第5話 異世界生活初めての仕事

 狩人ギルドにて5級狩人になった僕は、まだ朝の7時頃なのでこのまま昼までに終わりそうな依頼を受けることにした。


 依頼書が貼ってある掲示板の前で僕はどの依頼を受けようか考えた。


(倉庫の鼠駆除、畑のモグラ駆除、屋根裏のアライグマ駆除、薬用植物採取、違法罠捜索、森林に入る必要がある薬用植物採取と違法罠捜索は無しだな)


 5級狩人の主な仕事は街中の害獣狩りだ。

 4級狩人の仕事だが、森林の薬用植物採取、違法罠捜索も受けることが出来る。

 いきなり森林に行くのは怖いし危険なため、街中の倉庫の鼠駆除を受けることにした。

 依頼内容は依頼主が用意してくれる罠を仕掛け、見つけた鼠や罠に掛かった鼠を最低10匹駆除するというものだ。

 報酬は最低で大銅貨1枚で、追加で1匹駆除するごとに小銅貨1枚ずつ報酬が増える。

 僕は今まで虫より大きい動物を殺した経験が無いため、とても緊張しているが、生き物を殺せなければ狩人をやっていないため仕方ない。


(前世の僕なら疲れるのが嫌でやりたがらなかったと思うけど、今世の創造主様に創られた身体なら、鼠駆除で疲れたりしない)


 依頼書を手に取り受付に向かい、今度は栗鼠獣人族の小さな男性に話しかけた、彼の身長は僕の半分弱程しかない。


「あの、この依頼を受けたいんですけど、どうすれば良いでしょうか」

「はい、依頼書に名前を書いて、記録石と共に提出していただければ。ギルドから依頼を受けたことの証明書をお出しします」

「分かりました、..........よし、出来ました。証明書をお願いします」

「..........確認致しました、証明書を用意しますので少々お待ちください」


 彼は5分程かけて証明書を用意した。


「こちらが証明書です、依頼主に渡してください」

「ありがとうございます」


 こうして僕は依頼主のもとへ向かった。

――――――――――――――――――――

 僕は依頼主のもとに無事たどり着くことができた。

 だが少々問題があった、問題は目の前にいる依頼主だ。


「俺が依頼主のステノスだ、オルカ、鼠駆除をよろしく頼む」


 人柄に問題は無いのだ、だが、人の容姿をどうこう言うのは失礼だろうが、めちゃくちゃ怖いのだ。

 身長4メートルはあろうか筋骨隆々の巨漢、顔には左側に口の端から頬にかけて傷がある。

 白い肌、白い髪、白い髭、を持つ依頼主ステノスさんは、このネゴシオ王国では珍しい巨人族、白人種の男性だった。


 臆病者の僕はステノスさん相手に完全に萎縮していた。


「は、はい、頑張ります」


(これ失敗したり成果が少なかったりしたらどうなるんだろう、怖い)


 足が震えていた。


「罠はここにある、それと鼠を殺すときは倉庫を汚さないために、この鉄棒を使って叩き殺してくれ、刃物だと血が出るからな」


 そう言ってステノスさんは1メートル程の鉄棒を渡して来た。


「わ、分かりました、では行ってきます」


 僕は震える手で鉄棒を受け取り依頼へ向かった。


「ああ、頼んだぞ」


 そうして僕は、ステノスさんのために建てられた、人間族の家の2倍以上ある家から出て、倉庫に向かった。


 倉庫は高さ、天井高共に6メートル、建築面積30×30メートル程の建造物だった。

 外壁は狩人ギルドと同じ削り出された灰色の切り石積みで、年月を感じさせる苔が薄く付着しており、黒いスレート粘板岩を用いた屋根がある。

 入り口は、高さ6メートル、幅4メートル程の、門と、3メートル、幅2メートル程の門の2つだった。


 倉庫に入った僕は、失敗や成果が少ないのを恐れ、罠を仕掛けた後、必死に鼠を探した。

 そして1分程で早速1匹目の鼠を見つけた。


(よし、いくぞ)


 創造主様に授かった身体能力を活用し、鼠が反応できない速度で鉄棒を振り降ろす。


「ヂュッ」


 鼠は即死した、大して苦しんでもいないだろう。

 僕は鉄棒を通して伝わる、鼠の骨を折り、内臓を潰す感触に眉を顰めた。


(あんまりいい気分じゃないな、虫より大きい生き物を殺す感触は。そのうち慣れるだろうけど)


 そしてそれから3時間程鼠を探し、罠に掛かった鼠を含め22匹の鼠を殺した。

 初めて虫より大きい生き物を殺したという事実に気分が悪かった。


(この数で大丈夫かな)


 僕は不安に思いながらステノスさんのもとに向かった。


「ステノスさん依頼、終わりました」

「分かった、確認する」


 ステノスさんは5分程掛けて鼠と回収した罠を確認した。


「鼠の殺した数は10匹以上、罠の破損も無い、依頼完了だ」

「ありがとうございます」


(良かった、問題無かったみたい)


「これが依頼完了を記した証明書だ、ギルドの受付に渡せ」

「は、はい、分かりました」


 僕はステノスさんから証明書を震える手で受け取った。

――――――――――――――――――――

 僕はギルドに着いたあとすぐ受付に向かい山猫らしい猫獣人族の女性に話しかけた。


「あの、依頼を完了したので証明書を提出したいんですけど、どうすれば良いでしょう」

「はい、では記録石とともに証明書を提出してください」

「お願いします」


 受付嬢の女性は5分程掛けて証明書を確認した。


「確認出来ました、こちらが報酬の大銅貨2枚と小銅貨2枚です」

「ありがとうございます」


(身体は全く疲れてないけど、精神的に疲れたな)


 僕は無事に異世界生活初めての仕事を終えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る