人生で最も衝撃を受けた物語を語りたい!~CROSS†CHANNELの魅力と圧倒的な物語力~

遠藤孝祐

はじめに バリバリのネタバレ込みで語るCROSS†CHANNEL

 ※物語に関する大幅なネタバレを含んだ内容となります。







 生きている人、いますか?


 このフレーズに馴染みがある人にもない人にも、ちょっとだけ聞いて欲しいことがあるので、このエッセイを始めよーと思う。


 CROSS†CHANNELとは、FlyingShine制作のあだるてぃゲーム(察してくれ)。学園青春アドベンチャーです。


 まー主に男性向けなことに加えて、あだるてぃでぐろてすく(ひらがなにすることで可愛らしく表現することに成功……成功?)な内容ではあるんだけども。


 それでも、人生にとって忘れられない物語となった。それどころか、人生哲学に影響を与えたくらいにバイブルとも言える物語だと思えたので、これはもう解説やら共有やら考察をするしかないと思い、筆を執りました←キーボード入力。


 でもめっちゃ人を選ぶ。めっちゃ人を選ぶ。


 このフレーズをあと50回くらいは繰り返したいくらいに人を選ぶ。


 もとはあだるてぃな内容ではあるけど、最新ではSwitchで遊べてしまうので、一応年齢のレーティングを考慮した内容まで、表現をある程度落としている。


 ていうかレーティング的に17歳以上対象だから、18禁ともはや何が違うねん!


 というツッコミはさておき、久々にSwitch版で遊んで、軽く10回は泣いた←お前は情緒がおかしいよ。




 じゃあまず簡単にあらすじ



 群青学院の長い夏休み。崩壊しかかった放送部の面々は、初夏の合宿から戻ってきたが、部員たちの結束はバラバラになっていた。

 主人公:黒須太一くろすたいちは放送部員。太一は夏休み後の学院で、バラバラになった部員たちと交流を重ねて、なんとかラジオ棟を完成させる。


 そして、ラジオで自分たちの状況を発信する。


「こちら群青学院放送部


 生きている人、いますか?」


 そう。


 合宿から帰ってきたら、


 8人を残して、世界は滅亡していた。


 生きてやる。


 この空が消えてなくなるその日まで――






 ・物語上のギミックや前提条件


 男子3人女子5人の放送部の仲間たちは、いざこざや確執なんかで不仲になってしまいました。


 主人公の太一君はそれが悲しくて無理やり夏の合宿を組んだけれども、仲間との亀裂は埋まりませんでした。


 意気消沈をしながら街に帰ってくると、8人を残して人どころか生物全てが綺麗さっぱり消えていましたとさ、というのがあらすじ。


 で、進めていくと早々に判明するからもう言っちゃうけど、


 この世界は、月曜日~日曜日の世界。


 日曜日になるとどうなるかって、急に緋色の光に空が支配され、時間が巻き戻る。


 そう、記憶や存在も、月曜日の状態にリセットされる。


 たとえ、何かあって、月曜日にはその記憶もなくすっかり元通りという舞台設定。


 だからまあね、とても悲惨なことも起きる。目を覆いたくなるような悲劇も、虚しくなるようないざこざも。飴玉を溶かしたような甘い展開も。


 完全に閉じられた一週間の世界でどう過ごすかというところが物語の前提条件ってわけです。


 ちなみに、選択肢はあるけどエンディングは一直線のタイプなので、どうあがいても結末は一緒です。


 だからこそ、心に響くのかもしれない。




 ・群青学院について


 まーここも普通の学校というわけじゃないんだなこれが。


 紫がかった青色。群青色。


 ここに入学している生徒は、率直に言うとほぼほぼなんらかのを抱えている生徒たち。


 ほぼ隔離施設のような扱い。


 他人と交友をせず、自分だけの閉じた世界で生きるものも多く、会話が成立しない生徒の方が大多数。


 そんな中々描きづらい上に共感を得られるのか不安になるこの物語。


 でも、最後までこの物語に向き合った時に、見えてくる景色があった。


 この物語を簡単に言っちゃうと、こうなる。



 人間に壊された怪物が、人間になろうとあがく物語。



 どれだけ人間が嫌いで、交流なんて求めてなかったとしても、それでも、人にいて欲しい。


 人は人に、いて欲しい。


 心を育てるためには、必要だから。


 主人公である黒須太一は、生物学上は人間だ。


 けれど、凄惨な人生を経て、彼は人間性を失った怪物となった。


 人に擬態しながら生きる太一は、ずっとずっと渇望する。


 普通の人間として生きたい。


 そんな太一の思いやあがき。不器用な交流やそれに呼応する人間関係。


 彼が慟哭を免れないほどに欲しかったものを、遮二無二に手に入れようとする物語。


 その直向ひたむきさに、涙を禁じ得ない。


 物語で示される適応係数84%。


 計測の仕方は発表されないが、ようはどれほど人間性があるかという指標らしい。


 これって正確には適応係数って言うべきだよね。


 だって、国の調査とやらでは彼の人間性は16%しか残っていないらしい。


 16%しか人間として認められていない彼が、手に入れたかったものとその結末。


 じゃあ各々のキャラクターや物語にがっつり触れながら、一緒に体感していきましょう。


 それでは、また来週。









 ※書き次第すぐ更新します←物語が一週間繰り返すというギミックにかけたギャグ。

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