第9話 初級ダンジョン 草原ダンジョン前編

昨日言ってた通り今日は2話連続更新です。

楽しんで頂けると幸いです。

もう1話は19時頃に更新します。



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俺とセラの2人はアルベルージュ家の屋敷に程近い初級ダンジョンにまできていた。

道中は特に何もなく、セラと話しながら景色や世界を堪能した。いやぁ…ダンアラの世界って実際こんな感じなんだってテンションかなり上がったな。セラはちょっと不思議そうな顔をしていたが、俺がそれぐらいダンジョンを楽しみにしていると勘違いしたみたいだ。


もちろん、ダンジョン自体も非常に楽しみではあるがやっぱり大好きなゲームの世界にやってこれたって今更どんどん実感してるからな…テンション上げるなって方が無理な話だ。


「そろそろ着くな。」


「そうね、ダンジョンか…楽しみでもあり不安でもあるわ…」


「大丈夫だ、何の心配もない。あ、今のうちにパーティー登録しておこう。」


「わかったわ、これからよろしくね、ノワ。」


「よろしくな。」


そういうとお互いのライセンスカードをかざすとパーティーとして登録される。こんな美少女とリアルでパーティーを組むなんてちょっとドキドキするな…まぁ俺はロリコンじゃないから大丈夫だけどな!


「ノワ、今日行くつもりの初級ダンジョンはどんな所なの?」


「あぁ、まだ言ってなかったな。今日行く予定のダンジョンは初級、草原ダンジョンだ!」


「草原ダンジョンね、初心者に人気のダンジョンの1つって聞いたわ。」


ダンアラの世界では初級、下級、中級、上級、超級とそれぞれダンジョン事に難易度が設定されている。初級は要はチュートリアル。正直負ける事は有り得ない親切設計だ。中には観光地になってるところもあるな、草原ダンジョンもその一つだ。ピクニックの名所である。


ちなみに、下級や中級の中でも難易度が3段階に分かれており下級下位、下級中位、下級高位と分かれている。ダンジョンによって難易度の乖離が激しいからね。


そうこうしていると洞窟の入口が見えてくる。あれが草原ダンジョンの入口だ。


「草原ダンジョンって名前なのに洞窟の中にあるんだね、不思議。」


「確かに不思議だよな、中は洞窟の中のはずなのに明るいし、風もあれば水もあるんだから。まぁ、ダンジョン自体がアイテムボックスみたいな空間形成能力があるんだろうな。」


「なるほど、そう言われると途端に納得しやすいかも。」


「まぁ、そこまで気にせず怪我だけしないように注意して行ってみようか。」


そう宣言すると俺達2人は洞窟へと歩みを進める。しばらくすると広い空間に出て、大きな草原が現れた。草原ダンジョン、1層だ!気温は適温、風が優しく頬と草を撫でた。


「うわぁ…思ったより感動…。ノワ、私達だけで初ダンジョンよ!」


「そうだな…俺も正直感動してる。やっぱりすげぇな。これから何度もこういう感動を味わえるんだな…」


「ノワはもうダンジョン潜りまくるって決めてるのね。」


「当たり前だろ?俺は色んなダンジョンに潜りまくってお宝GETして最強になるつもりだ!」


「最強か…今のノワでも充分凄いからね…どうなるのか楽しみにしてるわ。」


「何言ってんだ、セラも一緒に強くなるんだろ?パーティーとして最強になる俺の事を支えてくれよ。」


「一緒に…?支えて…?うきゅぅ……」


あ、またセラが顔真っ赤にして俯いてしまった。けど、事実なんだけどな…しっかり育てて俺の支えになってもらわないとな!


そうして草原エリアに出た俺たちは歩いていると魔物に出くわした。

あれは間違いない、最弱中の最弱スライムだ!


「スライムだな、攻撃力も防御力も低いモンスターだ。」


「これが実物のスライム…プルプルでぽよぽよしててなんか可愛い…」


「まぁ、中にはペットにしてる魔獣使いもいたりするな、人気もある。けど、今回はしっかり倒すぞ〜」


「仕方ないね…強くなる為にも」


「あぁ、とりあえず俺が倒すから次のスライムはお願いするな。」


そういうと持ってきていた鉄の剣でスパッと真っ二つにすると力を失い、スライムは光に包まれて消えていった。あ、スライムゼリードロップしてるな。ポーションに混ぜ込むと質が上がるから結構有難いんだよな。


「まぁモンスター達はHPが無くなるとあんな風に光へ返る。その後に、素材を落としたりアイテムを落としたりするぞ。」


「モンスターは倒されるとあんな風に消えるのね…知ってるようで知らない事って沢山あるって分かった。」


「よし、じゃあ次行ってみよう!」


そういうと俺達は先へ進みながらスライムを狩っていった。また、途中でポーションの材料になる薬草も見つけたのでいくつか採取。コツコツやってく事が大切だからな!


そうして進むと下へと降りる階段が見つかる。


「おぉ、2層への階段だな。次からはスライムの他にゴブリン、あとウルフが出てくるから注意が必要だ。そんなに強くないけどな。」


「ゴブリンとウルフね…スライムと違ってこっちに対して好戦的なモンスター達ね。気を引き締めるわ。」


ちゃんと注意事項を確認しつつ階段を降りて2層へ。

周囲の環境は大して変わっていないな。そう思ったのかセラも声をかけてくる。


「ゴブリンやウルフが出ると言っても環境は対して変わらないのね…」


「まぁ、初級ダンジョンだからな。ホントにお試しダンジョン的な難易度だから、変わりはしないだろうな。」


「他のダンジョンだと階層が変わるとそんなに変わるの?」


「あぁ、1層ずつやっぱり変わったりするが様変わりしやすいと言われてるのが5層毎。中級レベルになると10層毎にボスモンスターがいたりする。なんて言われてるな。」


「そうなんだね…ボスモンスターは強いって聞くのにそれが10層毎に出るなんて…」


「いや、そんな大したものじゃないよ。確かに1個体としては比較的強いかもしれないけどパターンが凄く単純で覚えやすい。それに経験値も素材も美味しいし、何よりも倒せば宝箱が落ちる。これが美味しい!」


「た、確かに宝箱はボスモンスターから落ちると聞くけど…1回倒したらまたダンジョンを一から入り直さないと復活しないって…だからパターンを解析する程戦闘を繰り返す事が難しいって聞いたけど…」


「ん?あぁ、一応そういう事になってはいる。けど、実際は繰り返し戦闘可能だよ。」


「えぇ!そうなの?!それが本当なら大発見よ!」


「まぁそうかもしれないけど、今のところ誰にも教えるつもりはないな。2人だけの秘密って事で。」


「2人だけの秘密…わかったわ…」


あ、完全にデレちゃってますこの子。

そんな事を思ってると目の前にゴブリンが2体現れる。ちなみに、ここ初級ダンジョンのゴブリンは基本的に武器を持ってない。

だから、想像以上にゴブリンも討伐難易度低いんだよな。ここのダンジョンの1番の強敵と言ったらウルフだけどウルフも大した事ない。複数で出てくるが一体ずつ確実に倒していけばダメージを受けることもほとんどない。


「よし、セラ。今出てきたうちの一体はセラが倒すんだ、覚えたての魔法があるだろ?」


「!!…わかった!やってみるわ!」


ちなみに道中のスライムは杖でポコッと殴って倒してた。ホントに弱いからな、スライムは。正直めっちゃ和んだ。

まぁ、そういう事もあり初魔法って訳だな。スライムにMP使うのは勿体なかったし仕方ないね。


「焦らず落ち着いて、杖の先に相手に向けて力を込めるんだ。そうすれば絶対に当たる。」


「わ、わかったわ!」


そう言い終わるとゴブリン達は突撃してくる。一体は俺がちゃんと処理する。そして、俺の横をもう一体が走り抜けてセラに迫る。


「フゥ…いきます!ファイヤーボール!」


「ギ、ギャウ!!!」


ゴブリンの頭に見事に命中、そのまま倒れて光へと返った。ヘッドショットとはなかなかやりおる、筋がいいね!

モンスター毎に弱い部位とかもあったりするから狙いをつけれるに越したことはないのだ!


「セラやるじゃん、上手だったよ!」


「ほ、ホント!?良かった…初めて魔法使ったけどすっごく楽しいわ!」


「それは良かった、けど使い過ぎは注意だぞ、MPがなくなると後衛は出来る事がかなり制限されるからな。」


「わかったわ!気をつけるわね!」


そういうとセラは満面の笑みを向けてきた。ウッ眩しい…美少女の笑顔の破壊力すごい…


そう思いつつもまた歩みを再開する。ちなみに、このダンジョンは5階層まで。初級と呼ばれるダンジョンは大体5階層だな。今日のうちに初級ダンジョンはしっかり制覇しとかないと。

明日からは下級ダンジョンへ行くつもりだからな。下級ダンジョンへは初級ダンジョン攻略の称号がないと入る事は出来ない。下級ダンジョンで2人してレベル上げ(俺はレベルは今は上がらないが)を考えているからクリアは絶対条件だ。


それにセラが自分の屋敷に帰る前にある程度育てておきたい。本来はこのタイミングで仲間を作る事は出来ない。12歳までソロを強制されるからな、それまでに何処まで強くなれるかが今後を左右すると言っていい。スタートダッシュが肝心。なら、このアドバンテージ活かすしかない!本人もやる気だしな!


そうして俺達はゴブリンやウルフもしっかりと対処してレベル上げしながらどんどん進んでいくのだった。

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