第24話 顔合わせ
第1章まで書き終えたので前まで通り1日2話投稿しようと思います。
楽しんでいただけると幸いです。
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翌朝、目覚めると顔が真っ青なレイラが床で寝ていた。なんともまぁ酒臭い。これは二日酔い確定だろうな…床で寝るな床で。お前は社畜OLか。
てか、この状態でよく宿まで帰ってこれたな。
「…レイラ起きろ、今日は冒険者ギルドにも着いてきてもらうぞ。」
「……おはようございます、ノワール様。宿で寝てちゃダメですか…頭がガンガンします…」
「アホなこと言うな、二日酔いだろ?自業自得だ。さっさと湯浴みをして着替えてこい。」
「……うぷ…ちょっと気持ち悪くて動けません。」
「はぁ…仕方ないな、〈ゴッドブレス〉、〈レンジヒール〉。」
ゴッドブレスは状態異常を治し、更に耐性を上げる。レンジヒールは想像通り範囲回復な訳だが…勿体ないけど回復スキル今これしかないからな、仕方ない。
「…ノワール様…!す、凄いです!頭痛も倦怠感も気分が悪いのも無くなりました!」
「手間かけさせやがって…今回だけだからな!さっさと湯浴みして着替えてこい。」
「こ、今回だけってそんな…」
「主人を酔い醒ましの道具にしようとするんじゃない。お父様にチクるぞ。」
「今すぐ準備して参ります。」
はぁ…全く切り替えが早いというか調子の良い奴というか…ちゃんとしてたら綺麗め美人なんだけどな…レイラは一体どこで道を踏み外して残念美人になったんだろうな…。
面白いからいいけどさ。
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俺達は軽く腹ごしらえをしてお昼前に冒険者ギルドへ向かう。
「どんな子が来るのか楽しみね!」
「あぁ、これから何度も背中を預け合う仲になるからな。楽しみだ。」
「私も優しい子達ならいいなって思います。」
「まぁ一人はアノンさんの妹って話だし、大丈夫だろ。もう1人もヴェルナーさんの知り合いの子供みたいだから変な子じゃないと思うぞ?レイラはどんな子か分かるか?」
「あぁ、竜人族の子供がいましたけどその子ですかね?人懐っこくて可愛らしい元気な子って感じでしたよ。お店の手伝いをしてましたね。」
「なら、大丈夫そうだな。ただ、問題があるとすれば竜人族は強い者にしか従わないってのがあるけど…それはまぁ俺がなんとでもするさ。」
「そんな簡単に言うけどおかしいからね、言ってること。しかも、恐らくヴェルナーさんとパーティーを組んでたお父さんと戦うことになるんでしょ?」
「まぁ十中八九そうだろうね、けど心配しなくても大丈夫だよ。」
「…分かったわ、このパーティーのリーダーは貴方だもの。任せるわ。」
「わ、私も応援するので頑張ってください!」
「ありがとう、セラ、シロ。さぁ、もう着くからな。まずは顔合わせからだな。」
そういうと俺達は冒険者ギルドへ入り、アノンさんに出迎えられて応接室へと通された。
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俺達が応接室に入ると、そこには金髪ショートカットで片目が隠れた美少女。この子がアノンさんの妹さんだろうな。アノンさんとは全然系統が違うけど綺麗な子だな。将来モテまくる未来が見える。
そして、その子が座ってる向かいのソファーにドカッと効果音がなりそうな感じで座ってるのが、昨日酒場でレイラと肩を組んで飲んでる姿を見かけた竜人族の男、そしてその隣に頭に小さめのツノが2つ、そして綺麗で深い青色をした鱗がある尻尾を持つニッコニコの笑顔で待つ少女がいた。この子は可愛らしさ全開元気っ子って感じだな。
そして、奥の執務用の机がある場所でリラックスしてる様な雰囲気を見せるヴェルナーさんがいた。
「皆さん、お待たせしました。遅れてしまいましたか?」
「いいえ、時間より少し早いぐらいです。それでは顔合わせといきましょう。」
どうやらヴェルナーさんが仕切ってくれるみたいだ。ありがたいね〜、仕切るのも体力いるからな…
「まずは、今回パーティーメンバーを募集したリーダーから順に自己紹介してもらおうかな?」
「分かりました。今回パーティーメンバーを募集してるパーティー、強欲のリーダーを務めています、ノワール・アルベルージュです。今は前衛がいないので前衛をしてますが、基本的に遊撃のポジションにつこうと思っています。」
「次は私ね、強欲のサブリーダーを務めることになったセラフィナ・メルトステラよ。私は魔法を駆使したアタッカーよ。メルトステラと聞いてピンッと来る人もいるだろうけど私はメルトステラ公爵家の娘。でも、属性への拘りは捨てたわ、目指すは最強の魔法使いよ。」
「私は、強欲のメンバー。主にヒーラーとバッファーを務めるシロコです。私は、一族にダンジョンに置き去りにされた所を助けられてパーティー入りしました。よろしくお願いします。」
「強欲の皆さんありがとう。彼らは全員今年覚職した子達で昨日正式に冒険者登録とパーティー申請を行なったが、無事昇格試験を突破してDランクになっているぞ。」
「ほぉ…1週間足らずでそこまでとはやるじゃないか。流石、アルベルトの倅って所か。」
そう呟いたのは竜人族の男だ。
「父を知っておられるのですか?」
「ん?知らなかったのか?俺とヴェルナーのパーティーはお前さんの親父とお袋のパーティーと当時切磋琢磨しあった仲でな。よくダンジョンでもバッタリ出会うもんだからライバル視したりしてたんだよ。別に仲は悪くなかったけどな。」
「そうだったんですか…」
「なんなら、お前の親父さんよくウチの店にそこのヴェルナーと顔出しに来るぜ。その時は3人で飲んだりしてんだ。」
「そうだったんですね…」
「よく話は聞いてるぜ、異常に優秀で強い息子がいるってな。」
「まだまだ未熟者ですよ。」
「おっと、自己紹介がまだだったな。俺は酒場〈龍の火酒〉店長のグレイだ。で、こっちが娘のラピス。」
「やっと挨拶できるのだ!私はラピスっていうのだ!私はとっても強い竜人族になって、最後はホントの龍になれたらいいなと思ってるのだ!これから仲良くしてくれると嬉しいのだ!」
「まぁ、見ての通りまだ幼い所もある。だが、俺達は竜人族だ。ラピスにも強くなってもらわないといけないんでな。だが、中途半端な奴に預ける気はねぇ。その為に俺は来た。」
「えぇ、でもノワールは既に有り得ないぐらい強そうなのだ。オトンは勝てるのだ?それに昨日飲み過ぎて体調悪そうなの状態だから、尚更私は勝てないと思うのだ!」
「……娘はまぁこんな感じで純真というか無垢というか…」
「心中お察しします…あと、二日酔い治しましょうか?」
「いや、これは羽目を外して飲み過ぎた罰だ…ってそこの姉ちゃんはノワールのメイドだったのか…」
「そうですよ…レイラ、ちゃんとグレイさんを見習えよ。二日酔いで辛い時に手を指し伸びられても罰として受け入れてるだろ。」
「私にはノワール様を守る使命があるので。」
「何キリッとした顔で言ってんだ!昨日あんだけベロベロに酔っ払って夜中まで帰ってこなかった癖にどの口が言う。昨日も護衛兼メイドだったはずなんだが?」
「……気の所為でございます。」
「減給と明日以降しばらく自由時間なしね、反省してもらう。」
「そ、そんな殺生な!横暴です!あまりにも!お願いですから許してください。お願いじまじゅぅぅぅ……」
あぁ、レイラのダメさ加減がこの部屋にいる全員に知れ渡ってる…それの主人とかあまりにも恥ずかしすぎるぞ…レイラめ…
「…はぁ、そのみっともない鳴き声と土下座はやめろ。自由時間はありにしてやるから今すぐやめろ、そしてもういいから一旦宿に帰って寝とけ。」
「え?いいんですか?やった!ノワール様、天才最高愛してます!では、お先です!」
そういうとレイラは嵐のように去っていく。全員呆気に取られてるよ…
「…身内が恥を晒しました、申し訳ない。」
「いや、俺も昨日ハメ外して飲ませすぎちまったからな…すまねぇ…」
「いえ、普段からあんなんなんでお気になさらず…」
「アルベルトの倅って事は貴族だってのに苦労してんだな…」
「えぇ、ホントに…話を遮ってすみませんでした。次はアノンさんの妹さん紹介お願い出来ますか?」
そういうと俺はアノンさんの妹に目線を向けて自己紹介を促す。
「…あの後だからとてつもなく自己紹介しにくいんだけど…僕はルナ・グレンジャー。そこにいるアノンねぇの妹。暗殺者やスカウト系のジョブのスペシャリストになりたいと思ってる。あと、最初は僕、無表情に見えるらしいんだけど不機嫌とかじゃないから誤解しないで欲しい。慣れたら他の人より表情豊かだと言われる。よろしく〜。」
「うんうん、これで自己紹介は一通り終わったね。まずはルナ君から聞こうかな。強欲は君のような斥候ポジションの人を探していた。入る気はあるかい?」
「僕はもう決まってる、尊敬するアノンねぇが推薦したパーティーだし、何よりリーダーのノワールはぶっちぎりでやばい。けど、他の2人も強そうな匂いがする。正直、まだ覚職して1週間なのにこれだけのオーラを身に纏えるのは異常。ここに入れば強くなれる。なら、もう入るしかない。」
「なるほど。今の話を聞いてノワール君はどうかな?」
「全く問題ないです、向上心も強くてひたむきさを感じるし、無表情に見えると言いながら面白そうな子です。何よりも、僕を警戒しつつも残りの2人の練度の高さに気付けたのも素晴らしいと思いますから。即採用ですね!」
「分かった。では、ルナ・グレンジャーは正式に強欲に入ることを認める。あとで、ライセンスカードで申請しておいてね。」
「了解しました。」
そこまで話すとふぅ…と息を吐きヴェルナーさんがグレイさんに顔を向ける。
「…まぁまずはラピスちゃんに聞こう。ノワール君のいるパーティーに入りたいかな?」
「うん!私は入りたいのだ!ノワール達と一緒にいれば間違いなく強くなれるのだ!」
「という事だけど、ノワール君の方はどうかな?」
「うちにはムードメーカーがいませんでしたし、性格も明るく良い子なので大丈夫です。」
「って事だが、グレイ。やるんだろ?」
「あぁ、アルベルトの倅。済まないが先も言ったように実力を見ないうちにうちの娘を預ける事は出来ん。立ち会ってくれるか?」
「もちろんです、その覚悟はしてきていましたから。」
「おぉ!オトンもノワールも頑張るのだ!」
「こうなると思って訓練所は抑えてある。移動しよう。」
そういうと俺達は皆でギルドの地下にある訓練所へと足を運んだ。
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