10月5日 田口宅

「今回の……投稿していいのかなぁ。」

 田口は自宅のパソコンの前で呟く。予定では今日中に動画を投稿することになっているので、編集作業に勤しんでいる。

 昨日の収録時に近付いてきた足音はしっかりとマイクにも拾われており、再生してみると井出の部屋で聞いた時よりも音がずっと“近い”

 編集作業で見返すたび、足音が増えて自分の背後に回り込んでくるような錯覚すら覚え、思わず何度も振り返ってしまう。そんな不快な空気の中、なんとか編集作業を終えて動画サイトにアップロードしていると井出から着信が入った。

「おう!編集の調子どうだ?」

「どうだも何も、今アップロードしてるところ。あの足音ガッツリ入ってるけど、本当に投稿していいんだな?」

「おう!やってくれ!」

 本当にこいつは怖いもの知らずだな。と思いながら投稿作業を進める。

「そういえば、次のネタの打ち合わせなんだけど、いつ空いてる?」

「あー……とりあえず水曜なら定時で上がれるかな?」

 昨日は足音に気圧されてしまい、晩飯もそこそこに打ち合わせは後日になったのだ。

 当日、また仕事の状況が分かり次第、時間などは決めるということで通話を終えると同時に動画の投稿も完了した。

 

 投稿完了の通知が出ると同時に、コメント欄が少しずつ動き始めた。チャンネル登録者が二千人を超えたとはいえ、投稿直後に反応があるのは珍しく思った田口は軽い気持ちでコメント欄を開いてみる。


 そこに並んでいたのは、どれも妙に似た内容のコメントだった。


『外に誰かいました?』

『後半、ベランダのカーテン動いてません?』

『外で影が揺れてる』


 まさか、と映像を巻き戻してみる。

 最初から再生しても指摘されているような人影は見えないが、再生を繰り返すたびに足音の数が少しずつ増えていくような気がしてしまい、悪ノリしたコメントだろうと自分に言い聞かせ、それ以上見返すのは止めてパソコンを閉じようとした瞬間、通知が入る。


「闇写カメラ 新しいコメント1件」

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