古代文明が残したのは、遺跡ではなく「警告」だった。
- ★★★ Excellent!!!
冒頭の一行から、作品が放つ迫力に引き込まれました。
南米ペルーの高地、鋭い風と異様なほど澄んだ空。
その描写だけで、没入感を覚えます。
考古学ロマンとスケールの大きい神話世界が、わずか二千字足らずの中に濃密に詰め込まれていて、息をつく間もなく世界が立ち上がります。
古代文明の意匠が混じり合った巨石群の描写もみごとで、研究者である彼が感じた異質さがそのまま読者へ伝わってきます。
白い衣の男が現れ、二千年前の封印の記憶が流れ込む瞬間は圧巻でした。
魔界から這い出す怪物たち、砕ける都市、光の粒となって再構成される魔物――
映像的でありながら、どこか祈りに似ている。
考古学好きにはたまらないディテールと、神話のスケール感でした。
おすすめの作品です。