ザマァされる側だと焦る勇者達と何も知らない子猫

Nemo

ザマァされる側だと焦る勇者達と何も知らない子猫

「んん……?」


 白く染まった視界が正常に戻る。


「おわっ⁉︎」


 同時に、さっきまでの浮遊感がなくなり、バランスを崩す。


「おおっ!成功したぞ!」


 どっからかおっさんの声が。


 一体何が?


 目を瞬かせ、あたりを見回す。


 騎士っぽい格好の人がたくさんと、貴族や王様、お姫様っぽいの……。


 あー、はいはい。


 否が応でも理解する。


 俺は勇者に選ばれたのだと。


 ……


 ふふっ


 ふふふふ


 ふはははははは!


 よっしゃあ!ついに夢見た異世界召喚!これで俺も主人公。チートとハーレムでウハウハじゃあ!


 中学からイメトレした甲斐があったってもんよ!


 ここが人前じゃなきゃ叫んで走り回ってたところだぜ!


 国王っぽいのが立ち上がる。


「よく来た勇者よ!余はーー」


来た来た、やっぱり俺は勇者だ!




 そっから国王の何とかかんとか氏はこの世界は魔王の侵攻が〜とかよくある展開通りに説明し…いやこれテンプレすぎて何も語るところねぇな。


 まぁいい。ついにお待ちかねステータスチェックの時k


「ミャー」


aん……


 みゃあ?


 慌てて振り返るも何もない。


 気のせいか?


 いやでも確かに……


 ふと自分の鞄が目に入る。


 ゆっくりどけてみると


 白い子猫がいた。


 鞄が死角になって誰も気付かなかったらしい。



 ……えっ、何で猫?


 巻き込まれた?




名前:神崎 勇人

職業:勇者

技能:聖剣使い 全属性適正 超回復

   その他なんかたくさん


 思わぬアクシデントがあったものの、ステータスチェックは完了。


 うん、自分でも引くぐらいチートだな。


 で、問題は……


名前:なし

職業:猫

技能:昼寝



 ……


 うん、あれだ。猫は職業じゃねえだろとか昼寝って何だよとか色々あるけど、とりあえず。


 弱くね?魔王討伐どころかスライムすら倒せねえだろ。


 国王達も「どうするよコレ」って雰囲気だし。


 野良猫っぽいし追い出されるのか?


 うん?追い出す?



 しまった!これお約束だ!


 無能扱いされた奴が実は超すごい奴で勇者がむしろ失態続けるっていう。


 じゃあこの猫が主人公⁉︎


 いやこの際俺が主人公じゃなくなったのは重要じゃない。


 この手の話は追放したりバカにしたり助けなかったりしたキャラが大概酷い目に遭うもの。


 もし、ここにいる人たちが追い出せ!なんて言ったら……


 最悪俺が死ぬ⁉︎


 冗談じゃねえ!






side国王


 はっ!思い出した!


 召喚したけど無能だったからとつまみ出したら、神に匹敵する力を得た勇者に滅ぼされた国があったと古文書に!


 ……


 えっ?まさか、余死ぬの?この猫追い出すと。





side王女


 猫ちゃんかわいい!


 お父様に頼んで飼えないかしら。何だかんだ私に甘いし、いけるわきっと。


 それにしても本当に弱いわね。


 昔一緒に遊んだ小鳥の方が強かったぐらい。


 放っておくと何かの拍子に死んでしまうわ。





 この瞬間、勇者、国王、王女の思いは一つになった。


(護らねば!)





 一方その頃


「ジャハハハハ!向こうが勇者召喚するなら、こっちだって召喚してやらぁ!……あれ?何で猫?」

「フシャー!」


親猫が魔王達の手でこの世界にやって来た。

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