【結婚隠居も悪くない】悪役貴族に転生して鬱シナリオをぶっ壊したので、エンディング後は夫に浮気された貴族令嬢と再婚して静かに暮らし……たかった

メソポ・たみあ

第1章 結婚隠居も悪くない

第1話 鬱シナリオをぶっ壊そう


「――え、待って? 俺って死ぬ・・じゃん」


 俺が自分の運命を思い出したのは、何気なくトイレで用を足している時のことだった。


 この世界ってゲーム世界だったわ。

 俺ってゲームのキャラクターだったわ。


 やっべ、なんで今更になって気付いちゃったんだろ。


 このままだと俺、普通に死ぬんですが?


 ――俺は、俺自身がとあるゲームのキャラクターであることを自覚する。


『黒彩の亡国:ダーク・ファンタジア』。


 タイトルの雰囲気から薄っすら読み取れる通り、重苦しい物語展開が特徴のダークファンタジーRPG。


 登場キャラのほとんどが悲惨な最期であったり報われない最期を迎え、挙句の果てに主人公の生まれた国すらもラスボスの魔王によって滅ぼされる。


 オマケに旅の途中で様々な都市の権力争いや組織間の対立に巻き込まれ、それによって協力者やサブヒロインが死んでいくという……そんな胸糞仕様。


 このゲーム、特にヒロインの曇らせ展開の陰鬱さには定評があるんだよな……。


 EDエンディング分岐によっては、主人公すら死んでメインヒロインだけが生き残ったりもするから……。


 とにかくキャラに厳しく、どこまでも救いのないゲーム。


 それが『黒彩の亡国:ダーク・ファンタジア』。


 ……俺は、そんなゲーム世界の悪役に転生してしまったらしい。


 俺の名前はシルヴァ・アブソルヴェント。


 ゲーム序盤に主人公が訪れる都市で暴虐非道に振舞う悪役貴族で、主人公たちと敵対する中ボス。


 ……まあ中ボスとは名ばかりの、プレイヤーに操作を教えるために存在するチュートリアルボスなんだが。


 シルヴァは立場も立ち振る舞いも、明らかに噛ませ犬な敵役。


 権力を利用して主人公たちを追い詰めようとするも、横暴かつ身勝手な性格故にやること成すこと上手くいかず、最後には自滅に近い形で主人公に倒される。


 ……ちなみに序盤で早々に死ぬ敵なので、ラスボスの魔王とは一切の関係がない。


 そんなクソ雑魚噛ませ悪役に自分が転生していたことを、今更になって自覚できた。

 それが現状の俺。


 ……待ってくれよ!

 普通に死ぬじゃんか俺!

 今生きてても、この後主人公に殺されるだけじゃねーか!


「やべーよ、死にたくねーよ! ど、どうしたら……!?」


 トイレの中で一人悶絶し、頭を抱える俺。


 だが――ハッと気付く。


「待てよ……? 主人公より先に俺がラスボスの魔王をぶっ倒したら、全部上手く収まるんじゃね?」


 俺って、このゲームを一度全クリしてるからさ。


 ゲームシステムは当然理解してるし、マップとかダンジョンの位置も大体把握してる。


 だから効率よくレベリングできる場所も知ってる。


 あと敵モンスターとかボスキャラクターがどんな技を使ってくるのかも知ってるから、対処法も頭に入ってる。


 それに『黒彩の亡国:ダーク・ファンタジア』って、実は致命的なバグがあってな。


 MAXレベルは100なんだけど、100レベルを超えても経験値が手に入るし、ステータスも上がり続けるんだわ。


 つまり――実質〝無限に強くなり続けられる〟ってワケ。


 もっともゲームとしてはレベル100までキャラを成長させる前提になってなくて、ラスボスの魔王でも精々レベル60もあれば倒せる仕様だったから。


 だから見逃されてたバグっぽいんだよね。


 廃ゲーマーからは「無限にレベリングできて楽しい」って好評だったみたいだし。


 ――要するに、俺は

・原作知識無双ができる

・無限にレベリングできる

 ができる状態ってワケで。


 それにさ、実は俺〝悪役ムーブ〟ってちょっと憧れてたんだよね。


 最近のラノベとか漫画って悪役キャラの主人公が多くて、なんかカッコよかったし。


 悪役ムーブをしながら、

 無限にレベリングをして、

 原作知識無双をぶちかます――。


 うんうん、いいじゃん。

 なんか悪くないし、希望が見えてきた。


 だいたい、俺って『黒彩の亡国:ダーク・ファンタジア』の鬱シナリオって嫌いだったんだよね。


 だから――滅茶苦茶に強くなって、この世界のシナリオをぶっ壊してやる。


 そうと決まれば、善は急げ。

 すぐに行動開始だな!


 ――この時のシルヴァ、十八歳。


 ラスボスの魔王が世界を破滅させ始め、主人公が行動を開始するまで――あと二年。



――――――――――

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