赤い蝙蝠
「大丈夫ですか?」
知らない声に起こされた。
「うーん」
いつの間にか意識を失っていたらしい。ここはどこだ? 確か、夕方、帰路を歩いていたはずなのだが。
見渡せばもう辺りは真っ暗闇だった。
「さては赤い蝙蝠にやられましたね」
起こしてくれた人の声に苦笑が混じっていた。
「え?」
「この辺りに棲む魔物です。夕焼け空に溶け込むような真っ赤な色をして、通行人に超音波を当てて昏倒させ吸血するんです」
私は慌てて首筋に手を当てた。掌にぬるりと濡れた感触があった。
「気をつけてくださいね。貴方の血は美味しいですから」
にやりと笑ったその人の大きな丸い瞳は燃え立つ夕焼けの色だった。その中でぱたぱたと小さな赤い獣達が飛び回っている。
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