モカ1 入学
「では入学生代表、モカさん。新入生挨拶……というよりやる気をここで思いっきり叫んでみようか」
「はい! ボクは使える魔法が全然なくて、感じ取る能力が一番下のレベルだけど! 何かできるかなと思って入学しましたよろしく!」
新入生代表の挨拶は能力の高さで決まるわけではない。この学校で何を学びたいのか、どんな大人になりたいのか。魔法をもっとたくさん使えるようになったら何をしたいのかなど、校長を中心として教師が生徒と面談をして推薦してくる。満場一致で今年はモカに決まった。
たった今自己紹介したようにモカは今年入学した生徒の中で魔法の力は一番下だった。使う力と感じる力、この二つが備わっていることが最低条件なのにモカは使う力が皆無だったのだ。
だがそれは入学できない理由にはならない、感じる力があるのなら充分だと面接をしてみれば。モカの明るい性格や挫けない心、そして誰とでも仲良くなれる明るい人間性に教師全員が心を打たれた。何かできることがあるはず、という挨拶だったがモカのやりたい事は面接の時に熱く語っていた。
「ボクは、この学校のみんなと友達になります!」
はっきり宣言すると在校生もその言葉を聞いて目を丸くし、笑ったり驚いたり拍手をしたり。馬鹿にする者などいない、全員がパッと明るく笑顔になった。
「我々が感じたことを他の子供たちも感じたようですね」
副校長の言葉に校長も嬉しそうに頷く。
「貧しいと心が寂しくなる。そうするとすべてのことを後ろ向きな感情で捉えて、あの子の言葉にも耳を傾けないでしょうけど。辛いからこそ手を取り合って頑張ろう、という思いが根付いているここの子供たちは本当に心が広い。この学校を立ち上げて良かったといつも思いますよ」
馬鹿にしてくる魔法使いも多かった、役立たずを集めて金にもならないことを一体何にやるんだと。あなたの知識と経験は王都で教鞭をするのにふさわしいのに自ら愚かな選択をするなど。優秀でもやはり平民の出は頭が悪いのか、そんな言葉をたくさん背中に受けてきた。
それがどうだ、在校生たちはもちろんモカのあの笑顔を見ていれば自分の行いは間違ってないと証明されている。モカの暮らしている村は貧しく、人数も少ないと聞いている。だからこそ全員で手を取り合って助け合うのがあの子にとって普通のことだ。誰とでも絶対仲良くなれる、と言えるのはつまり相手を無償で信頼できるから。愛情深い子なのだとわかる。
「あなたの未来にはきっと光輝くものがありますよ、モカ。がんばって」
お祭りのように騒がしくなり始めた入学式は、この後すぐにレクリエーションが待っている。在校生全員で交流会が行われる。そして数日間立て続けに学校が用意したイベントが行われる予定だ。学校の中に隠されている宝探しのイベントだ。ここで他の人たちと仲良くなったり先輩達と交流を深めたり、人との触れ合いを目的とした大切な行事である。
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