3-1話 櫻井剣人の異世界転生
これから始まる三章は、主人公の
そういう裏側とキャラ紹介的な内容で、他の章の半分以下の話数で終わる予定です。
(※このあとからが第三章本編です)
* * *
――文化祭前日、例の爆発事件があった夜。
白羽矢高校の校門前に、一台のタクシーが停まった。
「ごめん
「おい
一目散に校舎へと駆け込む
置いて行かれた
その途中、担任の
「こら、あなた達! どうしてまだこんなところにいるの!」
そのまま廊下を駆け、
――ガッシャーンッ!
大きな音を立てて、ラノベ部の奇妙な展示物に倒れ込む女生徒――たしか
「おい
その後の
そこへ――。
「キミたち何をやってるの! あれだけ言ったのにどうしてまだ帰ってないの!」
「おい、いったい何があったんんだ!?」
背後からの声に
(まずいな、先生に見つかったら問題になっちゃうんじゃ……)
彼女の上に覆いかぶさるように身を投げ出す――。
そんな
(いったい何が――?)
混乱する
倒れた女生徒の下敷きになった奇妙な展示物――その中にあった奇妙な箱。
それにはケーブルやデジタル表示板などがついていて、まるで映画で見た爆弾のような――。
(――って、まさかホントに爆弾――!?)
――その瞬間、
* * *
――次元の狭間にある真っ白な空間。
空も大地も真っ白で、地平線だけが一本の線として見えている。
(えっと……何だろう、ここ? 俺は何でこんなところに……?)
いまだ意識がハッキリしない中、
(確か爆破事件に遭遇して、慌てて学校に駆け付けて……。走り出したテルを追って……そして……そうだ、爆発に巻き込まれて俺は死んだんだ。死んだ……はずだけど……)
ボーっとする頭のまま思考を巡らせる
「――というわけで、貴方には剣と魔法のファンタジーな世界に転移していただきます」
何か喋っている人がいるようだが、
(ああ、ひょっとして……全部夢だったのか……)
いろいろと考えを巡らして、ようやく思考がまとまってきた
「チートは一律同じものになりますので、リクエストは受け付けません。……って、聞いてますか、ケント・サクライくん?」
ようやく周りを気にする余裕の出てきた
声の主はこの空間と同じように、全身が真っ白な不思議な少女だ。
「えっと、キミは……?」
「やれやれ、その様子だと全く耳に入っていなかったようですね。仕方ない、改めて説明しましょう」
そして彼女――ニンフィアと名乗り女神を自称する少女――が語ったのは、
「どうです、ご理解いただけましたか?」
一応聞いてはいるのだが、サブカルに疎い
「えっと……チートって何?」
「そこからですか、厄介な……。貴方、ラノベとか読まない人ですか?」
「友達は読んでたけどオレは全然……。そうだ、『時をかける少女』なら読んだことが……」
呑気に
「――『時かけ』はラノベじゃありませんっ!!!」
「ひぃっ! ごめんなさい!」
――地雷を踏みぬいたのか、一瞬にして怒りゲージが振り切れた様子の自称女神様。
「日本SFの名作をラノベ扱いなんて、いくら死んだからって許されませんよ!」
「……いま一瞬、背後に阿修羅が見えたような……」
あまりの剣幕に怯む
「ともかくですね……あーめんどくさい! ただでさえイレギュラーな転移で、いつもより人数が多いって言うのに! 日本人なら異世界転移くらい必修で覚えなさいよね!」
(異世界転移……ってアレだよな、
普段ラノベは読まない
とはいえ――。
(まぁでも現実にそんなことがあるわけがないし、これって間違いなく夢だよな?)
――と、全く信じていない様子。
「送り出さなきゃいけない人間はまだ半分も残ってるのに……。こんなのばっかりだとやってられないわよ!」
愚痴り続ける女神様に、
「えっと……。よく分からないけど、忙しいなら俺の事はサクッと終わらせてくれていいぞ?」
「……へ?」
「ラノベには詳しくないけど、なんとなく状況は分かったし。送らなきゃいけないところがあるなら、さっさと送っちゃってくれよ」
「……いいんですか、ケントくんはそれで?」
「うん、構わないからやっちゃって」
気楽に答える
ただその内心では――
(どうせコレ夢だしなぁ……)
――と付け加えられているのだが。
「うーん……まぁいっか。どうせ地上でも色々と説明を受けるだろうし」
悩んだ結果、
「それじゃ行きますね。さよーならー」
「あ、はい」
自称女神の合図で、再び剣人の意識が薄らいでゆく……。
(……変な夢だったなぁ…………)
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