番外編2「王女様は知りたい」

 王宮に滞在中、リリアーナ王女はユウの力の秘密を探るべく、様々な試みをしていた。


「ユウ、このリンゴ、手を使わずに割ることができますか?」


 彼女がそう言うと、ユウは「えー、無理ですよぉ」と困った顔でリンゴを睨んだ。

 次の瞬間、リンゴはスパァン!と綺麗に八等分されていた。

 断面はレーザーで切ったかのように滑らかだ。


「……今のは?」


「あれ? なんでだろう。このリンゴ、元から切れ目が入ってたんですかね?」


 ユウは不思議そうに首を傾げている。

 リリアーナは(やはりこの男、無自覚……!)と確信を深めた。


 またある日。


「ユウ、今日の魔法の授業、つまらないですわ……」


 王女がため息をつくと、隣にいたユウが「そうですか? 楽しそうですけど」とつぶやいた。

 その瞬間、退屈な魔法史の授業をしていた教師の頭上に、突如タライが落ちてきた。

 ゴーン!という音と共に教師は気絶し、授業は自習になった。


 王女が隣を見ると、ユウは「わ、大丈夫かなあの先生」と心配そうにしているだけ。


(私の『つまらない』という気持ちを汲み取って、物理的に授業を終わらせた……!? なんという荒業! そして完璧な無自覚!)


 リリアーナは、ユウの行動(?)に戦慄しつつも、ますます彼への興味と好意を深めていくのだった。


「ユウ、あなたという人は、本当に……飽きませんわ!」


 彼女の満面の笑みに、ユウはただ「はぁ」と曖昧に返事をするだけだった。

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