第八話 オンナの部屋
仕事の日の昼休み、メシを食い終わって休んでいる俺のピッチ (PHS) に、遠藤さんから電話が掛かってきた。
『今度ワタシの部屋に来る?バレるといけないから普段着で来てね♥』
だって。 ははははは!
……イイねぇ〜、逝っちまおうかなぁ?
という事で、俺は埼玉県の鶴瀬駅から電車を乗り継いで遠路はるばる (?) 遠藤さんのマンションの最寄り駅の神奈川県辻堂駅までやってきた。 待ち合わせの場所にはもう既に小綺麗で可愛らしい服装をした『遠藤さん』が、お待ちかねの様子で買い物バッグをぶら下げて立っていた。
「ごめん!」
「また、待たせちゃった!?」
「ううん、全然平気!」
「その代わり、髙橋さんはたこ焼き好き?」
「え!? 」
「たこ焼き!?」
「大好きだよ~」
「よし(๑•̀ㅂ•́)و✧ 、今日はたこ焼きパーティーにしよ!」
俺達は彼女の部屋に行く途中、テラスモール湘南のスーパー『サミット』でたこ焼きの材料を買った。 部屋に上がると早速たこ焼きを焼く支度を整え、キンキンに冷えたビールを冷蔵庫から取り出し、ジョッキグラスを二つ一緒に持参して、ダイニングテーブルの上に置いた。
テーブルの上のたこ焼き器に電源を入れ、油を引き、生地や切ったタコ紅生姜等を流し込むと、たこ焼きが焼き上がるまでの間、ジョッキグラスにビールを注ぎ、喉奥に流し込む。
「ぷはー……うめぇ~!」
遠藤さんはそんな俺を見て静かに微笑む。
「いやぁ、まさか遠藤さんが部屋に上げてくれるなんて思っても見なかったよ」
「しかも、二人でたこ焼きパーティーなんて最高だね」
「食欲の秋だね?」
「いや、高橋さんの場合はビールの秋でしょう?」
「ハッハッハ!」
「一本取られた!」
香ばしい生地の焼ける香りがして来た。 たこ焼きをひっくり返して更に焼き、食べ頃になったら遠藤さんがが俺の皿にたこ焼きをいくつか取ってくれて、ソースとマヨ、鰹節と青のりを掛けて手渡してくれた。
「召し上がれ!」
「ボクもよそってあげるよ!」
俺も同じ様に彼女にたこ焼きをよそってあげた。
「では改めまして、乾杯〜!」
「乾杯〜!」
二人でビールを喉に流し込む……。ぷは〜!
「イイね☆」
その後、俺達は仲睦まじく焼きたてのたこ焼きをつつきながらビールを愉しんだ……。
そして、段々ビールの酔いが回って来ると、おもむろに彼女が胸をはだけて正座していた足を崩し、俺に擦り寄ってその腕に取り付いてきた。
俺はすっかり気を良くして彼女をその場で押し倒し、そのまま二人して戯れた……。
俺達はこうして二人だけの甘い時間を味わった……。
俺達二人はベッドに並んで横になった。
そして俺は不謹慎にも、うっかり口を滑らした。
「……『不倫』も悪くないな」
そこへまた彼女が口付けする。
「また会いたくなったら好きな時に会いに来て♥」
「その代わり万一お互いに飽きたら止めましょう」
「私ダラダラするの嫌いだから」
「……うん、分かった♡」
俺達は再度接吻した……。
そしてそのまま二人してうっかり眠ってしまった……。
目が覚めた時は外がもう薄暗くなり始めていたので、距離も遠いし帰りが遅くなるからと俺は慌てて帰った。 帰り際、彼女が、食べ残したたこ焼きを包んで持たせてくれた♥
「また来てね♥」
お別れのキスをすると背を向けて帰っていく俺を彼女は見えなくなるまで見送ってくれた。
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