共犯者

kagari

第1話

 彼は、六畳一間のアパートに住んでいた。

 アパートはだいぶ古く、彼以外に誰が何人住んでいるのか、彼は知らなかった。

 彼は自分の部屋の窓枠に、腰掛けてタバコを吸っていた。

 畳には何も置いていないテーブルがあり、部屋の隅には画材道具と使い古したクッションが置いてあった。

 クッションの隣には小さな机が置いてあり、机の上にノートパソコンが乗っていた。

 アパートの外で、野良猫が一匹歩いていた。

 野良猫なのに、白い綺麗な毛並みをしていた。  

 彼が声をかけると、窓の外の手すりに身軽に飛び乗ってきた。

 彼は野良猫を抱き上げ、野良猫を部屋の中に入れた。

 畳の上に長い足を投げ出して座った彼は、野良猫に頬ずりをして、しばらく野良猫と遊んだ。

 そのうち野良猫は飽きたのか、彼の腕をするりと抜け、窓に飛び乗るとそのまま地面に飛び降りた。

 視界から野良猫が消えると彼は画材道具を持ち、ゆっくり部屋から出て行った。

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