自殺した天使と他人の為に死んだ悪魔
きのこ。
第1話
自殺した人は天国へは行けない。それは有名な話だ。でも僕は自殺をしたのに、しかも天使になってしまった。なぜだ、キリスト教を信仰していたからだろうか。でも、同僚の悪魔は先天性疾患の子供を助ける為に自ら犠牲になったらしい。それでも死後の世界で悪魔と同僚になるとは珍しいことだ、悪魔は天使を天界から引き剥がす為に生きていると言っても過言では無い。そう思っていると悪魔、サタンは言った。
「なんで俺が悪魔なんだ。俺は子供を老人になるまで生きさせようとしただけだ。」
流石にサタンの方もそう思ってるらしい。そうだよな、いいことをしたのに悪魔になるとかな。
そう思っているとあることを思いついた。
「なぁ!サタン!」
僕はそう口走っていた。
「なんだよ!俺は今悩んでるんだ!」
怒号のような声が聞こえる。でも僕は止められないんだ。
「大天使様に聞きに行ってみないか?!」
僕はそういった。大天使様だったら分かるはずだ。そう思った。
「あぁ?!あんな奴のとこに行きたかねぇよ!俺を悪魔にしやがって!」
サタンはそう言った。だが、無理やり連れていった。
100段以上あるシルクのような階段を上り大天使様に近い黄金の門を開ける。
「失礼します。」
かしこまった声でそう言った。
「あら、どうしたのかしら?」
やっぱりお美しい方だと改めて実感した。雪のような肌、肩までかかった髪、全部が美しい人だと思った。
「いえ、大した用事ではありませんがなぜサタンが悪魔で私が天使なのですか?」
疑問を思い切りぶつけた。
「あら、そんなこと?そんなのカンタンよ!あなた、エンちゃんは自殺した時どんな時だったか覚えてるかしら?」
いきなりそんなことを聞かれた。でも覚えている。
「その時は、夕暮れで薄暗い感じでした。」
そうだ、角部屋で僕は死んだのだ。
「それはなんで薄暗かったか分かるかしら?」
たしかに妙だ、夕暮れって言ったらオレンジ色の光が差し込むはずなのに薄暗いなんてありえない。
「いえ、わかりません」
「それはね、サタンちゃんが付けた火が原因なのよ。」
え、は?サタンが犯人?意味がわからない。とても意味がわからない。それはサタンも同じようだ
「は?!なんで俺がこいつを殺したんだよ!俺は殺してねぇ!!」
声を荒らげてそうサタンは言った。
「いいえ、あなたはエンちゃんを殺したのよ。あなた心臓移植をする為に病院を行く前何してたか覚えてる?」
キツイ態度で大天使様は言葉を吐き出した。
「俺は、たしかその時オムライスを作ってた。でも病院に遅れそうになって、そのままにしてた。」
驚いたような、絶望したような声でそう言い放った。
「オムライスは焦げて、そのまま近くにあったキッチンペーパーに引火して、その火が上の階にあがっていったの。その煙をエンちゃんは吸ってしまって一酸化炭素中毒になってしまったのよ。だから、エンちゃんは天使でサタンちゃんは悪魔って訳よ。わかった?」
そんな淡々と語られても。と思っていたがサタンの絶望は深かったらしい。この時からサタンの態度は先輩と後輩の態度になった。
END
自殺した天使と他人の為に死んだ悪魔 きのこ。 @enokitakenoko0630
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