SF設定を前面に出しすぎず、人の感情を丁寧に描いている点が魅力的でした。言葉にできない想い、説明しない優しさが、月明かりの描写と重なってとても印象的です。静かな読後感が心に残る一作だと思います。
音楽と写真、二つの表現が交差する瞬間が切なくて美しく、月光とともに浮かび上がる様でした。
都市で出会う“声”と“眼差し”の物語。アルゴリズムが顔を測る時代に、嘘のない視線はまだ存在するのか――その問いが、路上の歌とカメラをめぐる静かなやり取りから立ちのぼります。濡れた石畳、地下鉄の熱気、月光の冷たさまで届く筆致。事件で煽らず、小さな震えを長く響かせる短編です。テーマに対してある一面の解釈を広く、深く切り込んだ構成がお見事の一言でした!