第4話 究極の選択

三度目の夜、女性が現れた。


「あなたには、もう一度だけチャンスを差し上げます」


「でも、無理だよ。誰を救っても、誰かが死ぬ」


「そうとは限りません」


女性は続けた。


「あなたが選べる選択肢は、三つあります」


「三つ?」


「一つ目。大輝を救う。その代わり、親友の咲が死にます」


「二つ目。咲を救う。その代わり、見知らぬ子供が死にます」


「三つ目...」


女性が私を見た。


「あなた自身が、身代わりになることです」


息が止まった。


「私が...?」


「はい。あなたが犠牲になれば、大輝も咲も子供も、全員助かります」


それは、究極の選択だった。


私が死ねば、みんなが生きられる。


でも、私が死んだら、大輝は悲しむ。


「考える時間を、差し上げます」


女性は消えた。


一晩中、考えた。


大輝を救いたい。でも、咲も死なせたくない。子供も助けたい。


そして、自分も生きたい。


でも、全てを手に入れることはできない。


朝になって、私は決めた。


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