第2話 散歩

 親子3人で散歩をします。

 コースはいつも決まっています。


 いろいろとお話しながら…


「こんな別荘いいね」

「ここ、広くていいね…」

「駐車場、草が生えているから…こちらはほとんど来ないんだね」


 よく手入れされた別荘、近代的な設計のものがあれば、

 朽ち果てているものもあります。


 廃墟同然のものもね…


「自分達で建てるなら…やっぱりさ…」

 夢を語ります。

「こんなウッドデッキがあって、暖炉があって…」

 楽しいひと時です。


 勿論僕は…

「住宅ローンが終わって、りほの学費が終わったらね…」

 と言います。


 がんばれ、もうすぐです。


 瀟洒な建物があります。

 森の中ほどは突き当りで、そこはロータリーになっていて車が引き返せるつくりの道路になっています。


 その先の大きい敷地にホテルといえばそう、だけどおしゃれなつくりの10組くらいは楽に宿泊できる建物があるのです。


 表札には

「○○○倶楽部」とあります。


 きっとね…裕福な人たちが作った倶楽部…この倶楽部という文字自体がかっこいいですが…その方たちの所有のものなのでしょう。


 知る人ぞ知る、別荘地でも表通りではないですが、静かな地にあります。


 僕らはここで引き返して自分達の別荘に戻るのです。


 でもこの大きい建物…人の気配がないのです。

 よく手入れされてはいるのですが、人がいない様子です。


 荒れてもいない…大きい建築物…でも人の気配がまったくない。


 いつも不思議に思い、でも素敵な建物なので写真を撮って帰ります。



 いつか何かがわかるのかな…

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