第12話 あんたコーヒー飲めないだろう?

「・・・大丈夫ですか?香田さん」

「・・・何とか」

「彼らは知り合い何ですか?」

「・・・あそこの男の人ってここに来たことがあるのか?」

「あぁ~~~あの人2年前から来ていますよ」


マジか。高校入ってからここに来るようになったってことか。

・・・あの人が喫茶店って似合わんな。


「あの人俺の兄」

「・・・えっ本当ですか?」

「本当」


バイト初日からちょっとハード過ぎやしませんかね?

身内が来るとは思ってもみなかったぞ。



チリ~~~ン

「私行きますね」

「はい・・・ってことは」


と雫さん(年下だけどバイトとしては先輩のため敬称で)がベルを鳴らしたお客さんのところに行ったら、あそこの人たちの対応を俺がしないといけないじゃないか!?

・・・マジでだるいんだが。


「・・・目が死んでいるわよ」

「だってあっち」

「・・・そういうことね」


接客が終わって戻ってきた瀬戸内さんも俺の目が死んでいる理由が分かったようだ。

ちなみに俺たちがいる場所はカウンターの裏であり、マスターが注文の料理を作っているのでそれを待っている。席を立った人の皿を回収して、机を吹いてから戻ってきているのだ。


チリ~~~ン

「あそこから鳴ったわよ」

「・・・お願いできないよね」

「・・・私も行きたくないもの。生徒会にずっと誘われているからね」


・・・彼女のような見た目ヨシ、学力ヨシな生徒はほしいだろうね。


「行ってきます」

「骨は拾ってあげるわ」


玉砕する未来を勝手に確定しないでほしいな?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お待たせ致しました。ご注文をお伺いさせていただきます」

「私がコーラを」

「私はココアをお願いします」

「ホットとアイスどちらを?」

「アイスでお願いします」

「俺はカフェオレとサンドイッチを」

「俺は・・・アイスティーのストレートを」

「俺はアイスコーヒーを」

「ブッ!!」

「「「「えっ?」」」」

「何か文句でもあるのか?龍也」

「兄貴が・・・コーヒーって」

「会長、知り合いって今兄貴って」

「こいつは俺の弟だ」

「「「「え・・・えっ~~~!!」」」」

「お客様。お静かにお願いします」

「「「「はい」」」」


まさかの兄貴がコーヒーを頼んだことに驚いて拭いてしまった。

だってこの人・・・


「兄貴、コーヒー飲めないんじゃなかったか?」

「えっ?そうなんですか?」

「ばっ馬鹿。飲めるぞこれぐらい」

「甘党の癖に」

「龍也!!」

「へぇ~~~恭平って甘党なんだ」

「意外ですね」


とこれ以上会話をすると面倒ごとが増えるな。


「ご注文を復唱させて頂きます

コーラがお一つ、

アイスココアがお一つ、

カフェオレとサンドイッチがお一つずつ、

アイスティーのストレートがお一つ、

アイスコーヒーの砂糖とミルクセットがお一つですね」

「砂糖とミルクはいらないんだが・・・」

「我慢することはないと思うけど?」

「うっ!?」


かっこつけたかっただけかな?


「お前がコーヒーを普段から飲んでいるからおいしいのかなと思ってな」

「俺が飲む理由は眠らないためだけどね」

「そう・・・なのか?」

「あんたに追いつきたくて、夜遅くまで勉強していたからな」

「それは・・・そう・・なんだな」


全部無意味でしたけどね。

その結果コーヒー大好き人間になっちゃったんだよな。


「少々お待ちください」


と言ってカウンターに戻った。


「お兄さんとは仲良くできなさそうね」

「仲良くは無理だよ。あの人と俺とでは住む次元が違うんだからな」

「本当諦めたのねあなたは」

「そうだね」


諦めなければいつかは勝てるとは言うが、何時か・・・って何年?どれだけその間頑張ればいいの?ずっと頑張ることは出来ない。どこかでガス欠になるのが人間だ。


「ずっと頑張って・・・けど追いつけなくて、いつまでこんなことをすればいいんだとなっていた時に幼馴染の本音を聞いて、父さん母さんの何気ない言葉で一気にプツンっていったからな」

「・・・何気ない一言?」


そう。あれは中学1年で幼馴染の本心を聞いた後の期末テストの時だった。

この時、俺は見返す気持ちで我武者羅に頑張って、初めて一桁の順位を取ることができたんだよな。それを見せた父と母の一言で俺は・・・


「『恭平は1位だったぞ』の一言だったんだよな」

「それは・・・」

「頑張って初めて1桁とったのに兄貴と結局は比べられて、どんなに頑張ってもあの人と比べられ続けるぐらいならもういいやってなったんだよな」


頑張ったことを褒めてくれず、兄貴は1位だった。それだけで心が砕ける音がしたんだよな。

その後も頑張って頑張って・・・2年の時に一度倒れて気が付いたんだ。

無理だって。あの人に勝つことなんてできないってね。


「そこから努力することを完全に諦めたんだよね」

「そういうことね」


某Vtuberさんの歌にある「もうどうなってもいいや」状態になったんだよな。


====================

次回、球技大会編。

主人公は何をやるのか?涼香と急接近するのか?

そして、新たな試練が・・・お楽しみに!!

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