星を見つけて歩き出す
無趣味
第1話
真っ暗で自分の手すら見えない場所で、あなたは生まれた。
あ。と声を出してみた。
声を出した感触はあったものの、あなたの頭にその声は認識されず本当に声を出せたのかわからない。
立ち上がってみた。
いや、本当にあなたはいま立ち上がったのだろうか。実は座っている可能性や寝転がっている可能性もある。
何しろ真っ暗な場所で、足元の感覚すらない。
それが身体の異常なのか、この不思議な空間による影響なのか、今は考察したところで無駄だとあなたは悟る
もしかしたらあなたは目を瞑っている状態なのかもしれない。
今目を開いている。という感覚があるだけで実際のあなたの目は閉じたままなのかもしれない。
だったら、一度手で目を触って開けてみよう
そう思いあなたは自分の顔に触れた。
はずだった。
あなたの手は、腕は、あなたの頭があるはずの場所を通り抜けた。
なんの感覚もなく、そこに何も無いのが当たり前のように。
あなたは考えた。
もしかしたら、自分は幽霊なのかもしれない。と
その考えにたどり着いた時、あなたの目の前、もしくは真後ろ、もしくは真上、もしくは真下。
とにかく、暗闇の中に一筋の光が現れた。
しかしそれはただの光と言うにはあまりにも暖かすぎた。
この暗闇が絶望だと言うのならば、その光は希望だった。
絶望に包まれてもなお、その希望は衰えることなく輝き続けて、やがてあなたの体を包み込んだ。
あなたはあまりの眩しさに目を閉じようとする。
けれど、その光は目を閉じた先の暗闇にも、輝いていた。
瞬間、あなたは1歩踏み出した。
ほとんど無意識のようなものだった。
けれどもあなたは光へと踏み出した。
絶望の中から、希望へと向かって
もしかしたら途方もない時間がかかるのかもしれない。しかしあなたは立ち止まることなく歩く
頭の中で止まれ。疲れた。休みたい。諦めよう。そんなことして何になる。そんな言葉が湧き出てくる。
だけどあなたは歩き続けた
やがて足元に柔らかい草の感覚が伝わった。
その次に肌に春の小風のような風が肌に伝わる
そして、あなたは目を開いた。
眼前には草木が生い茂った森があった。
後ろを振り返るもあるのは目の前と同じような草木が生い茂る森だけ
あ。と声を出した。
今度はちゃんと自分の耳に届いた。
あなたはあの暗闇から出られたことに安堵する。
近くに別の危険が迫っていることに気付かずに。
星を見つけて歩き出す 無趣味 @mumeinoshikisainomonogatari
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