第17話 ノワール婚約するってよ
いつも本作品を読んでいただき、ありがとうございます。
本日で300pvを突破しました!
最近少しずつですがpv数も伸びてきていて嬉しい限りです。
これからも稚拙な所もあると思いますが、頑張って良い作品に出来るよう頑張ろうと思います。
また、作品のレビューで☆☆☆を頂けると泣いて喜びますので付けて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!
長くなりましたが本編をどうぞお楽しみください。
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「昨日はあんな風に言ってたけどやっぱり2人目も引っ掛けてきてるじゃないか…」
「ぐっ…そんな事ないって言いたいのに事実が事実だから言い返せない…」
「ノワなら2人じゃたぶん済まないわよ…ノワ以外みんな女の子になってても不思議じゃないわ。」
「やめてくれよ、お母様。人がはべらしてるみたいな言い方…そんな子供嫌ですよ。」
「それをとうの子供本人が言うのもどうかと思うんだが…」
今日はひたすら荒野ダンジョンのボス、エンシェントウルフを相手に周回した。その甲斐もあって、みんなメインジョブにしっかりと就くこと出来てる。普段でもここまで早く上がらないぐらい異常なスピードでレベル上げが出来た。
あとは、中級下位のボスからドロップするアイテムを使えば中級職へランクアップだ!
中級ダンジョンの解放条件は冒険者ギルドからのパーティー昇格試験を受けて受かる事。まぁ内容は比較的緩い。まぁ中級以降からは一気に厳しくなるんだけどな。
それはそれとして、今日俺はシロという狐人族の少女を助けて、なんやかんやありパーティーを組む事に。行く宛てもないのでウチにで暫く滞在すればいいと言ったのだがその結果、最初のやり取りに繋がったのである。
…まぁね、シロはぴょこっとした真っ白な狐耳とふわふわの尻尾を持つ美少女だからね。前日に連れてきたセラも銀髪赤眼の美少女だからね。そう言われても仕方ないのかもしれないけどさ…そんな人が節操ないチャラ男みたいに言われるのはちょっと心外だ。
何よりも、まだ少女なのだ!少女に手を出す趣味は俺にはない!将来?それは知らんな!
閑話休題
「ところで、明日セラちゃんのお家の方達が到着するそうよ。」
「そうなんですか…メルトステラ家の領地って結構離れていた筈なのに偉く飛ばしてきたんですね。」
「それほどセラちゃんが心配だったって事よ、色んな意味でね。手遅れだけど。」
「手遅れ?」
「…ノワ?貴方自覚してセラちゃん落としたでしょ?男として責任は取りなさいよ?」
…お母様、ジト目怖いです。いや、そうだよね。あれで何もないは筋通りませんよね。分かってましたとも。まぁ、美少女で性格も良くてノリがいい所もある。パーティーメンバーとして更に深い仲にもなっていくだろうからな。俺は問題ない。
なんてったって将来クッソ美人確定だしな!
「…肝に銘じておきます。」
「よろしい!ノワの婚約が決まる明日はお祝いね!」
「お母様?流石に気が早すぎるかと…」
「絶対明日決まるわよ?多分、セラちゃんが開口一番にそれを言うわよ?それを公爵閣下も娘が助けられた手前、また娘からの願いに断りきれず、しかも腕前も超一流って分かれば逆に素直に引いて大団円になる流れよ、間違いないわ。」
「……想像つきますね。多分向こうは褒美の一つにセラを…とまで言って顔真っ赤になったセラに蹴られる所まで見えます。」
「あら、ノワよく分かってるじゃない。流石私の息子ね。」
そうして迎えた翌日。セラにベタ惚れだというメルトステラ家当主ハイネス、年齢は40代前半位だろうが見た目は若く身体も引き締まっている。赤髪の男。そして、セラの祖父で60代というのに衰えなんて感じさせないエネルギッシュでマッチョな御仁、前当主アーロンが就いてそうそう馬車から飛び出しセラに飛び込んでいった。そこを少し遅れてやってきてハイネスとアーロンを叱りつけてるのが公爵夫人のサラ。サラさんはセラと似て綺麗な銀髪だった。
「セラぁ!セラ!!会いたかったよ、ホントに無事でよかった……」
「ちょ、ちょっとお父様!?アルベルージュ家の方達の前ですよ!?」
「うぉぉぉ、セラ!済まなかった!!護衛なんかに任せずに、せめておじいちゃんがついて行ってれば怖い思いをさせずに済んだというのに……」
「お、お爺様まで……」
「こらこら、公爵家の人間が情けない所見せるもんじゃないでしょ!先に、アルベルージュの方達にお礼を言わなくちゃ。」
「そうですよ、まずは改めてお礼を言わなくては……シャキッとしてください!」
メルトステラ家はあんな感じなんだな、噂通りセラにダダ甘なただの父と祖父の姿だ。
だが、そこは現役の公爵閣下。さっと立ち上がると切り替えたのか纏う空気が変わる。ゲームでは公爵になんて会ったことなかったし、リアルでも偉い人と話すなんて事がなかった俺は一気に冷や汗が噴き出す思いだ。上位プレイヤー複数人に囲まれるより緊張するぜ……
「さて、お見苦しい所をお見せした。改めて自己紹介とお礼を、メルトステラ家当主ハイネスだ。この度は娘を救って頂き感謝の言葉もない。」
そういうとハイネスは頭を下げた。公爵閣下が頭を下げる、この意味はあまりにも重すぎる。立場的にそんな簡単に下げちゃダメ!ましてや、こんな小童に下げるなんてダメだって!と焦った俺はすぐに言葉を紡ぐ。
「は、ハイネス閣下、どうか頭をお上げください。……お初にお目にかかります。アルベルージュ家次男ノワールです。成り行きで助けれたのが私だけだった、それだけの事です。当然の事をしたまでです。」
「だが、君に助けられたというの紛れもない事実だ。もしかすると娘も護衛も殺されていたかもしれないのだ。本当にありがとう。」
「いえ、本当にお気になさらないでください。」
そういうと肩を竦める。確かに助けたがどこの誰かなんて最初は気にしてなかったし、自分に理があったからこそ助けに入ったに過ぎない。だから、ここまで丁寧に感謝されると変に後ろめたい気持ちが出てしまう。
そんな事を思ってるとセラが横から声を掛ける。
「お父様、ノワール様へのお礼はもうお決まりですか?」
普段と違う余所行きの呼び方。まだ会って数日だが驚きだ、令嬢モードになるとこうなるんだな。
「セラ?いや、ノワールくんがどんな人物でどんなお礼を気に入って貰えるか分からなかったからね……要らないものを貰っても仕方ない部分があるだろうって思って聞いてから決めるつもりだよ。」
「なるほど……それはそれとしてなんですけどお父様。」
「………………聞きたくないと言ってもいいかい?」
「聞き入れて頂けないなら家を飛び出すだけです!」
「クッ……聞こうか……」
「私、セラフィナはここにいらっしゃるノワール様との婚約をお父様にお願いしたいのです。」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!絶対そうだと思った!!!!うわぁぁぁぁぁ!!!」
また、公爵閣下が壊れた……なんかみんなスイッチ切り替わるとホントに別人みたいなんだからすごいよな……所でなんで俺がいる目の前で婚約打診されてるんでしょう……いや、昨日お母様の言ってた通りって訳だな。いの一番にそれをいうセラも凄いな、しかも目の前で言うことで外堀埋まっちゃったよ……いいけどさ。
「お父様、私もメルトステラ家の末席に名を連ねる者。ですが、そんな私でも全く理解出来ぬほど、強く美しく気高い、そんな剣を振るい私を守るノワール様に一目惚れしてしまったのです。」
「……そうだね、ノワールくんがとんでもない使い手だということは見れば分かる。」
流石、公爵閣下。俺がかなり腕が立つ事は一目で見抜いたようだ。
「それに、私とノワール様でパーティーを組んでダンジョンへ行った時も的確かつ確実な指示を飛ばして攻略して見せました。」
「それはまた……なかなかとんでもないね……」
「それに、ノワール様は紳士で優しくお茶目な所も持ち合わせてる素敵な方です。」
「まだ、出会って数日じゃなかったかな……?それなのにそこまで言い切るなんて」
「数日もいれば充分すぎる程分かります。」
「そうか……」
うん、まぁね俺も数日とは思えない程の親しみをセラに覚えているのは間違いないよ?けど、色々ぶっ飛ばして婚約まで行くのはやっぱり向こうの感覚が残ってる今はやっぱり困惑の方が勝つな。
「……では、ノワールくんに聞こう。セラ自身はこう言っているがノワールくん、君はどう考えているのかね?」
こっちに話を出して目で訴えかけてくる……。ただ、もうセラはパーティーメンバーだし、こうなったのは俺のせいな所が半分ぐらいある。
そうなると自然と答えは決まってる訳で……
「私も、セラフィナ様と縁を結べる事が出来ればそれ以上の喜びはありません。」
そう伝えた。すると周りから割れるような歓声とがっくしと項垂れる公爵閣下。そして、泣いてるセラのお爺様に、にっこり笑顔のセラのお母様。まさに喜怒哀楽が混ざりあった空間がそこにはあった。
という事で、本当に予想通りの展開になり、俺の婚約者があっさり決まるのだった。
まだ、こっちに来て1週間経ってない気がするんだけど…こんなポンポン人生進むもんなの?しかも、相手が公爵家のご令嬢?冷静になると怖いって…
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ちなみに娘を助けてくれたお礼として、剣を受け取った。なんでも、俺の剣に万が一があって戦闘不能になった時悲しむのはセラだからだとかで、あの話が終わってすぐにヒヤリングをして見繕ってくれた。
そう言われると受け取るしかない。
ちなみにその剣の名前は《ブレイブハート》所謂勇者武器シリーズと言われる物の1つだった。
上級上位のドロップ品かな?今の国の価値だと国宝級なんだが…今の俺にはオーバーパワーだ。(ステータス的に何を今更という所ではあるが出来るだけ自分で集めた装備で進めたいというのがゲーマーというもの。)
暫くは封印かな、アイテムボックスにしまっておいていざと言う時使おう。
ちなみに、セラのお祝いの装備の件で一悶着あったらしいがそっちはノータッチだ。原因は俺?俺はスタイルの話をしただけだからいいのさ。
そこからは両家総出で祝いの場で親類はある程度集まってるからとパーティーまで始めた。
後日、ちゃんとした婚約パーティーを開くそうだが、今は両家の仲を深めようという事で無礼講というのもあり、どんちゃん騒ぎだ。
両家とも領地がそこそこ離れてるせいで関わりは元は薄かったが、気質としては似ている。
実力主義で、家族思い。ガチガチの貴族らしくなくフランクな感じだが両家共にそれなりにしっかりとした歴史ある名家なのだ。自分で言うのもなんだけど。
まぁ、そんな感じだからお互いすぐに打ち解けていたな。
ちなみに、両家にシロの事も紹介した。大切なパーティーメンバーだからな、シロ本人は目を白黒させて今にもぶっ倒れそうになっていた。両家には俺から間違いなく国でも指折りの実力者兼ヒーラーになると伝えておいた。
その上でシロにこういう事があったという経緯も話すと、メルトステラ家の方達も渋い顔になっていたな。
これでギルドや一部勢力に牽制となるだろうな。
そんなこんなで時間は過ぎ、次の日の朝を迎えた。
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