第十三話 会える日もなく、連絡もまばら………
あの池袋の芸術劇場での『屈辱的な出来事』があって以来『あの人』との連絡は殆しなくなった。 自分から掛けるということも控えていたし、たまに掛けてはみるものの、差し支えがあるのだろうか、なかなか出ることは珍しくなった。 出てくれたとしても、五分くらい喋ったら、
「じゃ、オレ買い物があるから」
とか、
「特別支援学校の息子の迎えがあるから」
とかで電話を切ってしまう……。 また、向こうからかかってくることは一切なくなった。 きっと『奥様』が睨みを利かせているのであろう。 年賀状を出すのも控えた。 正直、どんな修羅場になるか、考えてみただけでも恐ろしい。
それから当分は連絡を全くしなくなった。 季節だけが、目まぐるしく過ぎていった。
すると、引っ越し前の片付けをするときに、偶然、以前頂いていた『あの人』からの『年賀状』を発見するまで『あの人』の影は私の頭から姿を消した……。
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