その男、神になる
@Hedes
【始まりの始まり】
その日...
一人の天使が、天界から追放された。
折れた羽は風に千切れそうに揺れ、傷だらけの身体からは血が滲む。
天界から、その大きな体が落ちていく中、彼は燃えるような眼差しで天を睨みつけた。
「このままでは終わらない……」
名を、「ルシファー」という。
彼は、天使として最高位の座を与えられ、神々からも深く尊敬される存在だった。
美しく、賢く、力もあり、まさに完全無欠といえる存在だ。
そんな彼が、なぜ天界から追放されることになったのか。
理由はただ一つ...
それは、あまりにも高くそびえ立った「誇り」だった。
ルシファーは、自らを完璧な存在と疑わなかった。
そしていつしか...
自分こそが、神の座にふさわしい存在だと信じるようになっていった。
天使の身でありながら、あまりにも高く、危うい思考を抱きはじめたその姿に、神々は密かに恐れを抱く。
やがてその恐れは確信へと変わり、ついに神々は決断した。
「ルシファーを追放せよ!」
天界の光から弾き出されるその瞬間、ルシファーの胸に灯ったのは、絶望ではなく燃えさかる炎だった。
神々への、決して消えることのない復讐の炎である。
神々だけではない。
彼と永きにわたり競い合い、互いを高め合ってきた大天使「ミカエル」
その存在もまた、ルシファーの標的となった。
「神も……ミカエルも……誰一人として逃しはしない」
「真に超えるべきは神ではない――このルシファーこそが、理の頂点に立つ者だということを!」
落ちゆく意識の奥底で、彼は最後の力を振り絞り、天へと高らかに叫びを放った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます