第14話 vsエンシェントウルフ(旧友)
12階層で新たに仲間になったシロコとライセンスカードを交わらせて、パーティー登録。無事パーティーに正式加入して俺達はボス部屋前で連携の練習をしていた。
「俺が半数引きつける!セラは残りの半数に範囲大きめに『ファイヤーボール』。シロも『炎舞』で援護してくれ!」
「分かった!普段より大きめに、範囲を広げる感覚で…『ファイヤーボール』!」
「了解だよ、燃え盛れ『炎舞』!」
「ギャオォ!!!」
「よし、良い感じだ!そのまま俺が引き付けてる奴らも倒してくれ!」
「はい!『ファイヤーボール』!」
「『聖天の光』」
「ギャギャギャ…」
「…よし、戦闘終了だな。2人ともお疲れ様。」
「「お疲れ様!(です。)」」
「少しは2人ともパーティー戦慣れてきたか?案外合わせるってのは難しいからな。」
「少しずつ慣れてきたわ、ノワの的確な指示のお陰で迷いなく動けるおかげね。」
「うん、指示は的確で戦闘もタンクとして相手を止めてくれてるから楽だよ。回復必要ないぐらいだし!」
「そうか、今はこの形がベストだけどあと最低2人、タンクと斥候は加入させたい。俺はメインとしてはアタッカー兼サブタンクの遊撃ポジションになる予定だからな。」
「あと2人か〜、いい人見つかるといいんだけど…」
「あぁ、だが妥協してパーティーに不和を生むようなタイプは採用したくない。まぁ縁があればって感じだな。シロがそうだったんだし。」
「まぁ私はレアケースだと思うけどね〜、あはは」
会話も連携の練習も一区切りして、息を吐く。そろそろお待ちかねのボス戦のお時間だ。特にここのダンジョンのボスには昔からよくお世話になってたから楽しみだ!ある意味旧友に会いにいくみたいな感じだな。
「よし、準備はいいか?」
「いよいよだね…」
「ウルフ系のモンスターただでさえ厄介なのにボスだなんて倒せるの?」
「あぁ、今の俺達なら確実に勝てる。それに俺からすれば友達みたいなもんだ。」
「…ボスが友達?」
「何言ってるのか分からないってことが分かったわ。」
「そのまんまの意味なんだけどな、お互いじゃれ合うだけだよ。」
「どっからその余裕が出てくるのよ…」
「凄い人とパーティー組んじゃったかも…」
「よし、無駄話はこれぐらいにして攻略方法を話していくぞ!」
という事で俺はここのダンジョンのボス、エンシェントウルフの特徴を語る。
エンシェントウルフは全長2m程の属性は持っていない古代種である。長年荒野で鍛えられた牙や爪の攻撃力は高く、またAGIもこれまでのウルフ達と比べても1段階速い。
強力なのが高く空中へ飛び上がり、その後空を蹴りそのままタックルをしてくる攻撃。
また、仲間を定期的に呼んで統率攻撃もしてくる。呼ばれた仲間モンスターはエンシェントウルフの統率で普段より強化されてるから注意と説明していく。
2人とも真剣に聞いてるな。初めてのボス戦みたいなものだからな、真剣さが違う。
「よし、大体の説明は終わった!あとは実践あるのみだ!セラは仲間を呼ばれたら睡花の実を投擲して爆破、その後取り巻きから倒してくれ、シロは祝福の舞でバフのサポートを頼む。適宜必要そうなら回復も入れてくれ。バフの種類は俺には速さと器用さ、セラには知力と器用さだ。余裕がある時は適度に攻撃、仲間を呼ばれたらセラと一緒に攻撃して取り巻きを倒してくれ。」
「シロちゃん、お願いね!」
「分かった、頑張る」
「じゃあ、行くぞ!」
そういうと3人でボス部屋まで入っていく。
そこに凛と待つ大きな狼。間違いなくエンシェントウルフだ。
「へっ、久しぶりだな、また沢山世話になるぜ!エンシェントウルフ!」
「ガォォォォ!!!」
この声をきっかけに戦闘が始まった。
「セラは俺がヘイトを取るまで待機、ファイヤーバレットを撃てるように準備だ!シロは祝福の舞を頼む!」
「わかったわ、何時でも撃てるようにしとく。」
「任せて!『祝福の舞・速・器』対象はノワ!続けて『祝福の舞・知・器』対象はセラ!」
「よし、ナイスだ、シロ!これでも喰らいやがれ!」
そういうとバフのかかった剣でエンシェントウルフに斬りかかる。正直、エンシェントウルフは戦い慣れすぎてるので、今のステで一人で余裕で倒せるのだが、今回はセラとシロにパーティー戦として役割を意識させる意図がある。
なので、ヘイト管理程度にダメージを与えるがメインのダメージディーラーにはならない。ダメージディーラーはセラがいるからな!
攻めずらそうにしているエンシェントウルフが前足で足払いを仕掛けてくるが剣を合わせてそのまま打ち払う。
「今だ!セラ!」
「『ファイヤーバレット』、6連射!」
ズドドドという音と共に放たれる火の弾丸。シロのバフも合わせてかなりの火力だ。前足を打ち払った直後という事もあり、エンシェントウルフは完全に倒れる。ダウン状態、圧倒的チャンス!
「一気に攻撃を叩き込め!『狂戦士化』!」
「『ファイヤーバレット』とにかく連打よ!」
「待ってた、『炎舞・落葉』『聖天の光』」
更に強烈な追撃が飛んでくる。
かなり良いダメージだな。だが、流石にボスだ。下級ダンジョンとはいえ、簡単にはやられてくれない。
特に俺が今は最弱勇者のジョブでステータスを上げれてないしスキルもほとんどないからな。ダメージが無いに等しい。まぁ、的確にクリティカル出してるからヘイトを稼げてはいるんだけど。
ただ、そのヘイトも今は特にダメージディーラーになっているセラに向こうとしてる。だけど、そんな事はやらせない。その為に必要な装備だったんだからな。セラの方に走り出そうと足を上げた瞬間に、風狼の誇りの風の友を使い足を下ろそうとした所を攻撃判定にして動きを阻害。
エンシェントウルフは滑ったような形になる。
「バランス崩してヘイトも持ってる、セラ、シロ、ガンガン撃ちまくれ!」
「魔力操作で貫通力を増した一撃を喰らいなさい、『ファイヤーバレット』!」
「倒れてください!『聖天の光』!」
「ぎゃォォォォォ!!!」
セラの貫通力の高めたファイヤーバレットが身体を貫き、トドメにシロコの聖天の光がエンシェントウルフの頭に直撃する。エンシェントウルフもこれは堪らんと飛び退いた。
だが、俺達は追撃をしない。距離を取られた時点でエンシェントウルフのAGIに追い付くことは無理だ。なら、迎え撃つしかない。
「ここまでダメージを負わせれば仲間を呼ぶよりも空中タックルで来るはずだ。俺がそれを受け流すから、そこに更に魔法を叩き込んでやってくれ。そろそろ倒せるはずだ。」
「分かったわ!」
「私もしっかり攻撃するね!」
「2人とも頼んだ!」
そう告げると同時にエンシェントウルフは地を蹴り、一気に飛びかかってくる。2m弱ある巨体での速いタックル。普通ならぶっ飛ばされるのがオチだが……
「なめんなよ、何回お前にお世話になったと思ってやがる!」
そのタックルに向けて剣を滑り込ませて、受け流してパリィする。受け流しで方向をズラされたため体勢を立て直せず地面に直撃。人で言うと肩を地面に思いっきり打ち付けたって感じかな?
「いけぇ!セラ、シロ!」
「『ファイヤーボール』!『ファイヤーバレット』!」
「『聖天の光』、『炎舞・落陽』!」
「ぎゃォォォォォ……ガゥ……」
攻撃が決まり、エンシェントウルフは立ち上がれずそのままエンシェントウルフは光になり消えていく…旧友……これからお世話になるぜ。そう思いながら光を見つめていると中から赤の宝箱が現れるのだった。
_____________________
いつも本作品を読んでいただきありがとうございます。
まだまだ執筆初心者で拙い部分はありますが読んで頂けて嬉しいです。特にまだ序盤のボスとはいえ戦闘描写が淡白なので今後修正していきたい……。
また、最近少しずつですがpv数や作品のフォロー数も増えてきて嬉しく思います。
お知らせですが、今後本作品は基本的には0時12時更新になると思います。日によって1日1本~2本、中途半端だったり文字数が少ない場合は複数本投稿する予定です。今も絶賛ストック制作中です。
そんな中ですが【お願い】があります。
良ければトップに戻って頂きフォロー、そして、レビューで☆☆☆を入れて頂けないでしょうか?
モチベーションに繋がりますので厚かましいお願いではありますが、少しでもいいなと思ったらお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます