二十歳のお祝い

まっちゃん

第1話 二十歳のお祝い

 子供を持つ親なら経験することであると思う。目が離せない。そこら辺にあるものを構わず口に入れる。少し大きくなると「どうでもいいもの」を持ち帰るようになる。

 妻の悲鳴が聞こえた。

「きゃぁぁぁ!」

 声の方向には洗濯機がある。

「子供ってこれだから…。」

と座りこんで笑い泣きする妻の横には蝉の抜け殻が落ちていた。

 「まぁ、子供あるあるだよね。もう少し大きくなるまで、洗濯は俺が見ようか。」

しばらく宝物というべきか、お土産というべきか、公園の石、ドングリなど、いろいろな「ポケットに入れっぱなしの忘れもの」の洗礼を受けた。

 あるとき、ポケットにヒマワリのタネが入っていた。

 「ヒマワリねぇ」

 そのうち小学校で植物の観察もやるだろうし、プランターの観葉植物も植え替え時だったので植えてみることにした。夏休み、自分の身長よりも高くなったヒマワリを見て驚く様は微笑ましい限りだ。


*****

 「と、まぁ、こんな経緯だ。」

 「その話、何回目?もうやめてよ、恥ずかしい。」

 あはは、と笑う俺、妻、息子。

 「これはな、アミで炙って、フライパンでオリーブオイル、塩、コショウだ。」

 「うん、旨いな。」

 「コーヒー豆も焙煎できるぞ。今度やるか?」

 「まじ? やる、やる。」

 「そのうちお前にも子供ができるんだ。覚悟しとけよ。」

 「えっ。」

 「あっはっは。まだ早えぇかなぁ。んじゃ、カンパイ。」

 乾杯の声にヒマワリが揺れたような気がした。


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(2025.10.15 了)

三題噺「恥」「洗濯」「ひまわり」


 

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