僕の人生の紡ぎ手は彼女と友達と ―― 10年振りに再開した幼馴染と共に未来へと進んで行く

イワスズタ

1年生一学期編

第1話 また会ったね。覚えてる?

 幼馴染。それは昔仲良くしていた人の事を表す。だが幼馴染の定義とは一体何なのだろうか。幼稚園から一緒? それとも小学生から一緒? どちらも間違ってはいない。

 しかし例として幼稚園は一緒だったが小学校中学校と別々の道へ進み高校で再会を果たした人同士は果たして幼馴染と断言して良いものなのだろうか。






 今日から高校生となり、新しい学生生活をスタートした萩野透真はぎのとうま

 クラスが何組なのかを確認し自分のクラスに向かい教室に入ると見た事のある2人の姿がまず最初に見えた。


「おっ透真ー高校でもまた同じクラスだな」


「萩野君おはよう」


 この2人は月島宏斗つきしまひろと水篠渉みずしのわたる。中学校から友達となり高校でも萩野と同じクラスになった。

 3人の出会いは中学1年の頃、萩野が話す人がおらず困っていた所に月島と水篠が話しかけてきて会話の波長が合ったらしくそこからは喧嘩もなく仲良く過ごしている。


「あぁ、おはよう。またお前たちと一緒か」


「俺ら運良いよな。中学もずっと一緒だったし」


 月島の言う通り中学1年から今回で4年目、この3人はずっとクラスが一緒なのだ。

 そういった話をしていると廊下が何やら騒がしくなり始め、何があったんだと思い3人で廊下を見てみるとそこにはこの学年で1番なのではないかと言っても過言では無いほど美しい美少女が廊下を歩いていた。


「誰だあの子!?」


「凄い可愛い······」


 一体あの子は誰なんだ、可愛いだの美しいだの多くの学生がその女子高生に釘付けになって見ている。

 それは萩野達も同じでどのクラスの子なんだろうだとかの会話が始まる。


(あの子······何か見覚えがあるような無いような······ただの気のせいか?)


 しかし萩野だけは周りとは違う反応をしていた。

何故か見たことも無いはずの女子生徒に見覚えがあるような気がしているのだ。

 そんなことを思っていると水篠が話しかけてくる。


「萩····君。 萩野君」


「ん?あぁ悪い。ぼーっとしてた」


「もうそろそろ席着く時間だよ」


 時計を見ると水篠の言う通り席に着かなければいけない時間になっていたので萩野は急いで自分の席に向かう。

 今日は入学式後初回と言うことでホームルームで各々自己紹介を行ったあと学年集会、書類等の配布を行う事だけだったので昼頃に下校となった。

 これと言って特にこの後の予定は無かったのですぐに帰宅しようと準備をし校門の辺りを過ぎようとした時に後ろにいる誰かから話しかけられた。


「ちょっと君!待って!」


「······俺?」


「そう!」


 誰なんだと思いながら振り返ると今日話題に上がっていた美少女高校生だったのだ。

 こんなどこにでもいそうな男子生徒に、しかも初日に一体何の用なんだと思いながらも用件は知りたかったので一応質問をする


「あの······一体何の用ですか?」


「ごめんね突然。その······ここじゃなんだからどっか人気の少ない所に移動しようか」


 人気の少ない所...この後俺はこの女子生徒にどんな事をされるのか。誘拐?それともお金を分捕る?

 そんな不安を抱きながらも逃げたらそれよりもっと酷い事をされるかもしれない事を考慮し仕方なく彼女に付いてくる。


「ここなら大丈夫かな」


「あの······僕貴方に何かしましたっけ······?」


「別にしてないけど聞きたいことがあってね。学校の近くじゃ誰に聞かれてるか分からないし」


 彼女の言う通り、学校周辺で話をしようなら周りからの視線が多く集まる事が目に見えている為彼女はこの人気の無い場所を選んだのだろう。

 そう考えていると彼女が萩野に聞いてくる。


「じゃあ単刀直入に聞くね? 君、


「······は?」


 予想外の質問過ぎて思考が止まる。

彼女の事を覚えている?そんな訳が無いだろう。

 萩野は今日初めて彼女と出会ったのだ。彼女の情報を知っている方がおかしいまである。

 

「いや覚えてる訳ないですよ。だって貴方と会ったの今日が初めてでクラスも違うから名前も分からないんですよ?」


「だよね〜私君に名前教えて無かったよね。私の名前は······」


 その次に発した彼女の一言で、萩野の人生は1つ変わった。

 その彼女の名前を忘れるはずが無かった。


天宮結依あまみやゆい!」


「えっ······天宮結依って······」


「そう。君の幼馴染の天宮結依だよ」


 彼女が名前を教える時、風が吹き桜が舞い彼女の藍色の髪も綺麗になびく。

 その時、萩野の思考が少し止まりかけていた。

 そして萩野は10年間という長い間忘れていた記憶の一欠片を思い出した。



 今目の前にいる女子生徒・天宮結依は、10年間会っても話してもいなかった萩野透真の唯一の幼馴染だという事だった。



※作者コメント

 こんにちは。イワスズタと申します。

今作「僕の紡ぎ手は彼女と友達と」を読んで下さりありがとうございます。

 僕自身、今作品が初の執筆なので至らない点ばかりなので是非評価や改善点などありましたら気軽に送ってくださると有り難いです。

 今後とも連載していく予定なのでよろしくお願いします。


※11月4日時点での報告

 今作品のメインヒロインである七瀬結依ですが、諸般の事情により苗字を変更する事になりました。


七瀬→天宮


と変更致します。申し訳ございませんがご理解の方よろしくお願いします。

 

 

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