OOCG〜オリエンタル・オンライン・カードゲーム〜
NEET駅前
第1話 OOCG
福岡の中心部にある巨大なOOCG用の特設ステージにて。
多くのギャラリーに見守られる中で、黒髪の男(不知火シンジ)は高らかに勝利宣言をした。
「これで終わりだ。行け! 堕天使ガーディアンっ! プレイヤーにファイナルアタック!」
「く…っ!」
シンジと対面していた強面の男は静かに自分の持っていた手札を“山札”と呼ばれるカードの束の1番上に重ねた。
「ここでチャンピオン“
その瞬間、ワッと湧き上がった歓声と黄色い声援が会場内を大きく包み込んだ。
「ふん、当然だ……」
シンジは挑戦者に対して礼もせずに、まるで苦虫を噛んだような表情を浮かべては鳴り止まない歓声の中で静かにステージを後にするのだった。
「(まだだ。もっと自分より強いヤツに会いたい……)」
♦︎
そして同時刻。場面が変わって、ここは福岡県烈陽高校の屋上にて。
秋のやわらかな陽射しが、午後の風に乗ってゆっくりと沈みかけていた。天堂エイタは、ぶらさげた金属製のペンダントをおもむろに触りながら遠くの空をぼんやりと見つめている。屋上に集まっている生徒達の活気のある笑い声が背中から聞こえてくるのに対し、静かに佇んでいる彼だけがまるで別世界にいるようだった。
「ねえ、エイタくん!」
背後からの声にゆっくりと振り返るエイタ。そこに立っていたのは、水色の髪を風に揺らしながらにっこりとエイタに微笑みかけている水上ユイだった。彼女は“水の巫女”という異名を持っており、この学園内でも結構名の通っている“OOCGの実力者”である。
「よかったら、放課後一緒に“OOCG”やらない?」
「OOCG……?」
目を細めてはキョトンと首を傾げるエイタ。
それに対し彼女は、「あ、いけないっ」と言わんばかりの表情を取るや否や、すぐさまポケットから何かを取り出すとそれをエイタにゆっくりと差し出した。
彼女がエイタに差し出したのは、色鮮やかなトレーディングカード、通称トレカだった。それを一目見た瞬間、エイタはそのトレカに思わず目を奪われた。
(この気持ちがなんなのかは良く分からないけど、何か言葉にできない特別な感じがする――)
エイタが興味本位でユイから差し出されたカードを受け取ろうとすると、彼女がニッと笑ってゆっくりと口を開いた。
「気になる? これはね、今世界中で旋風を巻き起こしている
彼女の言葉は純粋で、嘘っぽさがまったくなかった。
「あ、うん」
そのキラキラした彼女の瞳にエイタは心を動かされるような形となり二つ返事でOKをすると、その日の放課後、学校を終えた2人は近くにあるファミコンハウスと呼ばれるOOCGのオンライン機器が置いてあるゲームショップに足を運んだ。
最初はOOCGがなんだか分からないエイタだったが、OOCGにおいて巷では結構な有名人でもある水上ユイが実戦形式で一枚一枚、懇切丁寧にトレカを使ってゲームのルールやカード毎による能力を教えてくれるので、エイタは比較的速いスピードでOOCGのルールを覚えていくことが出来た。
「カードにはそれぞれ攻撃力と防御力、それに能力や属性ごとの相性というものがあってね。例えば、金→木、水→火、木→土、火→金、土→水のように相性の悪い属性同士のことを
得意げになって親切に説明してくれているユイの方へ静かに視線を向けるエイタ。
「なるほどね、ありがとう。あ、そういえば、ユイさん一つ聞いてもいいかな?」
「うん、なんでも聞いて!」
「ありがとう。えっとこれのことなんだけど…」
そう言うエイタの手元には、珍しい“金属性”のカードが記載されているOOCGのチラシがあった。そのチラシに載っているのは希少なカードばかりだったのだが、そこに載っていたカードの中でも一際異彩を放っていたのは“金獅子のシ者・アルゼイド”のカードだった。“全ての属性にアドバンテージを取れる伝説のカード”と表紙にデカデカと書かれていた。
そして、エイタが手にしていたチラシを眺めるなり、ユイがポツリとつぶやいた。
「アルゼイドか……私、まだそのカードを持っている人と出会ったことがないからなんとも言えないなぁ〜」
「そうなんだ(……アルゼイドか)」
アルゼイドのカードを見つめるエイタの目は、いつの間にかキラキラと少年のように輝いていた。
♦︎
それから少しして、ユイにオンライン対戦用のアカウントを作ってもらったエイタ。
「出来た! これでエイタ君もオンライン対戦ができるよ」
そう言ってユイに背中を押され、エイタはゆっくりとログインボタンを押し、ゲームを作動させた。
しかし。中々、対戦相手が見つからない。
エイタが、まだ始めたての初心者だからなのだろう。中々、エイタと同レベルのプレイヤーは見つからなかった。
やがて、ユイが親切心からレベリングマッチではなく、“フリーマッチ”(レベル制限無し仕様)を選択することに。すると、数秒もしないうちに直ぐに1人のプレイヤーが対戦相手としてヒットした。
♦︎
同時刻。場面が変わって、ここは福岡中心部近くにあるファミコンハウス。
全国チャンピオンの座を守り抜いた彼――不知火シンジは近くのファミコンハウスに立ち寄ると、深い深呼吸と共にゆっくりとOOCG専用機器にもたれかかった。
「始めるか…ん?」
100円を入れると、直ぐに挑戦者が出現。彼は迷わずにその挑戦者を選択しては静かに微笑んだ。
♦︎
対戦相手が見つかったことに対してホッと胸を撫で下ろすエイタとユイ。
しかし、まさかその相手が冷静な戦術家で、コントロールデッキの使い手としてその名を全国に轟かせている“日本チャンピオンの不知火シンジ”であることなど、2人は知る由もなかった。
to be continued…。
こんにちは。自称AI作家のNEET駅前です。
読者の皆様へのお願いです!
本作を読んでほんの少しでも「なんかいいね!」と感じられましたら、“コメントやいいね”をどうかよろしくお願いします。コメント本当に嬉しいです!次の話や作品の為の学びになりますし、私自身の励みにもなります!何卒、よろしくお願いします!
因みに、一つ聞いておきたいのですが、皆さんは“東洋学”に興味はお有りでしょうか?
もし、興味がある方いらっしゃいましたら、おめでとう御座いますっ!
僕の講座を見て頂けると一年もしないうちにあら不思議! ある程度の東洋のスペシャリストにはなれることをお約束します!
カクヨム読者さん限定で無料で1年間配信させて頂きますので、本編も勿論そうですが東洋知識も合わせて楽しまれて読まれて行って下さい。
それでは、次回からちょっとした東洋講座をやらせていただきます。
では、失礼しますっ!
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