第15話 赤の宝箱と周回



比較的あっさりエンシェントウルフを倒せたなと安堵すると同時にエンシェントウルフの素材と赤の宝箱!

超級ダンジョンに入るまでの最高レアリティ!超級までは一部を除いて、木箱、銀箱、赤箱と称されてた。木箱は緑箱なんて呼ばれてたりもしたな。ちなみに超級以上の難易度だと文句なしの最高レアリティ黒箱が存在する。黒箱の重厚感たるや…早くリアル黒箱開けれるようになりたい…


なんて考えてるとセラとシロも寄ってくる。


「わぁ、赤箱だ!」


「赤箱初めて見た…こんなに綺麗なんだね、赤箱って」


「あぁ…俺達はシロに会う直前に隠し部屋で赤箱見てたからな。これでみんな赤箱見た事になるな!」


「しかも、ボスドロップだよ!良い物入ってそう!」


「入ってるといいなぁ…」


「誰が開ける?」


「俺は隠し部屋で開けたからな、二人一緒に開けたらどうだ?2人ともこのワクワクを味わって欲しいからな!」


「いい提案ね、ノワ!」


「うん、セラちゃん二人で開けよ。」


「よし、シロちゃん一緒に開けるよ〜」


そういうと2人は宝箱の前に立つ。


「よし、いくよ!」


「うん。」


「「せーの!」」


ガチャッという音と共に中身が開かれる。するとそこには小さなお守りが入っていた。それに1番最初に反応したのは俺。


「うわぁぁぉぉぉ!!!!やべッぇぇぇ!!!!」


「な、なになに!どうしたの?!」


「ノワくん、これ何かわかるの?お守りってのはわかるんだけど」


「うぉぉぉぉ!!!すっげぇ!このダンジョンでも1番の大当たりの1つと言っていい!これは幸運のお守りだ!」


「な、なんかすっごい安直な名前のアイテムね…」


「いやいや、ホントに凄いんだって!」


そう、このあまりにも単純なアイテム名である幸運のお守り。しかし、これを狙ってボス周回を繰り返す人が絶えなかった伝説のアイテム。

このアイテムの効果は、至極単純。素材と宝箱のレアリティが上がる確率を上げる。俺の持ってる幸運と同じ効果だ。

ただし、この幸運が2個重なると幸運のスキルは進化する。その名は『豪運』、運すら力でねじ伏せてやると言わんばかりの効果をしている。


本来、赤の宝箱が出る確率が5%と言われている。この5%の中から更に狙ったアイテムがドロップするとは到底思えないレベルだ。そして、幸運はそこに5%効果が上乗せされる。要は10回に1回は赤箱出るよとなる訳だ。


だが、豪運になると話は変わる。豪運に変わる事で確率が20%上乗せされる。25%で赤箱が出るようになるのだ。ちなみに30%が銀箱なので、銀箱以上の確率が半分を越えたことになる。

普通の幸運と比べても天と地ほど差がある……ただ幸運の効果を持つ装備やアイテムはホントに確率が低い。ランカーだとしても縁がない人にはとことんなく、今回みたいに初心者がポロッと出してるのを見て阿鼻叫喚に……と言った事もよく見かけた。


ゲームだと初心者が出したとしてもシャークトレード(価値が釣り合ってない状態のトレード)にならないように周りが目を光らせると言った事が起こった。下手すれば上位ランカーの武器レベルの価値があるんだから当然だ。

人によっては武器防具一式渡してもいいから欲しいというレベルのアイテム。赤箱以上がポンポン出るようになるんだから簡単に元が取れるし、それも当然と言えば当然だった。


ちなみに黒箱がドロップする場所の場合元が1%とかだがそこでも10%アップするとかいう無法っぷり。

しかも、これがボス赤箱で初ドロップするとは…これからずっと恩恵を得られるのは大き過ぎる。


ちなみに、この説明を受けた2人は固まってしばらく動くことが出来てなかった。事の重大さに気付いたらしい。

これから4回に1回も赤箱が落ちるって聞いたらね、そうなるよね。という事で、持つのが怖いという理由から俺が預かる事になった。まぁパーティーを組んでる限りパーティー全体に恩恵があり続けるからなんの問題もない。


「よし、これで荒野ダンジョン攻略完了だな!」


「無事勝利!」


「いぇーい!あとは帰るだけだね。」


「おっと、今日はまだまだ帰らないぞ!」


「え?」


「ほら、昨日セラには伝えたろ?ボスを何度も倒すって」


「そういえばそんな事言ってたような…という訳で今からみんなで楽しいレベル上げボス周回の時間だよ!」


「えぇ…ボスってダンジョンから出ない限り復活しないって…」


「いやいや、そんな事ないぞ!1度セーフティエリアまで出るぞ!」


そういうと2人をつれてボス部屋前まで戻る。ボス部屋の門もあいたまま、ボスもいない状態だ。


「よし、ボスを復活させる方法その1!まずは何でもいいのでアイテムをセーフティエリアからボス部屋に投げ入れる!」


そういうと俺はボスが出そうな位置に睡花の実を投げ入れる。


「次に、セラ。門に杖を近づけて魔法を撃ってくれ、魔法であれば何でもいい。」


「わ、わかった…」


一見すると意味のわからない行動。だが、それに従い攻撃するとその後徐々に門が閉まり、ボスであるエンシェントウルフが出てくるのが見えた。


「うわぁ…ホントにボス復活しちゃった…」


「うへぇ…これは…とんでもないよ…」


「バレたらヤバいから内緒で頼むな!」


「言える訳ないでしょ!こんなの常識が覆っちゃうわ!」


「それな…」


「あと、今から周回するけどエンシェントウルフの耐久力が思ったよりも少なくて連携の練習にならないと判断した。なので、睡花の実も駆使して即殲滅!とにかく早くレベル上げと素材や宝箱集めになるぞ。あ、それと今のジョブMAXになったらライセンスカードから即転職出来るから転職してくんだぞ!」


「どんだけ回るつもりよ…けど、睡花の実解禁ね!さっき投げたのってもしかして…」


「あぁ、ボスの出てくる場所は固定だからな、そこに合わせるように投げ入れておいた!ちなみに、ホントにアイテム投げ入れないと門を攻撃しただけではボスは復活しないぞ!」


「何か儀式みたいね…」


「別にレベル上げと儀式に大した差はないさ!じゃあ、行くぞ!」


そうして、エンシェントウルフ狩り大会が始まった。ちなみにゲーム時代から毎度毎度お世話になってたんだよな、睡花の実が簡単に手に入って簡単に倒せるからな。まぁ、だからこその旧友な訳だ!ズッ友だな!


始まりはまだお昼にもなっていない時間帯。一体何回レベルが上がり、何個の赤箱が落ちるのか。というレベルで狩りをしまくるのだった。

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