「私の事、覚えてる?」という再会の一言から始まる構成が、王道の幼馴染ラブコメとしての王道感をしっかり押さえている。10年間離れていた透真と結依の関係が、忘れていた記憶のひと欠片から少しずつ取り戻されていく過程に、レビューで触れられている通り「学生時代にしかない青春の香り」が漂っている。
87話・22万字を超える長さの中で、第一章から第四章まで一年生の時間軸を丁寧に追っていく構成は、急かさずに関係性を育てる誠実さを感じさせる。柔らかい文体と、透真を取り巻く人々の温度感のある描写が、読みやすさの土台になっている。
同著者の『人工悪魔』とは全く違うジャンルで、青春の柔らかさを真正面から書く誠実さが伝わる一作。