えかきのぼくとネコの 七つのいろの物語

竹内昴

1章 いろをうばわれた朝

その朝、ぼくは目をさまして、息をのんだ。

世界から色が消えていた。


赤も青も黄も、ぜんぶ灰色。

絵を描くための筆も、絵の具も、意味を失っていた。


そのとき、風の中から声がした。


「きみのせいじゃないさ。

大魔王サタンが、この世界の色を盗んだのさ。」


「どうしてそんなことを……?」


「それは、きみの心の中に答えがある。」


ぼくは筆をにぎりしめた。

「だったら取りもどしてみせる!」


そのとき、どこからかネコがあらわれた。

金色の目をした、不思議なネコだった。


「ぼくも行くニャ。いろを知らない世界は退屈だもの。」


ぼくとネコの、七つの色を取り戻す旅がはじまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る