第23話 酔っ払い駄メイドとお利口な子供

気付いたらあっという間に600pvを超えてました、ありがとうございます!


今第1章となる所を書き終わる直前まで来てるので頑張って行きたいと思います!

キャラの掘り下げの為間章を少し挟み、第2章に入っていこうと思います。第2章はお察しの通り学園編になると思いますので楽しみにして頂けると幸いです。


また、もし良ければ目次からレビューで☆☆☆を頂けるとモチベになりますのでつけて頂けると嬉しいです!


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冒険者ギルドの向かいにある酒場〈龍の火酒〉

そこで完全に出来上がったレイラとその店の竜人族の男がどんちゃん騒ぎをしていた。まだ日も落ちてないというのに……それに一応世話周りのメイド兼護衛として来てるはずなんだが気を抜きすぎじゃなかろうか?

奥さんであろう竜人族の女性は物凄くジト目で男の事を見てるし…全く何をやってるんだか。


「ノワ、レイラ完全に出来上がってるけどどうする?」


「出来上がったレイラは面倒臭い、宿の場所はもう決まってるし放っておこう。楽しんでる所を水を差すのも気が引ける。」


「……あのレイラさんって今日おやすみだったんですか?」


「いや、レイラは今日メイド兼護衛として来てるよ。」


「それってダメなんじゃ……」


「そうね……とんでもないわね。」


「あぁ、シロもセラも初めてだから面食らうよな。レイラの見た目で騙されがちだけど別に真面目な奴ではないぞ。サボり常習犯、俺の世話周りやってる理由も俺がなんでも出来るから手伝わなくて楽だから。これからも遠征とかする機会があれば着いてくるだろうけど着いてくるのも楽しくて楽だからだ。」


「よくそれでクビにならないわね……」


「うん……私からしても信じられないよ……」


「まぁ、多少難ありだけどやる時はやるやつだし、かなり優秀だからな。それ以外の時とのギャップがとんでもないってだけで。」


そう言いながらレーツェの宿まで歩く、一応貴族だから1番良い宿を取ってる。冒険者ギルドから10分程の場所のところだな。


レーツェの街も程よく栄えていて宿までの道中見るのが楽しい。魔道具屋や武器屋、酒場や食事所、宿屋それぞれが高級路線な店から庶民やダンジョン初心者にも手が出しやすい店まで様々だ。中には冒険者としての経験を積む為の訓練所まである。

このレーツェの近くのダンジョンは下級、中級、上級がそれぞれ1つずつ。だから、初心者から上級まで色んなレベルの冒険者がいつきやすい。だから、こんなに色んなバリエーションに富んでいるだよな。

他の街だと上級が3つある街だと何処の店もそれなりに高級だ。それなりに力がある稼げる人間が来るってことが分かってるからな。街それぞれ特色が出るから巡るだけで楽しいんだよな〜。



そうこうしていると目的の宿屋に到着した。


「よし、宿に着いたな。セラとシロは同部屋で俺は1人だな。」


「え、ノワも一緒じゃないの?」


「んな訳あるか、流石に気を使うわ。」


「婚約者なんだし、別にいいじゃない。何かする訳でもないんだし。」


「私もノワくんなら問題ありません。」


「いや、そういう意味じゃなくて……ダメなものはダメです!婚約者だろうとダメです!」


「なによ、寂しくなっても入れてあげないんだからね!」


「いや、部屋に入れてもらうぞ、明日の会議をする。」


「……部屋入るなら分ける意味あるのかしら。」


「確かにそうだなって納得しかけたけど……ダメなもんはやっぱりダメだ。未婚の女性と同じ部屋で1夜を過ごすのは良くない。非常に良くない。これはケジメだ。あと、せっかくパーティー組んだのに爛れた関係になるのは頂けない……。解散する原因になる。」


「爛れるような事するつもりなの?」


「ノワくんもちゃんと男の子なんですね。」


「爛れる様な事はしないが、俺はちゃんと男の子だ。そして、お前達は幼過ぎる。俺も含めてだけど10歳なんてまだまだ子供なんだから生意気な事言うな。あと、6年は早い。」


「6年は遅すぎじゃない?」


「私もそう思います、15歳で成人ですよ?」


「これは俺の感覚的な問題だ。」


「……セラちゃんも苦労するね。」


「えぇ……ホントに……」


「アホなこと言ってないで会議するぞ、明日メンバー増えるんだからな。」


「もうメンバーになるの決まってるみたいな言い方ね?」


「俺は強欲で傲慢なんだ、絶対口説き落としてメンバーにするぞ。」


「……なんでそれでカッコつくのか不思議だわ。」


「ですね〜。」


そんなやり取りをした後に俺達はそれぞれの部屋の鍵を受付でもらい、そのまま会議を行なった。

途中、宿からの食事が出されたので会議をしながら食事を取り夜が更ける前に解散した。

会議はしっかり出来たし、シュミレーションもできた。問題ないはずだ。


ちなみにレイラはと言うとその日は帰ってくる事がなかった。飲みまくって最後には潰れたんだろうな……酔っ払いの相手をしなくて良くなった事だけは幸いだな。あいつの心配?いらないいらない、酔っ払ってようが襲われる危険を感じたら叩きのめせるよう訓練積んであるからな。伊達に優秀じゃないってことだな。



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私の名前はヴェルナー・ドレファス。アルベルージュ領のレーツェと呼ばれる街の冒険者ギルドを統括している。

領主であるアルベルージュ伯爵とは普段から懇意にしている。元々2人とも冒険者として活動していた事がその時に知り合った。半分腐れ縁のようなものだ。

別のパーティーだったがよくダンジョンで鉢合わせたりして時には競争、時には共闘と切磋琢磨し合った仲だ。そして、あいつは伯爵になり、私は冒険者を引退する時にスカウトされレーツェの冒険者ギルドのマスターになった。あいつとは引退しても素材の取引などで顔を合わせる事も増えて、お互い現役だった頃の話を酒を交わしながら出来る貴重な存在として関わることが現役の頃より増えた。


そんな中、私が統括してるギルドに領主の次男が冒険者に正式になる為に訪れるので対応して欲しいと連絡があった。なんでもかなり優秀ながら特殊な子で不思議な力やどうやって知ったのかという知識まで持っているという。最初は半信半疑で、自分の子がただ可愛いだけの親バカだと思っていたんだが…


「ふぅ…アノン、あの子はとんでもないね。」


「はい。伯爵様が直々に内密にと言ってた理由が分かりました。」


「あの子は特別なんて言葉で片付けれる様なものじゃないよ。」


「正直どうやって私たちのジョブを看破したのか、さっぱりです。」


「そうだね…あんな経験はそこそこ長く生きてるけど初めてだ。それに私はエルフだからね、精霊が見えるんだけどそれはもう凄かったよ。」


「…どんな風にかお聞きしても?」


「大慌てというか、なんというか…みんなひれ伏すようなそんな感じだったよね…あんな反応精霊王でもされてる所見ないかも。」


そう、私はエルフの中でも少し特殊な体質、精霊眼を持っている。普通知覚できない精霊の動きの詳細がわかるのだ。ただ、精霊というのはプライドも高くイタズラ好き。

気に入られれば特殊な加護や力、魔法の制御が上手くなるなどの恩恵を得ることが出来る。だが、その条件はかなり難しい。

そんな彼ら精霊がノワール君を見ると全員が慌てふためき、真っ青な顔で平伏したのだ。こんな事、1度精霊王を見かけた時でも有り得なかったというのに覚職したばかりの少年にこのような反応を見せるのは異常だ。


「マスターは…仮にですが彼やその仲間達の子と戦うとして勝てますか?」


「…この際はっきり言っておこう。無理だね。理由は分かるでしょ?」


「はい、ノワール君の力は卓越した技量にあるかと。ステータスで多少上回っていようが簡単に負けるでしょうね。しかも、その技量を囮にしている。私達に見せてる部分はブラフか表面。実際は私達が理解できる範疇を超えるかと…」


「…ホント有り得ないよね、あの歳であれだけの技量を持ってるんだもん。天才なんて言葉でも生ぬるいね。そして何より、悪い子じゃなくて良かったってのが1番だね。」


「そうですね…それが分かったからこそ私はルナを紹介しようと決めました。あの中で揉まれれば強くなれて身も守れる。下手したら世界一安全な場所ですよ、その分過酷でしょうけど。ノワール君、仲間思いのようですし。」


「そうだね…仲間に危険が及んだ際は自分の持てる力を全て使ってでも守ろうとするぐらい人情もあって、それでいて何とかできてしまう力を持ってる。」


「はい、少なくとも能力1つで自分だけのし上がってパーティーメンバーを育てる事をしない様なタイプでもなさそうですね。」


「彼は1人でも充分すぎる程強いけど更に先を見据えてるんだろうね…さて、ノワール君に紹介する為にグレイ達に連絡を入れないとな。」


「火酒のマスターですね、ただ加入するにあたって間違いなく模擬戦を申し込みそうですが…」


「まぁその辺はノワール君なら折り込み済みだろうけどね、竜人族は気のいい奴らだけど一線を引くタイプ。仲間にしようと思うと強さを証明しないといけない。強さへの渇望がどんな種族よりもあるからね。そして、彼らは単純に強い。」


「…勝てるんでしょうかね?」


「まぁ正直ノワール君があっさり勝つと思うけどその強さの一端を知る良い機会だと思うよ。明日の昼1番に訓練所抑えておいて、間違いなくやるだろうから。」


「はい、了解しました。」



こうして夜が更けていった。

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