第26話 中級下位 遺跡ダンジョン



流石、竜人族だけあって数分もすればグレイさんは目を覚ました。目を覚ました瞬間バッとまさに飛び起きると言った感じで見守っていたみんなは少し笑った。


「グレイさん、大丈夫ですか?手合わせとはいえ少し気合を入れすぎました…」


「あぁ、大丈夫だ。それに手合わせなんだ、多少の怪我なんかは織り込み済みだ。死なないだけ御の字ってやつだ。はぁ…強いとは思っていた。思っていたがここまでとは…様子見として打った竜閃撃を完璧にカウンターして強力な攻撃を叩き込れたらな…完敗だ。」


「では、ラピスさんをメンバーとして加入させても?」


「あぁ、これから娘をよろしく頼む。それに、他の2人も1週間とは思えないぐらいの力を持ってそうだしな、ラピスも戦士としてしっかり育つだろう。」


「やったなのだ!うれしいのだ!ノワール強いから一緒に頑張るの楽しみなのだ、よろしくお願いしますなのだ!」


「おう、これからよろしくな!」


という事で俺達のパーティーメンバーは揃った。これからが本当のスタートと言えるだろう。


という事でさっそく…この街のダンジョン探索だ!



グレイさんが起きて、ラピスが加入した。という事で俺達はさっそくこの街のダンジョンへ挑もうという事になった。


「よし、ではパーティーメンバーが揃ったということでさっそくこの街のダンジョン。中級下位遺跡ダンジョンへと向かうぞ!」


「「「「おー!」」」」


「下級を飛ばしてさっそく中級下位から行くの?連携とか大丈夫なのかい?」


ヴェルナーさんは少しだけ不安そうな様子。まぁ俺の力があれば万が一って事もほぼ無いと思ってるから強く反対しないのだろう。他の冒険者なら間違いなく反対してるだろうからな。


「ヴェルナーさんの不安も最もですが、この街の下級ダンジョンは上位、それも罠や足場が悪く広い沼地ダンジョンですよね?

斥候のルナがいれば足場がただ悪くてめんどくさいダンジョンと言うだけになってしまいます。

それに、初めてのパーティーなのにいきなり足場が悪い所で戦うと変な癖がつく可能性もあります。それは避けたい。そして、何よりこのメンバーなら下級ダンジョンのボスでも訓練にもなりはしないでしょう。」


「なるほど、最もだね、口を挟んで悪かったね。」


「いえ、ご指摘ありがとうございます。…という事が今回中級下位の遺跡ダンジョンへと向かう事にした理由だ。ここもそこそこ広く、中級だから全20階層、10層にもボスモンスターがいるダンジョンだ。とはいえ、遺跡というだけあって罠や隠し扉なんかもあったり油断は出来ない。あと、厄介な特性を持つモンスターも出てくる。」


「もしかして、レイス系かしら?」


「セラ、正解だ。物理攻撃がほぼ効かないモンスター、レイス系統のモンスターが出てくる。対処方法は魔法か属性をつけた攻撃だ。別になんて事はないが、そういった雑魚モンスターにもMPを使わないといけない以上消耗が少し早くなる。そこが面倒なポイントだな。」


「レイス系なら…私の舞でも倒せるでしょうか?」


「シロ、流石だな。レイス系やアンデット系は回復系でも高いダメージを見込める。両方出てくるからシロも回復しつつ、攻撃にも参加してくれ。」


「分かりました、頑張ります!」


「僕は何か注意すること…ある?」


「ルナは、どんな動きをするのか。得意なのかを先ず見させてもらうつもりだ。それによって今後どういう方針でジョブを目指してもらうか決める。その為の今回のダンジョンだな。とはいえ、罠もぼちぼちある場所だからその探知と敵の探知。特に厄介なのがモンスターハウスと言われる罠だからそれを見つけた時は報告を。」


「分かった、頑張る。」


「ノワール、私は何かあるのだ?教えて欲しいのだ!」


「ラピスも動きを見たいのと、武器も色々使って欲しいのと…盾も使ってみて欲しいんだ。」


「盾なのだ?竜人族はあんまり盾使わないのだ。」


「あぁ、あんまり使わないらしいってのは知ってる。だが、勿体ない!何よりも誰よりも盾を使って強いのが竜人族だって言うのに!」


「そ、そうなのだ!?ラピスも盾使えば最強になれるのだ?」


「あぁ、間違いなく最強への1歩になるだろう。後悔させない。」


「分かったのだ!盾使ってみるのだ!」


「よし、みんな準備をしたら出発するぞ〜!中級下位のダンジョンはここから近いから徒歩で行く!忘れ物だけないようにな!」


「「「「はーい」」」」


という事で俺達は中級下位、遺跡ダンジョンへと向かうことになった。




中級下位遺跡ダンジョン。ここはゲーム時代からある意味人気があった。王道中の王道、RPGのダンジョンといえばこれ!という感じのダンジョンだ。


魔道具でぼんやりと照らされるも薄暗く石畳で舗装された通路に意味深な彫刻がある壁。ゲーム時代は考察班が入り浸っていたダンジョンでもあった。俺も興味はあったが最前線攻略プレイヤー組だったのもあり諦めたんだよな…ただ、自分の好きなゲームの裏設定がバンバン出てくるから毎度よく見てた。


ここのダンジョンは数千年前の国の王が志半ばで暗殺された時に造られた墓地がダンジョン化したとかだったかな?

この数千年前の国っていうのが割とダンアラ本編に関わってきたりするのが面白い所。それこそレイドボス関連とかも一部関与してたりするからな。


とりあえず、そういった理由からそれなりに人気だった。あと、何より中級下位の中でも攻略しやすい。ボスもあんまり強くないし、フィールドも少し薄暗い位で敵もそこまで強くない。そして、ボス周回もしやすいんだよな。



色々とこのダンジョンの情報について整理してる間にどうやら入口に着いたみたいだ。


「よし、これから中級下位遺跡ダンジョンの攻略に移るぞ!とはいえ、中級下位の中でも難易度は低めのダンジョンだ。油断しなければまともにダメージを食らうこともないだろう。

ただし、こっちは加入したての2人がいる。最初のうちは連携をとにかく意識して戦うぞ。あと、場合によっては俺は手を出さない。4人でも充分バランスの取れたパーティーになってるから大丈夫なはずだ。その時の指揮は後衛で周りを見易いセラに指揮を取ってみてくれ。」


「分かったわ!」


「中級下位なんてワクワクするのだ!」


「ラピスは最初は使い慣れない盾を使ってるんだから丁寧に戦うんだぞ。」


「分かったのだ!」


「シロはいつも通り、適宜回復とバフで支援。アンデットやレイス系には特攻だから攻撃だ。ルナは武器は短刀二刀流だったか?物理攻撃が効きにくい相手がいるから気をつけるんだ、攻撃に専念するよりも回避に専念だ。」


「わかったよ!」


「了解。」


「よし、じゃあ行くぞ!」


そういうと俺達はいつも通りダンジョンの入口がある洞窟に入る。入って少し歩くと開けた場所に出た。ここが遺跡ダンジョン。


「隊列は斥候としてルナが10歩程先行、前列がラピス、中列が俺、後列がセラ、シロだ。ルナは先行しすぎないのと探知を多めに。敵を見つけても一人で接敵するなよ。ルナが万が一囲まれたりする可能性もある、カバー出来るようにみんな警戒だ。じゃあ、行こうか。」


「「「「分かった。」」」」


士気も上々、中級ダンジョンだからって変に億してたりはしてないな。ちなみに、俺はダンジョンのマップの大半が頭に入ってる+道の決定権は俺にある。マップ埋めもそれなりに楽しくはあるが、中級下位ダンジョンのマップ埋めしても仕方ない。


やるなら、この世界でなかなか攻略されない上級上位から超級、更にその上のダンジョンからかな?まぁそのダンジョンもマップは頭に入ってるから知ってるんだけど…上の方に行けば隠し扉や寄り道でも宝箱が多かったりするから旨みもあるしな。そのついでに、レイド戦戦えるぐらいの戦力は周りに欲しいしその為にマップつくるのは悪くないな!将来やる事リストに追加だ!



という事で俺達は遺跡ダンジョンを初めて訪れたがトントン拍子で進んでいく。

最初は俺が少し指示を出していたが、ここの難易度なら俺以外の4人でも雑魚相手なら充分楽に勝てる。だから、セラに指示を投げて戦闘を見守る。

ここのダンジョンは近接系はスケルトンソルジャーやレッサーゾンビ、ネズミ系モンスターで骸骨を頭に被ってるデッドマウス。後衛系はシャドー、名前の通り影のようなモンスターで奇襲に長けてる。こいつがいきなり魔法ぶっぱなしてくるのが少し厄介だけどルナの探知で見つけれるから問題ない。


近接系に対しては、ラピスが盾と重厚感あるハルバードで振り抜き、叩き割り、時には鋭く突き出しと全く相手を寄せ付けない。数が多い時は、ルナが裏へ飛び込み混乱を誘う。


「ラピス、ルナ!2人ともかなり動きがいいな!パーティー入るのは初めてじゃないのか?」


「初めてだけどノワールとセラフィナの指示が分かりやすいし、出来ることが限られてるから専念出来るのだ!とってもやりやすいのだ!」


「僕は、アノンねぇにそれなりに手解きは受けてた。でも、ラピス同様指示が的確で無駄がないからというのが1番。」


「そりゃよかったよ、後衛組はどうだ?」


「正直3人でやってた時よりしっくりくるというか、安心感が違うわね。別にノワが悪いって訳じゃなくね。」


「私も同じです、地に足が着いたようなそんな感じです。」


「よく分かってるな、その通りだ。俺はあくまで遊撃でタンクも斥候も精々サブ止まりだ。本職がいるとここまで安定感が違う。だから、早めにメンバーを集めたかったんだ。」


「なるほどね……納得よ。」


「あと、数戦やれば連携もほぼ完璧に近くなるだろう。これはラピスとルナのセンスが大きい。優秀なメンバーをスカウトできてよかったよ。」


「ラピス褒められちゃったのだ!嬉しいのだ!」


「……ノワールは褒め上手。油断出来ない。」


「ラピスは素直だけど、ルナはどうした?気に触ったか?」


「問題ない。これからも頑張る。」


「?おう。」


そんなやり取りをして更に雑魚をどんどん蹴散らし、順調に俺達は10階のフロアボス前のセーフティエリアまでたどり着いた。


「よし、連携は充分取れるようになったな。ここからはフロアボス戦だ。相手は暗黒近衛騎士団長エレオスだ。」


「騎士系のモンスターなのね。」


「あぁ、エレオスはここの数千年前の国の王、その人を守り切れなかったことでダンジョンの元になった墓地で自殺、その怨念がエレオスになったと言われてる。事実かどうかは知らないけどな。」


「ってことは私の神聖の光とかは……」


「かなり効くだろうな。」


「あとの注意点は?」


「そうだな、防御力と攻撃力が高い分速さはあまりない。正直、セラとシロ、俺の魔法があれば簡単に勝てるだろう。まずは勝つ、その次に近接職メインで攻略。エレオスを数回周回するぞ、ここのエレオスの装備1式をラピスに暫く使って貰いたいからな。」


「………周回?ダンジョン1からやり直すってこと?」


「せっかくここまで来たのに、1番奥まで行かないのだ?」


「いや、ボスを復活させる方法があるんだよ。これはこのパーティーに入ったら絶対に今後もやり続ける。ただ、他には漏らしちゃダメだぞ!」


「よくわからないけどわかったのだ!誰にも言わなければいいのだ!ラピスは約束守れるのだ!」


「……アノンねぇが急激に強くなれるとは言ってたけどこういう意味があったのかな……」


「……数日前に見た光景ね?シロちゃん。」


「そうだね、数日前の私たちと全く一緒だね、セラちゃん。」


「じゃあ、サクッとエレオス倒しちゃおうか!」


そういうとみんなでボス部屋へと足を踏み入れるのだった。

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