第4話 家族の温もりとは

 椿の提案で4人で晩御飯を食べることとなり、スーパーに買い出しをする事にした。

 

「ところで姉さん今日のご飯は何にするんだ?」


「んー鶏肉が半額だし唐揚げとかどう?」


「唐揚げ! 良いですね!」


 今日の晩御飯の献立を考えながら店内を歩いていると、ちょうど鶏肉が半額だった為夕飯の献立は唐揚げに決定した。 

 その後別の食材や飲み物などをカートに入れ、会計を終え家に帰ろうとした時、天宮が急に小声で話しかけてくる。


「皆さん止まってください······」


「どうしたんだ天宮さん急に」


「前方向にクラスメイトが3人ほど見えたんです。この状況が他の人にバレると透真君が危ないです······」


 買い物を済ませ帰ろうとした時に、透真にとって考えうる最悪の状況が迫ってきていた。

 それは天宮の言う通り彼女のクラスメイトである3人組の女子達がスーパーにやって来ようとしていたのだ。

 この状況がバレてしまうと、天宮だけで無く透真にも被害が来かねない。

 最悪次の日には天宮が他の男子と一緒に外を歩いていたなどと噂が立ち、その男子は誰なのか彼方此方で犯人探しのような事が起こり得る。

 この最悪な状況をどう打開するか悩んでいる時に朝陽が提案する。


「こっちの道から帰ろう。こっちだったら遠回りにはなるが、人混みは避けることが出来る」


「そうなんですか?」


「流石朝陽! ほら結依ちゃんバレないうちに早く行こ!」


 朝陽はこの街の情報をこれでもかというくらい頭の中に入れている。

 中学の時から現在まで朝陽はこの街をほぼ毎日散歩している為、この裏道を行けば学校への登校時間が短縮するだったり、この道は混雑しやすいが別の道は人混みを避けれる道があるなど様々なルートを暗記している。

 そのおかげで透真達は天宮のクラスメイトからは完全にはバレずに家に戻ることができた。


「あれ? 今天宮さんが居たような······?」


「気の所為じゃない? それより早くお菓子買おうよ!」


 帰宅し早速椿は晩御飯の準備を始める。

 基本的には椿一人でご飯を作るのが日常となっている為透真、朝陽、天宮はリビングでご飯が出来上がるのを待っていた。


「お待たせ〜出来たよ〜」


「おぉ······」


 椿は天宮に始めて料理を作ることが楽しみで仕方なかったのか唐揚げだけでなくその他のおかず達もこれでもかと気合いが入りまくった料理ばかりだ。


「冷めないうちに食べちゃおう! いただきます!」


「「「いただきます」」」


 皆で椿の作ったご飯をいただく。透真と朝陽はいつも椿の料理を食べている為、いつもの美味しい料理だなという反応だった。


「姉さん今日のご飯も美味しいよ」


「やはり椿姉の料理が一番美味いな」


「そんないつもの事じゃ〜ん。結依ちゃんどう? 美味しい······」


 しかし天宮だけは違った。天宮はご飯を食べ、飲み込んだ後に思いがけない事が起きた。

 天宮は椿の料理を食べ、涙を浮かべていた。

 それを見た椿が慌てて心配そうに天宮の傍に寄り添う。


「ええちょっと結依ちゃん!? どうしたの急に! 大丈夫!? お口に合わなかった?」


「天宮!? 大丈夫か!?」


「大丈夫です······いや、こんな暖かくて優しい料理、久々に食べて、美味しいって事だけじゃなくて、嬉しいなって感情も出てきて······」


 天宮はこんな家庭的で暖かく、優しい料理を食べたのは久々だったらしく、そんな椿の料理を食べれたことが嬉しくて泣いてしまったらしい。


「実は私、親の料理ってそんな食べたことないんですよ。お父さんはいつも遅くに帰ってくるしお母さんは帰ってこない日もざらにあったので、基本的には私が作ってたんです······」


「そうだったのか······」


 ここで椿が天宮に提案をしてくる。


「それならさ、今はここの料理が結依ちゃんの家庭的な料理でいいんじゃない? 私は結依ちゃんがいつ食べに来ても大丈夫だけど。2人はどう?」


「俺は別にいいよ。椿姉の負担も増えることは無いだろうし」


「俺も大丈夫だ。天宮もこの空間で食べる時があってもいいんじゃないか?」


 椿が言った提案とその案に賛成した2人に天宮は萩野家がこんなにも優しく暖かい空間である事を再認識し、安心したのかまた泣いてしまった。

 だが今度は透真達は慌てたりせず、微笑みながら慰めている。

 こうして天宮は萩野家と親交を深めることができた。



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