第2話 ダンジョンの中②

「ふうん……モンスターを狩ってポイントを集めて、生存のために貯めながらスキルやジョブやステータスにポイント割り振って強くなって生き残れ! 的な?」

 

「そうなる、な……」

 

 雪斗は頭の回転が早い。

 テストは満点か零点かの極端だが、興味のあることには飲み込みが異常にスピーディーだ。

 

 こんな非常識な事態でも、昔から冷静に対処をする。

 

「とりあえず、だ……」

 

 雪斗は画面を切り替えた。

 

「ゲームしようぜー」

 

「はあ?」

 

 突拍子もないことを言い出した雪斗に、カイネは唖然とする。

 雪斗の冷静さはよく知ってはいるが、今はそんなときでは無い。

 

「まあ待て待て、カイネと僕のマイページ、違いがあったでしょーよ」

 

「……あったか?」

 

「しっかりしてくれよ幼なじみ〜! 今大事なのはポイントだろ? お前10、これはさっき割り振られたやつな。僕のは20。ゲームしてたらクリアしたので10ポイント支給しますって出たんよ」

 

 ジョブに気を取られていたが、雪斗の画面には確かに20ポイントが振られていた。

 

「つまり、バトルにしてもポイント割り振りしたほうが絶対リスクが減る。だから、ゲームで取れるポイントは取れるだけ取っとこーよ。内容は毎回ランダムだし、運が良ければ簡単な迷路やパズルゲーくるだろ。たまに東大レベルのクイズもあるけど。とけなくても日付け跨げば、内容クリアされるし」

 

「なるほど」

 

 カイネたちは一泊キャンプするつもりでいたから、飯盒に生米、フリーザーパックには冷凍した肉がいくつか入っている。今すぐ食べ物に困るわけではない。

 問題は水だ――そしてカイネは 。自分は水を生み出せること――水筒に水を満たせることを。

 半分ほどに減っていた水筒に手をかざすと、水筒はまたたっぷりと満たされる。

 

 ――これがスキル。

 

「どしたぁー?」

 

「水問題は解決しそうだ」

 

  雪斗はもう二つゲームを解いていた。簡単な迷路ゲームと謎解きクイズだったらしい。これでもう40ポイントだ。

 

「はーーこれがスキルねぇ。カイネのスキル、当たりじゃん」

 

「水を操作と書いてあったが、発現させるとは思わなかった。なぜか分かったんだ」

 

「『魔法』、みたいな?」

 

「それはお前がやればわかる」

 

 雪斗はしばらく手を振り回したが、やがてガックリと項垂れる。

 

「火矢?とかは何となくわかる。確かにわかる。でも、僕はそもそも弓がないと発動しようがないみたい」

 

「弓……? 作れるものか、それ」

 

「ストアで買うみたいだな」

 

 ほれ、と指で指されると新しくD端末にアプリとオークションが追加されていた。鑑定カメラというものも、カメラ機能とは別に出ている。

 ストアを起動すると、色んな物がポイント制で売られていた。

 

 銃火器から、ライター、バット、油に小麦粉、弁当や服など多岐に渡っている。その中には確かに様々な弓があった。

 ショートボウ、ロングボウ、クロスボウ、和弓もある。木製から金属製まであるが、丈夫なほど高い。

 

「先ずはショートボウだな。10ポイント――購入っと」

 

「おい待て」

 

 止めるのが遅かった。

 不意に、目の前にダンボールが落ちてくる。Dマークだけが入ったシンプルなものだ。

 

 雪斗がダンボールをひとしきり確認してからあけると、そこには注文した通りのショートボウが入っていた。

 

「これで、ひとまず悩むのはやめだな。誰がどうやってこのシステムやらなんやらを作ったのかとか絶対分からないし。でもこれでポイントがないと生き残れない話はマジになってきたわけだ。気を引き締めよう、相棒よ」

 

「……そうだな」

 

  悪夢はまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 二度目の絶望こそ、二人で乗り越えてみせる。

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