現実世界と神話のような創造された世界の二つの視点から、それらが交互に響き合いながら進む、非常に魅力ある構造の物語です。これは一話、二話を読んだだけではわかりません。表と裏、どちらも読んで初めて、その全体像が見えてきます。
現実の痛みや選択が異世界へ影響し、異世界の神話的運命が現実へ返ってくる。その往復が物語全体に深い奥行きを与えています。読んでいると、常に「二つの真実」の狭間で揺さぶられます。
アニマに守られた永遠の世界が崩れ、神話が終焉へ向かう中で、登場人物たちは迷い、傷つき、それでも互いの心を重ねていく。景真とコハクを代表とする登場人物たちの選択は小さく見えて、世界の在り方そのものを変えていきます。そこには当然、苦痛も存在します。
この“個の感情”と“世界の運命”が地続きで描かれていくのです。そこには絵画のような美しさがあります。
現実と異世界、神と人、永遠と有限――それらすべてが一つに収束し、物語は見事に有終の美を飾ります。
壮大でありながら、最後に残るのは確かな温もり。神話が終わっても、人の物語は続いていく。
だからこそ心に残るのは、心地よい余韻。完結している作品なので一気読みも可能です。ぜひお薦めしたい作品です。