練りに練られた医学系ミステリー

 東陵大学医学部3年生の下山は、同級生の土橋から、彼が考えた医学系のミステリーを解いてほしいと言われる。

 そのミステリーの概要は以下のようなもの。

 被害者は福井達志67歳。遺体が発見されたのが被害者の自宅の浴室。

 彼は右腕の肘から先にかけてが切断されていた。その切断された断面には火で炙った形跡があった。また、その右腕は捜索したものの発見されていない。

 発見者が同居している娘の香菜37歳。達志と2人暮らしをしている。16時20分に通報があって、警察が16時30分に到着。

 達志は65歳の時に交通事故に遭い、脊椎損傷を患っていて、日常生活すべてに介助が必要な状態だった。キーパーソンは娘の香菜。

 香菜さんは事件の日、父親に昼食の食事介助をした後、12時から16時まで徒歩5分の距離にある友人宅にお邪魔していた。

 遺体の死亡推定時刻は午後14時頃で、死因は出血死。香菜が自宅を出るまでは寝室にて寝ていた。

 被害者の自宅は一部和室になっていて、畳には何か引きずったような跡が残っていた。


 大まかに言うと、こんなかんじの事件なんですが、さすがにこれだけだと謎を解くのが難しいと思います。
 実際にこの作品を読んでもらうと、もっと詳しいことが語られているので、気になった方は是非読んでみてほしいですね。

 医学に関する知識がうまく事件に活用されていて、非常によく練られたミステリーでした。
 私には到底書けないような作品なので、感嘆させられました。

 クオリティがとても高い作品なので、ご一読をおすすめいたします!