作者さまは、ご著作『テクニカル・エリア』で星3500越え、作品フォロー5000越えという実力のある作家さまです。
それに比べて、この作品が伸びてないのは惜しいなあ、とすごく思います。
『テクニカル・エリア』をご覧の読者さま、この『アウトボクサー』もすごく面白いですよ!
『テクニカル・エリア』の登場人物である、稲城がライバルとして『アウトボクサー』にも登場してるから。それもあるし、主人公の法上が、面白い主人公だから。
彼を言い表すと、「対戦したくない相手」その一言に集約されます。
類を見ない主人公です。
・実はこの世代で強さ頂点。
でも、俺ツエーでウハウハしない。
彼のパンチは軽打────猫パンチ。相手をKOで倒す事はない。それでいて、相手に鼻血をださせるくらいの威力はあるし、スピードもあるし、読みも冷静。
腕のリーチが長くて、相手を寄せ付けない。
対戦相手からしたらイライラする試合運びで、法上の判定勝ちが多い。
するとどうなるか。めっちゃ敬遠されるのである。法上がいるミドル級から、選手が逃げてゆくのである……。
そして将来、プロボクサーにデビューしたとしても、対戦相手から
・華々しさにかけ、観客受けしない試合運びで、集客がみこめない。
・法上とやると負けそう。負けそうなのにやるメリットがあまりない。
と思われ、『試合枯れ』────法上はファイトしたいのに、対戦相手が見つからない状況になる可能性も高い。
法上の危惧は、自分のモチベーションダウン。自分との戦いのウェイトが大きいのである。
法上は淡々としている。いつも冷静。
それでいて、リングに立つと、時々、「おお」と思わせる熱いセリフも言うのだ。
彼はボクシングを愛してる。
ボクシングに美学を見出している。
まるで武士道を歩む武士のごとく。
ストイックなんだけど、ストイックすぎない。現代人の高校生だな、という飄々とした部分もある。
「熱さ」……「冷たさ」
「強さ」……「追い詰められるようなギリギリな試合への飢え」
「ストイックさ」……「無茶なほど自分を追い込むことはしない余裕」
それらの相反するものを持っているのが法上です。
彼がどこまで強さを極めていけるのか。見守りたくなります。
これって『テクニカル・エリア』を愛読した読者諸君に刺さるんじゃあないかと勝手に分析しているのだが、どうであろうか、カクヨム読者諸君よ……。
※ボクシングに詳しくなくても読めますよ。
法上京一というサウスポーボクサーの歩みを描いたお話です。
強いけれど、観客受けをしない試合で勝っていくスタイル。アマチュアならよいけれど、プロになれば対戦する相手がいないかもしれない問題。
ライバル視していた稲城がボクシングを引退したことで、法上はこれからの進むべき道、スタイルを探りながら戦っていくことになります。
法上のトレーナー兼セコンドの尾崎がデキる男で、法上との掛け合いが楽しいです。
私自身、ボクシングは詳しくないのですが、分かりやすく説明してくれるので大丈夫。知らない世界を覗き見るのは楽しいですよ!
ほぉーと驚いたり、なるほどぉと納得したり。
ボクシングが好きな人にも、よく知らない人にも。
お薦めです(^^)!