静かな雨の夜、月を見上げたふたりの心が少しずつ満ちていく——漱石の「月が綺麗ですね」を軸に、言葉にできない想いと再会の奇跡を描く恋愛譚。“伝えられなかった夜”と“届いた夜”が月の満ち欠けのように重なり合う構成が美しく、柔らかな情景描写が心をあたためてくれる一篇です。