 飲み会
指定されたのはまた同じ『居酒屋麦わら猫』。
中野から電車で20分もかからないからだいぶ近くなったな。
今回は時間通りに着いたので、そのまま店に行く。
店に入ると賑わっているがすぐに店員が来て、榊原の名前を出すと2階のボックス席に通される。
「遅いぞ?マー坊の方が早かったぞ」
「お?時間通りに来ただろ?ってマー坊早かったな」
と上着を脱ぎながら話す。
ハンガーにかけて、椅子に座ると生を6つ頼む。
「ハハッ!今日は飲むねぇ」
「当たり前だ!明日は休みだしな!」
とツネが言う。
「俺もだ」
とマー坊も?
「まぁ、俺は自由だけどな」
俺は1人だから休みは自由に取っている。
生が6つ運ばれて来ると、串盛りや唐揚げを頼んで、
「「「カンパーイ」」」
と一気に半分ほど飲み干す。
「プハァ!美味いな!」
「カハッ!あー生き返る」
ツネは疲れていたようだ。
「ふぅ、やっぱ居酒屋がいいな!」
と飲み干したマー坊。
「とりあえず店長おめでとう!」
「マー坊?いつの話だよ」
「いや、言ってなかったからな」
「まぁ、ありがとうと言っておくよ」
ツネは残りを飲み干す。
「そういえばマー坊はどうなんだ?」
星4まであと少しと言ってたけど、
「ん?星4には上がったぞ!」
「おぉ!それこそおめでとうだろ!」
「だな!おめでとう!」
マー坊はギルドカードを見せる。
星4つのギルドカードだ。
「まぁ、属性武器持ちが2人もいるのに星3じゃカッコつかないからな」
「ん?なんて?」
とツネが睨む。
「あぁ、ツネには言ってなかったが、マー坊とミドリって斥候の子に属性武器を売ったんだよ」
「はぁぁ?マー坊、今度武器持ってその子も連れてこい!『tortie』の刻印入れるから」
マー坊はもう酔ってるのか?
「ん?まぁ、ツネがいいなら持ってくけど」
「せっかく属性武器といえば『tortie』なんだから、刻印は必要だろ」
ブランドにこだわるなぁ。まぁ店長だしな。
「お、そういえば2人にプレゼントがあるんだ」
「ん?なんで?」
「店長と星4になった2人にお祝いも無しとは、せっかくの生産職の俺としては何かやるべきだろ?」
「そんな、いいぞ?俺は属性武器のおかげで店長になれたしな」
「俺だってまだ借りを返せてないぞ」
遠慮する2人に友人としてやはり渡しておきたい。
「マー坊はこれで、ツネはこれだ」
「ん?バッグか?」
「は?も、もしかして?」
「マジックバッグだ!返品はお断りだからな」
「お、おま、これ金だしても買えないんだぞ?」
「……こりゃ、ダメだ。ルカ、流石にもらえないぞ?」
2人は酔いが覚めたような顔をしている。
「ん?俺が作ったんだ、別に構わんだろ!」
俺が2人のために作ったんだからな!
「ハァァァ……ルカには敵わないな」
「ふぅ、酔いが覚めたぞ。まぁありがたく使わせてもらうわ」
「俺もありがとな」
2人とも渋々だが受け取ってくれた。
初めて触るマジックバッグに興味津々な2人は色々試して驚いて笑っている。
「スゲェな!」
「こんな感じなんだな」
「便利だぞ?収納(中)が付いてるし、中の時間は半分しか進まないからな」
「便利なのは分かってるよ、いつも見てるからな」
ツネが言うとマー坊が頷く。
つまみも運ばれてきて2杯目も進む。
「店長になって少しは楽出来てるが、一流ブランドになったおかげで大変なんだよ」
とツネが愚痴を言うと、
「俺だってリーダーなんかやってるとメンバーをまとめないといけなくてさぁ」
マー坊も愚痴を言う。
「あはは、2人とも大変だなぁ」
「そういえば、まだ星2なんだろ?どこまで行った?」
「そうだよ、ルカはどうなんだ?」
「俺か?俺ももうすぐ星3になるな、今が18階層までは行ったし」
この一カ月でソロでそこまで行くのにちょっと苦労した。
俺も属性武器を錆びた片手剣から作り直して、ステータスを上げた風属性の片手剣を使っている。
使い心地は良く、風の刃で遠距離もいける。
「ソロだろ?パーティーは組まないのか?」
「俺か?素材が欲しいからパーティーを組む予定は今のとこないな」
素材独り占めできるのはいいぞ?
「そうか、パーティーもいいけどな?」
「まぁな。てか、マー坊こそクランは作らないのか?」
「今作ってもな?星5クランにみんな行くさ」
あぁ、『栄光』と『閻魔』か。
「まぁ、クランも良し悪しだよ?」
「そっか」
資金繰りとかメンバー管理が大変そうだしな。
「それよりさ、お前ら女はどうなんだ?」
「あ?俺は1人だからなー」
「俺だってパーティーメンバー全員年下の女しかいない」
「なんだよ!俺ら女っ気が少しも無いじゃねーか」
「おまえもかよ!」
3人とも苦笑してしまうが仕方ない。
色々と話は尽きず飲みは深夜まで及んだ、2人は飲み過ぎてタクシーに乗せると、
「今日はありがとな」
「おう、気をつけてな」
と帰って行く。
まぁ、俺もタクシーなんだけどな。
マンションに帰り着くといい気分でベッドに潜り込むと寝てしまった。
翌朝は少し二日酔い気味で、コーヒーを飲みながらテレビを観る。
なんだかんだニュースになってるが今日も日本は平和だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます