二夜 柄じゃニャイト
「だれか助けてにゃ!」
⋯⋯暴漢にゃ。
か弱い
こんな路地裏を歩いてる奴が悪いにゃ。
「まかせるにゃん!」
ほら、勇士ならいくらでもいるにゃ。わざわざ俺が出しゃばる必要にゃーにゃ。
「おうおう、
「ボクは月夜に選ばれるニャイトににゃるにゃ! 弱者が助けられにゃーて何がニャイトにゃ!!」
「ニャハハハハ! キティがニャイトだと!? 笑わせるんじゃにゃーぜ!」
シャー!
シャーーーーー!
おうおう、いっちょまえに牽制しあってるにゃ、あのキティ。だが根性だけじゃ勝てにゃーのがわかんにゃーようじゃ、命がいくつあっても足りにゃーってもんにゃ。
バシッ! ドサッ。
決まったなゃ。強烈な猫パンチだったにゃ。きっと立ちあがれにゃーにゃ。まあ、キティにしては頑張った方にゃ。
「けっ、ザコが! キティはそこで寝てろってんにゃ! ニャハハハ!」
「き、キティちゃん⋯⋯きゃあっ!?」
「ほら、オメェはこっちこい! 今夜は可愛がってやるにゃよ!」
あの
シ、シャーッ!!
にゃにぃ!?
「⋯⋯てめ、殺されても文句言うにゃよ!? 喧嘩を売って来たオメェが悪いんにゃ!!」
「そ、その
ムリにゃ。勝てるわけがないにゃ。数だって1:3じゃ余裕で負けてるにゃ!
「くっそキティがああああっ!!」
シュッ! シュシュッ!!
シャシャシャシャシャシャー!!
あの猛攻を全部避けたにゃ!? いや、多少かすってはいるにゃか。
「フゥ──ッ!」
なんだあのキティ!? 全然怯まにゃー!
ジャキン! 暴漢が爪を伸ばして臨戦態勢にゃ。
「
今度こそ終わりにゃ。キティが切り裂かれるところにゃんか見たかにゃーが、これでもう⋯⋯。
キン!
にゃ、防いだ!? あの強靭な爪を自分の爪で!? まあまあの体格差にゃぞ!? だが今の攻撃で爪の先が折れた! 次はもう。
「くそにゃああああああ!!」
ギン!
防いだにゃっ、足の爪!? にゃんて奴にゃ!! さすがに次は⋯⋯。
ガキン!
んにゃバカにゃ!? 歯で受け止めやがったにゃ! いい洞察力と戦闘センスにゃ!! あっ⋯⋯。
「にゃはははは! 捕まえたにゃ!!」
他の奴に首根っこを掴まれやがったにゃ! 残念だがここまでにゃ!?
「死にゃ!!」
「にゃあっ!!」
にゃにぃっ!?
「お姉さん!? ぼ、ボクにゃんかのために!?」
「う⋯⋯ううん、守るべきは、私にゃんかより、坊やのように勇敢にゃ未来の
「お姉さん!」
「あ〜あ、今夜のオカズが台無しじゃにゃーか!」
グシャ。
「これで終わりだあああっ!!」
ガシ。 やらせにゃいにゃ。
「──おっとごめんにゃ」
ドッカ─────ン!!
気がついたら暴漢の親玉をぶっ飛ばしていたにゃ。
「すまにゃーにゃ」
「誰にゃ!?」
「通りすがりの野良にゃ」
ボゴッ!
俺は壁にめり込んだ暴漢の首根っこを掴んで引き剥がす。くんくん、くせーにゃ。
「
ボゴン!
もう一度壁にめり込ませた。あとの二人をキッ、睨みつける。
「あ、兄貴⋯⋯くそっ、兄貴が⋯⋯」
ジリ。
「次はお前らにゃ」
「に、逃げろにゃ!」
ダダッ!
逃げた。ひとり残して逃げるにゃんて、ああ、
「うぎゃっ!」
俺は逃げた暴漢に小石を投げつけた。
こけたにゃ。あいつらもこれで終わりにゃ
「にゃ〜」
やっちまった。
こりゃいけねぇ。トンズラこくか。
「坊主、
「お兄さんは?」
「俺は行くにゃ!」
「あばよ!」
「あっ! お兄さん、名前を!! あ⋯⋯」
俺は名乗らずその場を去った。
その背中を見つめる仔猫の瞳に、月明かりがとても眩しかった。
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