第2話 王都へ
朝の支度を終えたノワールとお付のレイラが馬車へ乗り込む。それを見送るのは、ノワールの父アルベルトと母のクラリッサだ。
2人とも、そこそこ強い。アルベルトは剣王、クラリッサはエンシェントソーサラー。それぞれが上級職の1つだからな、そこそこである。
「ノワ、今日初覚職したからと驕ってはダメだぞ。覚職したからと言っても最初はまだまだ弱い。驕らず、慎重に強くなりなさい。」
「そうね、ノワ。私達の子だからそこまで心配してないけれど…驕ってはダメよ。とはいえ、新しい力に楽しみになるのは分かるわ。私達も楽しみにしてるから、帰ってきたら教えてね?レイラもこの子をお願いね?」
「かしこまりました、奥様。」
「あぁ、そうだ。ノワ、これを持っていきなさい。」
そうアルベルトに言われると剣を渡される。
「お父様、これは?」
「お守り、みたいなものかな?初覚職に向かう際に良いジョブに就ける様に、無事に帰って来れますようにというお守りだ。伝統みたいなものだね。ちなみに、しっかり使える剣だから怪我しないように気をつけるんだぞ。」
「わかりました、お父様。お母様、行って参ります。」
「えぇ、気をつけてね!」
そういうと挨拶をかわすと馬車は王都の冒険者ギルド本部まで走り出した。
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さて、馬車の中で今のステータスを再確認しておく。ちなみに、朝の支度が終わったタイミングでステータスを確認出来るか調べたら、無事に出来たので良かった。ステータスが分からないと、ステ振りどうするんだ!ってなって軽く詰む事になってたからな……そして今のステータスが
名前︰ノワール・アルベルージュ
人種︰人間・男、貴族
年齢︰10歳 ジョブ︰無しLv0
称号︰無し
【HP︰28】 【MP︰10】
【STR︰13】
【VIT︰10】
【INT︰11】
【RES︰10】
【AGI︰12】
【DEX︰11】
【
《スキル》
-
うん、物の見事に初期値だ!
ワンチャン、ゲームのステータス引き継がれたりしてないかな?なんて思ったが流石にそんな甘い話はなかった。まぁ、それでも構わない。一度最強にまで育て上げたノワールをもう一度。いや、それ以上に強く育て上げるんだから問題ない。
さて、もうすぐ王都へ到着する。その前に、ある物とジョブを覚醒する条件の為にレイラに1つ言い含めとかないといけないことがある。
「レイラ、ちょっといいかな?」
「どうしましたか、ノワール様。」
「今日、これから先僕に何かあっても、絶対に手を出さないで欲しいんだ。」
「……それは危険過ぎます、まだノワール様は覚職もされておらず、していたとしても成り立てのLv1が精々。それに…そういうという事は、この時期この場所が危ないと分かっておられますね?なのに何故?」
そう、この時期王都は覚職する為に様々な人が来る。それは平民、貴族関係なくだ。そんな中、犯罪組織や恨みを持つ者が育つ前の子供達を襲うというのはよくある話だ。
国も、冒険者ギルドも対策を練ったりしているがそれでも完全に対策しきるのは難しく襲撃される事も少なからず有り得るのだ。
それなのに何故?とレイラは聞いてる訳だな。そりゃ疑問に思うだろうがこれだけは最強を目指す上で譲れない。絶対に。
「就きたいジョブがあるんだけどね、条件を満たす為かな。」
「……就きたいジョブですか、絶対にそのジョブじゃないとダメなのですか?」
「あぁ、これだけは絶対だ。それにこのジョブは今日じゃないと発現しない可能性が高い。」
「!?……つまり特殊ジョブという事ですね。……分かりました、あくまで私は従者。主人の命令は絶対ですので……」
「ごめんね、レイラ。苦労をかけるよ。」
特殊ジョブ、この世界に存在する特別なジョブで何かしらの条件をクリアしないと発生しないジョブ。だが、特殊なジョブだからと強い訳ではない。もちろん、強力なジョブもあるがそうじゃない物も沢山ある。
その中でも、今日取ろうとしているジョブは特殊も特殊。覚職前での条件があるからだ。あと、今日じゃないと取れない称号もあるからね、それも回収しないとな。
そんな中、少し先で悲鳴が聞こえてきた!きた!イベント発生だ!
「レイラ、僕はさっき悲鳴が上がったところまで急ぐ。レイラは、他に誰も巻き込まれないように誘導と騎士団に捕縛の報告を、僕の援護は不要だ。」
「承りました、ノワール様。」
そういうと、馬車から颯爽と飛び降りレイラは駆け抜けていく。俺も動くとしよう。そして、転生してからの初戦闘になる。
正直難易度は高いが……まぁ俺にとっては朝飯前。強く育てる為の必須ジョブだからな、他のランカー達も知らない特殊ジョブ、これのおかげで最強だったと言われても過言じゃない。それを取りに行く。
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馬車を降りて、悲鳴の上がった先へ向かう。そこには横転した馬車とそれを囲む3人、みんな武器を持っているな。馬車を襲う賊だな。
こいつらは、特殊イベント襲撃者だ。大体どんなキャラを選んでも覚職前に起こるイベントだがチュートリアルなどでは断じてない。
相手は上級職に就いていてLvは30を超える。この世界は、下級職から入り育てていき、中級職、上位職へとランクアップする。下位職がLv50、中位職がLv75でランクアップ可能になるから単純にLvで考えるとLv155差前後って感じか?
基本的には、同行者がいてその同行者が蹴散らす所を見て戦闘を学んだりするんだけど、自分達では基本戦わない。当然だ、覚職前は初期値も初期値。ステータスにもほぼ何の意味もない。そんな状態で戦えるはずがない、普通なら。
そう、普通ならである。ランカー達はみんなここで称号とジョブに就くために戦闘を行なう。必須級だ。とはいえ、難易度は高い。並の腕じゃ負けイベ確定だからな……俺は何度も新しいキャラ育てる度にやってきたから問題無し。むしろ、実家のような安心感だ!
「襲撃者ども、そこを退け。邪魔だ。」
「なんだ、このガキ。覚職前に調子乗ってやがるな」
「いつもよくいるバカ貴族の1人だろう、コイツも攫うぞ。」
「へいへい」
そこで横転した馬車から1人の少女が這い出てくると叫んだ。
「ダメ!早く逃げて!コイツらは私を狙ってる!それもかなりの腕よ!太刀打ち出来ないし、時間稼ぐ事すら無理よ!犬死するだけだから早く逃げて!」
ほうほう、リアルだとこんな感じになるのか。それにしても可愛い子だな。ロングで腰ほどまであるサラサラとした銀髪に、大きくクリっとした赤い目、綺麗な顔付きしてる。そして派手過ぎず、けど美しい綺麗なドレスを着ている。成長したらとんでもなく美人になるんだろうな……こんな子が攫われたら大変だ。早く助けてあげないとね!
ジョブの条件を満たす為とはいえ、こんな可愛い子を護りながら戦うとかテンション上がるわ!
「大丈夫ですよ、お嬢さん。これぐらいの手合い大した事ありませんので。」
「なんだと、クソガキ!黙って聞いてれば舐め腐りやがって!もういい、コイツを殺せ!別に本命は確保出来たんだ、コイツを殺して本命持ってズラかるぞ!」
「「おう!」」
そういうと3人の襲撃者は襲いかかってくる。さてさて、ジョブ補正もレベル補正も何もかもない訳だけどやれるだけやってみますか!
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